新体操W杯ポルトガル大会レポート3

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フェアリー ジャパン POLAが3位に!

FJP銅メダル

現地4月5日、W杯リスボン大会3日めは個人総合後半種目(クラブ、リボン)と、団体総合後半種目(ボール&リボン)が行われた。

<団体総合>
後半のグループの最初に登場した日本(フェアリージャパンPOLA)。3月中旬に伴奏音楽を変えたばかりで、なんとか大会に間に合わせたが、全体を通しては流れのある演技であった。一カ所、交換のボールの投げが短くなり、走って上から押さえる形でのキャッチになってしまったが、16.600というまずまずの点数を得た。昨日のクラブの点数と合わせて32.850で、順位をひとつ上げて団体総合銅メダルを獲得した。
優勝はスペイン。ボール&リボンではひとつの連係の間に、ふたつ、みっつの組み合わせが行われており、それをほぼミスなく演技して、17.250。合計34.650で金メダルをものにした。
2位はアゼルバイジャン。大きなミスはなく、16.900。合計33.850で銀メダルを獲得した。
3位が日本とウクライナ。昨年と同じ作品であったが、DERをやれなかったり、不正確なキャッチが数カ所あり、16.350。合計32.850で日本と並んで表彰台に乗った。
5位はフランス。クラブに続いて、ボール&リボンも昨年と同じ作品を持ってきたが、連係での落下が幾度かあり、また交換でも落下して場外。ミスが続いて14.700。合計30.500で5位となった。
以下、6位ポルトガル、7位カナダ、8位メキシコ。
日本は、ロシアやベラルーシがいない中でのメダル獲得ではあるが、なんにせよ表彰台に乗れたということを自信と活力にしていってほしい。今後はミスをなくしていくことと、伴奏音楽からくる厚みや深みを表現できるようにしていくことが課題である。また、杉本早裕吏が故障から復帰したり、横田葵子が候補生からの出場を果たしたりと、メンバーにも少しずつ厚みが出てきた。ロンドンオリンピック出場メンバーの深瀬菜月も徐々にではあるが復帰予定であり、今後は正メンバー争いも熾烈になってくるだろう。
(ボール&リボン出場選手)畠山愛理、松原梨恵、杉本早裕吏、国井麻緒、熨斗谷さくら
(団体総合銅メダル獲得メンバー)畠山愛理、松原梨恵、杉本早裕吏、国井麻緒、熨斗谷さくら、横田葵子

<個人総合>
日本勢で先に登場した皆川夏穂は、クラブの前半から中盤をきっちりと決めていったが、ジャンプ時に、一本をももで蹴り上げ、もう一本を上に投げ上げる技で一本を落下。非常に難しい技であるが、きれいに投げ上げられていただけに惜しいミスが出て16.100。リボンでは、各ローテーションが回転不足になり、DERでも投げが乱れてカウントされなくなったことで、落下はなかったものの15.800。今大会初めて16点を割った。総合点は65.000で11位となった。モスクワグランプリよりミスは出たが、動きの大きさは今大会のほうがあり、少しずつではあるが確かに階段を上っている。入賞は逃したが、今後も10位から15位ぐらいの成績をコンスタントに出していくことが重要である。
早川さくらはのクラブは、出だしのMGキックでのトゥールがはまらず、後半のなんでもないところで落下。16.000。リボンは、ジャンプ時にリボンが身体にからみ、DERのキャッチも不正確に。リボンが動いていない箇所もいくつかあり、16.050。合計63.950で16位であった。少々エネルギーが感じられなかったが、今季初の試合をこなしたことで、早川もひとつの階段を上れたと言える。
今大会、トップの座を射止めたのは、韓国のSon。クラブの出だしは少々動きが硬く、手具操作に手間取るところもあったが、どうにか粘り、17.550。リボンは、フェッテの若干の移動や、ローテーションの回転不足はあったが、メリハリのきいた動きで全体的にうまくまとめた。特にアラベスクのローテーションから、そのままパンシェのバランスに移る技では、身体の軸の乗りも非常に良く、17.950。総合点71.200で4種目を通じてただひとり、大きなミスもなく、金メダルを獲得した。W杯の種目別ではメダルを取ったことはあるが、個人総合で表彰台に上るのは初めて。しかも金メダルということで、すばらしい戦いぶりには大きな拍手を送りたい。
2位はStaniouta。クラブのラストで大きく場外。走って戻ってポーズをすることになり、16.000。リボンでは身体へのリボンのからみはあったが、どうにかまとめて17.600を獲得したものの、総合点は68.150でSonには遠く及ばなかった。
3位はロシアのAverina。両種目ともふんだんに難しい手具操作を織り込んでいるが、まだこなしきれていない部分があるのと、上体の動きが浅く、総合点は68.000。Stanioutaとは、わずか0.150の差であった。
4位はスペインのRodriguez。リボンではフラメンコギターの伴奏音楽に合わせ、情熱あふれるステップを踏み、クラブでも自分自身が楽しんで演技をしているのがわかり、観ているものもを楽しませてくれた。作品を自分のものにしているという感じであった。
5位がアゼルバイジャンのDurunda、6位がロシアのTitovaであったが、Titovaはクラブで2度の大きな落下ミスを犯して、表彰台を逃した。

いまのルールでは、落下ミスや目立ったミスをすると極端に点数がなくなる。つまり、難度点は加算されず、実施の技術的な部分からも芸術的な部分からも減点されるため、トリプルに得点に影響するわけである。ゆえに、いかにミスをなくしていくかがどの選手にとっても鍵になる。そういった意味では、Sonの安定感は抜群であり、今後も表彰台争いの常連になっていくに違いない。
日本の皆川、早川には、そういう安定感はまだない。しかし、昨年よりはずっとミスも少なくなってきており、世界の名だたる選手の中に入っても、まったく見劣りはしない。これからもっと感情表現が豊かになり、堂々と演技できるようになれば、ジリジリと順位を上げていけるだろう。開脚度があり、回れる選手が多くなってきた中で、「どれだけ質を高めていけるか」、「どれだけエネルギーを持って演技できるか」が勝敗の分かれ道である。
明日は種目別決勝が行われ、日本の団体は両種目に出場する。

Hiroko Yamasaki