第2回世界ジュニア新体操選手権大会レポート②
【個人競技】
大会2日目は個人後半種目が行われ、Dグループのトップバッターで登場した丸山莉奈選手の種目はクラブから。本日もとても落ち着いて1つ1つ丁寧に演技していたが、演技中盤シリーズのリスクを真上に上げてしまい、前転を1回だけ行い落下を防いだ。その他は身体難度も良く、最後まで伸びやかに演技した。しかし抜けてしまったシリーズのリスクは、成功すると1点以上の価値のある部分なので、しっかりと決めたいところであった。
2種目目のリボンは全体的に不明瞭な操作が多く、リボンが描ききれていなかったため、DAがカウントされない箇所が多かったと思われる。また最後のリスクでリボンが流れ、落下となってしまい、D得点を伸ばすことが出来なかった。
●クラブ D 9.80 (DB 5.8 / DA 4.0) A 7.50 E 7.70 25.00(23位)
●リボン D 9.00 (DB 6.1 / DA 2.9) A 7.20 E 7.00 23.20(34位)
海外の選手達はジュニア選手といえども非常に体幹が強く、ローテーションも5~6回転回り切る。動きもスピーディーで、全身を使って踊り、全身を使って表現する。出てくるエネルギーがまったく違うと感じる。日本のジュニア選手の場合、エネルギッシュに動ける選手は姿勢欠点が多くなりがちで、美しく演技する選手はスピードやエネルギーが不足するという傾向にあるように感じる。どちらかでは世界との差は広がるばかりである。
丸山選手も実施点は評価が高いので、更に動きのコマ数を増やし、音に対してリズムの変化や強弱などの表現の幅を広げ、大きさのある動きや説得力のある身体難度の実施が出来れば、各パートにおいて得点を上げていくことは可能であるので、更なる努力を続けてほしい。
イスラエルやイタリア、ウズベキスタンは4名の選手が1種目ずつ行っていたが、特にイスラエル、ウズベキスタンはどの選手も28点代~31点代を獲得しており、層の厚さを感じた。今回はジュニアの試合ということもあり、芸術点が一番高い選手、実施点が一番高い選手、観客の人気投票、団体ではシンクロ賞、フェアプレイ賞など様々な賞が準備されている。
ポーランドのLEWINSKA Liliana選手は1日目より音に合った作品、表現で目を引いていたが、3種目において芸術点の最高賞を受賞していた。また地元ルーマニアは2日目もクラブ1位、リボン2位になる活躍をみせ、この試合や後に行われるWCCを機に着実に強化を進め成果を上げていると感じた。
【団体競技】
団体はボールの演技を行った。このチームを結成して以来、最高の演技が出来た。基準で受けられない部分や両手が出てしまった部分もあり、すべてが完璧ではなかったが、最後まで絶対にやり切るという強い思いでチームが1つにまとまった。リザーブ2となり惜しくも決勝進出とはならなかったが、悔いのない演技で最後を締めくくることが出来、選手たちも最高の笑顔を見せてくれた。
しかしながら1回大会の際にも、D得点を上げたいが選手が実施可能な演技との狭間で悩むことが多く、結局今回もD得点を上げきれないまま試合を迎えることになってしまった。同じ反省を繰り返していては前に進めないので、次回に向けての教訓とし、日本での強化に繋げていきたい。
団体総合優勝はブルガリアで、多彩な手具操作で次から次へと技を繰り広げ、ノーミスで演技を終え、観客からも大歓声が沸き起こった。そしてイスラエルのボールの演技は本当に素晴らしかった。ジュニアとは思えないエネルギーで繰り広げられる技、身体難度、音にぴったりマッチした動きと表情、すべてのバランスがパーフェクトで2分半があっという間と思えるほど引き込まれた。32.00点という高得点を叩き出し、ボールでは31.75のブルガリアを上回ったが、昨日のロープとの合計で、1位ブルガリア(62.05)、2位はイスラエル(61.95)、3位にはアゼルバイジャン(59.40)が入り、日本は53.70で12位となった。
●ボール5 D 12.90 (DB 5.6/ DA 7.3) A 7.95 E 7.15 28.00
出場選手:田中友菜、西寿里愛、花村夏実、真嶋あのん、松田凜