第40回世界新体操選手権大会レポート②

報告者:新体操強化本部長 村田由香里

8月24日 個人総合予選後半
【山田愛乃】
リボン:
アップテンポの曲に会場も自然と盛り上がり、それに応えるように彼女の身体からもエネルギーが湧きあがる演技であった。冷静さも感じられていたが、最後のRで力みが出てしまい場外まで投げてしまうというミスを出してしまった。今シーズンの中で1番クリアな演技であったがゆえに、悔いの残る演技となった。

クラブ:
スタートRにて受けが乱れヒヤッとしたがなんとか対処をし、終盤までは迷いのない力強い演技をすることが出来た。しかし、前転シリーズのRで受けの直前で判断が遅れ、その場で落下となった。
両種目ともミスをするまではとても良い状態であったがゆえに、最後の最後で踏ん張りが効かずミスが出てしまったことがとても悔やまれる。
最後の踏ん張りは、やはり日々の練習の積み重ね、数多くの試合経験から身に付いていくものである。今回のミスを通し選手自身が何を学び考え、どのように練習に生かしていくかが重要である。

リボン 25.150(DB8.10 DA3.60 A7.40 E6.65 P-0.60)
クラブ 26.250(DB8.30 DA4.00 A7.0 E6.900)
個人総合予選 57位(ベスト3スコア合計)

【喜田未来乃】
リボン:
黒鳥の曲に合わせ、羽ばたくように舞うこの作品は、試合を重ねるごとに喜田選手の味が出てきていた。しかし、今大会ではリボンが終始弱々しく体に触れることが度々あり、その直後に行ったDA転がしにてタイミングが狂い落下する形となった。体の調子が悪いわけではなかったが、気持ちが大きく左右する形となった。

クラブ:
4種目のクラブ、疲れを感じさせない体のハリがあり、身体難度、投げ技ともに良い形で実施することが出来た。世界選手権初出場ではあったが、この1年間で急成長し、今後に期待がもてる演技内容であった。しかしながら、全身で曲を表現する世界の上位者の中に入ると、物足りなさを感じずにはいられないのが現状である。身体、手具操作ともにスピード感を増すこと、また動きや表情に深みが増せば上位に食い込めるだけの力は持っているように感じられた試合であった。

リボン 26.250(DB 8.40 DA 4.00 A 7.00 E 6.85)
クラブ 29.600(DB 9.70 DA 4.70 A 7.60 E 7.60)
個人総合予選 33位(ベスト3スコア合計)

パリオリンピックの出場枠がかかった大会であったが、日本は個人出場枠を獲得することが出来なかった。また、個人総合にも進出することが出来ず大変苦しい結果に終わった。
個人代表選手たちは全力を出し切ってくれたが、ファイナリスト常連の選手でも個人総合に進出できないほどレベルの高い選手が増え、世界の壁は想像以上に高いことを痛感している。
東京オリンピックに向け、トップ選手に重点を置いた強化を行ってきたため、その選手たちが抜けた今とても苦しい戦いを余儀なくされているのが現状である。来年のアジア新体操選手権大会での枠どり(オリンピック出場枠)に向けた短期強化とともに、計画的に良い選手を輩出できるよう、抜本的な強化の確立も引き続き早急に進めていかなければならない。

明日(8/25)は団体総合が行われる。
オリンピック出場枠を勝ちとるために、チーム一丸となり日本チームにしか出来ない演技を存分に魅せきりたいと思う。

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