第31回オリンピック競技大会・男子トランポリン予選/決勝
第1演技
第1グループ
BURNETT Jason CAN 最後のフルインダブルアウトで後ろに流れた。それ以外は安定してトラベルゾーンの真ん中に着地。
YUDIN Andrey RUS タックアウトで大きく移動したが、最後のパイクバラニアウトはうまく立て直した。
ABREU Diogo POR フルアウトなど、数種目着地が移動したが、最後のフルインダブルアウトは見事に決めた。
HANCHAROU Uladzislau BLR 終始安定した実施。最後はハーフイントリフィスバラニアウトで素晴らしい実施を見せた。まず最初の50点台をマーク。
棟朝銀河 JPN 非常に安定してトラベルゾーンの真ん中に近いところで着地を続け、最後はフルインダブルアウト。着地後に前に流れたのが残念。49.140
ANDRADE Rafael BRA タックアウトで乱れて着地が流れた。
SCHMIDT Dylan NZL 最後の2種目をハーフインルディアウト、フルインフルアウトと続けたが、ほかで着地の乱れが大きかった。
DONG Dong CHN トリフィスルディアウトを9種目目に実施。ハーフインハーフアウトで最後はまとめたが、途中で着地が後ろに行ったままとなり、立て直しできず。50点台に乗らない演技となった。
第2グループ
MARTINY Sebastien FRA 数種目着地位置が後ろになったままであった。最後はレイアウトハーフインルディアウトで終始伸身姿勢を見せていた。
ALIYEV Pirmammad KAZ バラニアウトで着地一がかなり右にずれる。最後のフルインフルアウトは美しい姿勢でしっかりと決めた。
DOOLEY Logan USA 予備ジャンプから着地位置が安定せず、演技自体も着地位置がずれたままであった。高さも不足気味。
BAILEY Nathan GBR 9種目目のタックフロントバラニアウトで大きく左前に流れてカラーギリギリとなる。そこから最後のフルインフルアウトはうまく実施できた。
USHAKOV Dmitrii RUS 難度の高い構成であったが大きな乱れなくまとめて、最後はフルインダブルアウト。着地が前に流れたが何とか決めた。
伊藤正樹 JPN 安定して実施ていたが、最後の方に前に流れ出した。最後のダブルインダブルアウトは場内が沸いた。棟朝を僅かに下回った。
GAO Lei CHN かなり高さのある演技。終始宙返りの終わりが高い位置であった。最後はハーフイントリフィスハーフアウトをきれいに決めた。ダントツの52点台をマーク。
GAUDRY Blake AUS 難度的には劣っていたが、姿勢、着地位置は非常に安定していた。実施点がGAOに続く2位。
日本勢は9位に棟朝と伊藤が並び、決勝進出をギリギリ下回った。第2演技に巻き返しの期待がかかる。
第2演技
第1グループ
BURNETT Jason CAN 最初にトリフィスルディアウトを実施したがその後に後ろに大きく流れて2種目目以降が着地の移動が激しくなっていた。しかし、最後にミラーまで実施して何とか持ちこたえた。
YUDIN Andrey RUS パイクトリフィスルディアウト、パイクハーフイントリフィスバラニアウトなど高難度技を次々と実施。最後はミラーで締めくくった。高難度の中でも高さも実施もよかった。
ABREU Diogo POR パイクトリフィスルディアウトで前に流れて、その後のハーフインパイクバラニアウトで着地がカラーまで流れて演技終了。決勝進出ラインにいたので残念な結果となった。
HANCHAROU Uladzislau BLR パイクトリフィスルディアウト、パイクハーフイントリフィスバラニアウト、タックトリフィス、タックトリフィスバラニアウトなど決め、非常に安定していた。得点は111点を超えた。
棟朝銀河 JPN トリフィス系を4回見事に決めた。タックハーフアウトトリフィスバラニアウト、タックトリフィスバラニアウトと続けたところは見事であった。得点は108.190で3位につけている。
ANDRADE Rafael BRA タックハーフアウトトリフィスバラニアウト、タックトリフィスバラニアウトはしっかりと繋げたが、その後の種目で前に大きく流れて立て直せず、レイアウトアウトでカラーに出てしまった。
SCHMIDT Dylan NZL パイクトリフィスバラニアウトからスタート。ハーフインタックトリフィスバラニアウトにうまく繋げ、最後のミラーまでうまくまとめた。
DONG Dong CHN トリフィスを5つ入れる流石の構成。途中で後ろに流れたが第2演技ではこれまで1位の得点を獲得して2位に入ってきた。
第2グループ
MARTINY Sebastien FRA パイクトリフィスバラニアウト、ハーフインタックトリフィスバラニアウト、タックトリフィスバラニアウトと繋げ、最後はハーフインルディアウト、ミラーと続けた。途中で高さがかなり落ちた。
ALIYEV Pirmammad KAZ トリフィスは最初の1種目のみ。その後は難度は落ちるものの、ルディアウトの技などで美しさをアピール。難度点が15.0しかなく、順位を上げることができなかった。
DOOLEY Logan USA トリフィスを3つ構成。高さがもう一つほしいところであったがうまくまとめた。
BAILEY Nathan GBR パイクトリフィスバラニアウト、ハーフインタックトリフィスバラニアウト、タックトリフィスバラニアウトと繋げてスタート。最後はミラーをしっかりと決めてガッツポーズを見せた。
USHAKOV Dmitrii RUS トリフィスを4つ構成。最後にバラニインルディアウト、ミラーを決めた。安定感のある演技。3位に入って決勝進出を決めた。
伊藤正樹 JPN パイクトリフィスバラニアウトからスタートしてトリフィスを3回実施。バラニインルディアウト、ミラーで最後をうまくまとめて108.465と5位に食い込み、見事に決勝進出を決めた!
