ChacottCHAMPIONSHIPS第40回全日本ジュニア新体操レポート(男子)11/20

報告者:日本体操協会 男子新体操委員会

第40回全日本ジュニア新体操選手権大会 大会最終日は団体。
男子新体操の花形とも呼ばれる団体競技。6名の選手がフロアを縦横無尽に駆け回り、徒手体操、タンブリング、組技など多彩な内容を3分間の中に組み込み演じる。そして、今年は何と言っても久しぶりの有観客。選手たちも一段と気合が入るものだ。先月開催された全日本選手権でも素晴らしい演技の応酬で、観客に沢山の感動を与えてくれた。
昨日の個人競技は劇的な幕切れだったが、プレッシャーをはねのけ、積み上げてきた努力を武器に勝利という大輪の花を咲かせるのはどこのチームなのか!?
今日も最後まで目を離せない戦いの火蓋が切って落とされた!

【団体選手権】※レポートの順番は試技順通り、( )内は予選通過ブロック枠

21位 小松島中学校(四国)
四国ブロック代表の小松島中学校。全日本ジュニア参加チームの中でも同中学のみのメンバーで構成されたチームは少ない。中学生選手なので他のチームと比較しても全体的に体が大きく、動きも見栄えがする。今回は6名がほぼ同一レベルの選手たちであったため、動きも見やすくトップバターとして登場したがその役割を十分に果たしたといえる。
構成3.550 実施2.150 減点0.00 得点5.700 

第19位 synchression(関東)
冒頭切れの良い徒手から迫力のある第一タンブリングにつなげる。その後の組も高さがありよいスタートを切ったが、中盤の倒立の乱れ、第二タンブリングの着地などミスが目立つ通しになってしまった。しかし、一つずつの徒手をしっかりと演じ切ろうとする意識は最後まで伝わった。
構成4.950 実施2.800 減点0.00 得点7.750

第15位 ソルクス体操クラブ(近畿)
小学生4名がメンバーに入るソルクスは小柄な選手が多い。しかし、出だしから一貫して流れるような徒手の演技構成で攻める。昨今の男子新体操団体では徒手の流れが重視されるが、これは合わせることが非常に難しい。特にまだ小学生がいるチームは尚更だ。しかし、果敢に挑戦し最後までやり切った。これからが楽しみなチームだ。
構成5.400 実施3.900 減点0.00 得点9.300

第17位 北海道新体操クラブ江別(北海道)
個人総合でも活躍した小鹿、田中を中心に出だしからスピード感のある演技を繰り広げていく。全体的に演技の流れはよく感じたが、体型の差もあるのか、小さな選手達とのスピードの差や後半のミスが目立ち点数を伸ばすことが出来なかった。
構成4.750 実施3.600 減点0.10 得点8.250

第4位 水俣ジュニア新体操クラブ(九州)
全体的に体も大きくタンブリング能力も平均的に高いチームであった。バランスの静止は完璧に止まり、流れのある徒手もピタリと合わせてくる。目立ったミスも少なく、激戦区である九州の代表としてふさわしい演技を披露してくれた。
構成7.450 実施6.100 減点0.10 得点13.450

第7位 BLUE KIDS(東北)
新体操が盛んな青森で活躍するジュニアクラブ。今回は会心の一本を見せてくれた。流れのある難しい演技構成も一つ一つ丁寧に合わせてくる。倒立、バランスの静止技もピタリと止めた。彼らの力を存分に発揮した素晴らしいパフォーマンスであった。
構成7.000 実施5.550 減点0.00 得点12.550

第9位 三桜ジュニア新体操クラブ(九州)
迫力のある音楽に合わせて、フロアを縦横無尽に駆け回る。体もしっかりと使おうとしている意識も見ている者に伝わる演技だった。静止技は実施力も高くこなしたが、タンブリングの着地にやや乱れが見えた。
構成6.700 実施5.250 減点0.00 得点11.950

第12位 阿久比新体操クラブ(東海)
演技後に思わずガッツポーズが飛び出した。選手たちも手応えを感じたようだ。動きがある構成のため、合わせるのが難しく少しのズレも目立ってしまう。小柄な選手達ではあったがフロアを所せましと最後まで運動力高く演じ切った。
構成5.850 実施4.650 減点0.00 得点10.550

優勝 井原ジュニア新体操クラブ(中国)
例年の全日本ジュニアでも常に上位に絡む実力を見せる井原ジュニア。高校でもその名を轟かせる井原高校の弟分である。「井原体操」と称される柔軟性豊かな徒手体操を武器に、今年はタンブリング力でもトップクラスに仕上げてこの大会に合わせてきた。倒立や井原にしかできないI字バランスもピタリと止めて見せた。正に優勝候補の名にふさわしい素晴らしい演技であった。
構成8.350 実施7.450 減点0.00 得点15.800

