新体操W杯イタリア大会レポート2
日本(フェアリージャパンPOLA)、大健闘の4位! 皆川夏穂、クラブで17.433の高得点を獲得!
4月12日、W杯ペサロ大会2日目は、団体総合後半(ボール&リボン)と、個人総合後半(クラブ、リボン)、国際ジュニアトーナメントが行われた。
<団体総合>
上位チームのうち、最初に登場したのはイタリア。出だしの連係でボールをポロリと落下する場面があったが、あとはキャッチの移動も少なく、スピード感のある演技を見せた。曲調も変わっていて、コンテンポラリーのような振り付けで、ありきたりではない作品であった。17.650を獲得し、この時点でイタリアの優勝は決まったようなものだった。総合点35.400
次に登場したのはアゼルバイジャン。交換のキャッチに移動があったものの、落下ミスはなし。優雅な演技で17.016と、アゼルバイジャンも17点に乗せてきた。総合点33.666
そして日本が登場。前日、19ヵ国中3位で折り返した日本(フェアリージャパンPOLA)は、今日も安定した演技を見せた。ラスト近くの連係でリボンの投げが短くなり、それを処理しながらラストの連係に入ったために、リボンに結び目ができてしまったが、連係を行いながらほどくという冷静な処理で、ラストの見せ場を難なく行うことができた。最後まで粘りの演技でD8.650、E8.600、合計17.250と、じりじりと点数を上げてきた。クラブとの総合点は34.383
イスラエルはパンシェターンの崩れ、連係の移動があったが、はっきりとした演技で17.150。総合34.100
日本はこの時点で2位。
そして前日日本より下位に甘んじたベラルーシが登場。いくつか、キャッチの移動があったが、厚みのある演技で17.533。総合34.499で日本をわずかに振り切った。
フランスは前半好調に演技していたが、後半のリボンの投げが大場外。ほかにも交換の落下ミスが出て14.683。今大会はまったくいいところがなかった。
ウクライナはボールの小さな落下があり、16.566。思ったより点数が伸びなかった。
そしてブルガリアは、非常に迫力のある演技をした。身体のボリュームもあるが、そのボリュームをフルに使い、エネルギーを感じさせてくれた。交換や連係の移動もほとんどなく、得点もベラルーシより上にいくかと思われたが、17.233。ボール&リボンのみでは日本より下であった。総合点は34.483。
日本と2位のベラルーシとの差が0.116。ブルガリアにもわずか0.1届かず、惜しくも4位となった。しかしながら、19ヵ国が参加し、しかも強豪国が多く参戦した中での4位は、大健闘である。得点も、両種目とも17点台に乗せ、安定した力を見せられたことは評価に値する。あとは、ひとつひとつのエレメントにもっと迫力が出てくれば、17点台中盤まで行ける可能性がある。メダルまでの距離は、少しずつではあるが近づいている感がある。
ただし、5位のイスラエルまでもわずか0.283。ミスが出れば下位に沈む状況には変わりはないので、今後も気を引き締めていかなければならない。
<個人総合>
皆川夏穂のリボンは、最初のDERの投げ上げる方向が乱れ、続くアチチュードローテーションも軸に乗り切れなかった。しかし、足持ちのローテーションはよくまわり、16.933と、17点まであと少しというところまできた。
そしてクラブではほミスのない演技を見せた。難度も手具操作もしっかりとやりきることができて、伸びやかな演技だった。得点は17.433。これほど大きな大会で17点に乗せるのは初めてのことで、またひとつ成果を上げられた。
早川さくらも、クラブではDERの投げが戻り、コースが乱れた箇所と、手具操作にもたつく箇所はあったが、落下は回避して16.666。リボンもなんとか踏ん張り、16.916。徐々に得点をアップさせてきた。
ふたりとも4種目を通じて落下ミスを防ぎ、難度にも粘りが出てきた。リスボンの大会では、高い点数を得られるバランスの難度で手を床についてしまったりしていたが、今回はその点も修正した。伸びやかさや大きさもレベルアップし、成長ぶりがうかがえる大会となった。
1位はロシアのKudryavtseva。クラブではスケールのバランスが止まらずに流れたが、手具操作においては誰もやっていない操作を次々とこなし、リボンでは完璧な演技で18.866。手具をキャッチするのではなく、手具が手の中に自然に入ってくるような手具さばきは、驚嘆の世界である。身体もしっかりとしてきて、表現力まで身につけ始めたため、これからどんなすばらしい演技を見せてくれるのか、非常に楽しみになってきた。
2位は同じくロシアのMamun。リボンに結び目ができて、演技を中断してほどいたり、クラブではDERで落下があったが、難度の不確実さがなくなり、動きのキレもすばらしい。KudryavtsevaとMamunのふたりが、これまで見たことのない新体操の世界を作り上げていってくれるに違いない。
3位はウクライナのRizatdinova。クラブでは出だしで落下したが、すぐに立て直した。リボンでも、ローテーションの体軸の乗りがすばらしく、ほぼミスのない演技で18.183。
4位にロシアのTitovaが入り、5位は韓国のSon。Sonは、クラブ、リボンとも1カ所ずつ明らかなミスが出てしまった。
6位はアゼルバイジャンのDurunda、7位にフランスのMoustafaeva。Moustafaevaは、モスクワグランプリの際は、身体の締まりもなく、技の精度も悪かったが、今大会ではぐぐぐっと上げてきた。
7位はベラルーシのStaniouta。クラブではせっかく良い調子できながら、ラストのDERで落下。リボンでも背中転がしをミスした上に、ラストのDERでも落下して、リボンが場外。最後まで粘りきれなかった。
8位はベラルーシのHalkina。パワー全開で、乗りに乗った演技であった。
皆川は12位、早川が14位。強豪、中堅そろい踏みの中でこのポジションがとれたことは、彼女たちにとっても、また日本にとっても大きな収穫であった。今後はこのような試合を積み重ねていくことで、上位の仲間入りができるようになるだろう。
<国際ジュニアトーナメント>
立澤孝菜のリボンは転回のころがしで落下。途中、リボンに結び目ができ、それをほどくのに手間取った。難度のこなしはよかったが、大きなミスとなり、11.216。
クラブはひとつひとつの演技をていねいに行い、14.050。今大会で自身初の14点台を出した。
喜田純鈴は、リボンが身体にふれる箇所がいくつかあり、DERの方向が変わってしまった場面もあった。クラブではステップの終わりのなんでもないところでポロリと落下。惜しいミスがあり13.900。
ふたりとも、4種目を通じては、リスボン大会より大きさが出てきた。ミスもいくつか出てはいるが、いまは失敗を恐れず、伸びやかにそして正しい演技ができるようにしていってほしい。
明日のファイナルには、日本の団体は両種目ともに出場。
またスタートリストが出ていないので確定情報ではないが、皆川夏穂がクラブで同点8位に位置しており(実際は同点9位であるが、国から2名しか出場できないため、ロシア3選手のうち1名が抜ける)、出場の可能性がある。
山﨑浩子