GAO Lei CHN 最初はパイクトリフィスバラニアウト、その後、トリフィスを4つ入れたが、演技中盤にタックトリフィスバラニアウトを入れるなど、一味違う構成。112.535と圧倒的なスコア。
GAUDRY Blake AUS 予備ジャンプと一度中断。無事演技を始めたが、全般的に高さが不足していた。トラベルゾーンも外れた演技があった。
これでGAOがトップで予選通過。日本勢は伊藤が6位、棟朝が7位となり、二人が予選通過。日本勢が二人通過するのは初。第2演技の得点は伊藤が6位、棟朝が8位となっている。決勝での巻き返しに期待。
決勝
SCHMIDT Dylan NZL 2種目目で前に大きく流れてカラーギリギリの着地となった。その影響でその後の種目は途中で曲げてしまった。何とか10種目演技したが、実施点は伸びず。
棟朝銀河 JPN 演技前はニッポン声援が沸き起こった。トリフィス5つは見事に繋げたが、1カ所後ろに流れた影響でカラーギリギリとなった。しかし、最後のミラーまで何とかまとめ、SCHMIDTを上回り、59.535と予選を上回った。
伊藤正樹 JPN パイクトリフィスルディアウト、ハーフインパイクトリフィスバラニアウト、パイクトリフィスバラニアウトと繋げた。トラベルゾーンから外れる演技があったのが勿体なかったが、最後のミラーまで見事に繋げた。棟朝を上回れず2位。
YUDIN Andrey RUS パイクトリフィスルディアウトで大きく後ろに流れて、その後も修正できず、2種目目でカラーに着地し演技終了。
USHAKOV Dmitrii RUS パイクトリフィスバラニアウト、ハーフインパイクトリフィスバラニアウト、タックイントリフィスバラニアウト、ハーヒインタックトリフィスバラニアウトと決めた。やはりトラベルゾーン内で移動が目立ったが、最後のミラーまでまとめた。棟朝を上回れず59.525で2位。観客席の応援団の一部がかなり盛り上がってくれている。
DONG Dong CHN 最初に5つのトリフィスを見事に決めて、これまでの選手に比べて安定してトラベルゾーンに収まっていた。最後のミラーも高さを出して実施。60.535として見事にトップに立った。
HANCHAROU Uladzislau BLR パイクトリフィスルディアウトを決めた後、3種目めにハーフインタックトリフィスバラニアウト、タックトリフィスバラニアウトと決めた。途中でバラニインランディアウトも決め、実施もかなり安定し、最後のミラーまで見事に決めた。実施点が26点台に乗り、決定転61.745としてトップに立った。
GAO Lei CHN 6つのトリフィスは見事であったが、1か所宙返りが流れてジャンピンゾーンから外れた。そこから何とか立て直したが、予選よりも不安定になった実施。予選とよりも得点を下げ60.175で3位に留まった。
中国勢が圧倒的に優位な予想の中、ベラルーシのHANCHAROUが非常に素晴らしい演技を決勝で見せて、予選から難度点、実施点の両方を上げて見事に優勝。ベラルーシ勢初のメダル獲得が見事な金メダルとなった。中国勢はDONGが2連覇を狙ったが叶わず。また、トランポリン競技の過去の結果においてもこれまで2連覇を達成できた選手は男子にはおらず、連覇の難しさを感じさせた。
日本勢は、前回の伊藤に続き、棟朝がメダルにあと一歩となる4位に終わった。決勝前のアップの時間が短く、思うような調整が出来なかった中でトリフィスの連続を見事に決めた。しかし、「2本目で動いて焦ってしまい、3本目、4本目と安定したのに、2本目のことが頭に残り7本目、8本目で動いてしまった」とのことで、その移動がなければメダル獲得という点差であった。そのため、本人の評価は「20点いかないくらい」と厳しい自己評価となった。それでも、2010年のユース五輪に続き、大舞台を経験し、大きな飛躍を遂げたと共に、伊藤と並ぶエースに成長した。
一方、伊藤は4年前の4位を下回る結果となってしまった。公開合宿時の腰を痛めるアクシデントから見事に立ち直り、本人も決勝のアップでは「いける」という感触を得ていただけに非常に残念な結果となった。「全体的に焦ってしまった。気持ちと演技が合ってなかった」という言葉に表れている通り、本来の出来ではなかったのは相当悔しい思いをしたに違いない。「これまでの4年間は怪我が多かった。これからの4年間はそれを変えないといけないし、自分の力を出すにはどうしたらいいのか考えないといけない」と決意を新たにした。
山本監督は「棟朝の成績は伊藤がいなければ無理だった。伊藤がどんな状態でも連れてくると言っていたし、今回、伊藤の存在は本当に大きかった」と述べた。その伊藤は「この悔しさを持って、日本チームが安定していい選手を送り出せるようにしたい」と、山本監督の言葉を裏付けるような強いリーダーシップを感じさせる言葉を述べ、改めて日本のトランポリン界を引っ張る存在であることを感じさせてくれた。
こうして2大会連続の4位という悔しい結果となった日本チームは、4年後に向けてまた新たなスタートを切ることになった。地元の東京五輪での悲願のメダル獲得に向けて、選手たちの更なる飛躍に期待したい。
~最終順位~
1位 HANCHAROU U BLR 61.745
2位 DONG D CHN 60.535
3位 GAO L CHN 60.175
4位 棟朝銀河 JPN 59.535
5位 USHAKOV D RUS 59.525
6位 伊藤正樹 JPN 58.800
7位 SCHMIDT D NZL 57.140
8位 YUDIN A RUS 6.815