第2位 JKA芦北ジュニア新体操クラブ(九州)
激戦の九州ブロックをトップで通過してきたJKA芦北。本大会でもその実力を見せつけてくれた。爆発的なタンブリングに加え、スピード感あふれる隊形変化と徒手運動は迫力満点であった。惜しくも倒立で1名が少し早く倒れてしまったが、それ以外はほぼノーミスの演技を披露した。
構成8.150 実施6.650 減点0.00 得点14.800

第16位 大垣共立銀行OKB体操クラブ(クラブ選手権)
個人で嬉しい初優勝を飾った丸山一休を擁するOKBであったが、本番直前の練習で選手の1名がケガをして急遽5名での出場となった。それでも選手たちは動じることなく自分たちができる演技を最大限にやり切った選手たちに大きな拍手を送りたい。
構成5.525 実施4.300 減点1.50 得点8.325

第13位 北海道新体操クラブ恵庭(北海道)
北海道予選を勝ち上がってきた恵庭。出だしからスピード感ある演技でグイグイと前にアピールしてくる。第一タンブリングでは全員が足着地を実施し加点を獲得しにきた。倒立で一人手前に落下したのがもったいなかったが、最後まで走り抜けた。
構成5.950 実施4.100 減点0.10 得点9.950

8位 滝沢南中学校(東北)
東北ブロックの強豪、滝沢南中学校。過去には全日本ジュニアでの優勝経験も持つ歴史あるチームの一つである。優しいメロディにのせて曲のリズムに同調した動きを武器に、倒立やバランスにも変化をつけて最後まで演じ切った。選手たちもガッツポーズが出る演技に会場から大きな拍手が送られた。
構成6.900 実施5.600 減点0.10 得点12.400

第3位 神崎ジュニア新体操クラブ(九州)
昨年度第3位の神崎ジュニアは、ジュニア離れしたタンブリング力とスピード感あふれる演技構成が魅力のチームだ。今年はメンバーがガラリと変わり少しチーム力が落ちると聞いていたが、杞憂に終わった。やはり強かった。タンブリングも昨年までのような爆発力はなかったが、一人ずつが余裕をもってやりきる。また、構成の随所にみられる一風変わった動きなど見どころ満載の演技であった。
構成7.600 実施6.550 減点0.00 得点14.150

第20位 レインボージムナスティック大潟(北信越)
今大会初出場のレインボーは創部してまだ数年のチーム。新潟県勢ジュニアとしてここ数年で成長著しいチームだ。演技の内容は決して難しいことはしていないが、それは常にマイナスに働くわけではない。演技構成は選手たちの力を一番最大限に引き出すことが大切である。それを実践してくれた。まずはしっかりと経験を積むことも大切である。これから期待したいチームの一つであった。
構成3.400 実施2.850 減点0.10 得点6.150

第18位 君津新体操クラブ(関東)
君津にも直前練習でアクシデントが起きてしまった。選手の1名がタンブリングで足首を痛めてしまい5名での出場となった。時に試合は思い通りにいかないものである。選手たちにとってはここまで練習を共に積んできた仲間が直前で離脱してしまうのだから精神的なダメージは計り知れない。それでも選手たちはフロアに立たなければならない。大会までも沢山の困難に直面したと聞く。その中で最後まで諦めずにフロアに立ち、演じ切った彼らの次に期待したい。
構成5.500 実施4.100 減点1.50 得点8.100

第10位 AJH新体操クラブ(クラブ選手権)
クラブ選手権で枠を勝ち取り本戦へと駒を進めてきたAJH。演技構成の中に選手個人の能力を活かした独創的な技をちりばめ、演技のよいアクセントとして光っていた。大きなミスなく最後まで見事に演じ切った。
構成6.500 実施4.600 減点0.00 得点11.100

第14位 ホワイトキューブ新体操教室(クラブ選手権)
流れのあるリズムで緩急を表現する演技内容であった。しかしタンブリングの着地、動きの合わせ面において減点に繋がる部分が多くあり、点数に影響してしまった。今回はクラブ選手権枠での参加であったが、来年は東北ブロックを勝ち抜き本戦に出場できることを期待したい。
構成5.900 実施3.800 減点0.00 得点9.700

第6位 国士舘ジュニアRG(関東)
昨年度優勝の国士舘ジュニアRG。個人準優勝の村山颯を擁し本大会に挑む。昨年とメンバーがガラリと変わり小学生も入っているチームだ。しかし、国士舘ジュニアらしい流れのある徒手と美しい伸びは健在だった。倒立、バランスで乱れはあったものの最後まで演じ切った。
構成7.150 実施5.700 減点0.00 得点12.850

第5位 佐賀ジュニア新体操クラブ(九州)
同県に神崎ジュニアがいるが、引けをとらないチームに成長してきた。九州地方は総じてタンブリングが強い。佐賀ジュニアもタンブリング力に加え独創的な組み合わせの徒手運動など見どころ満載の演技であった。
構成7.475 実施6.100 減点0.20 得点13.375

第11位 水俣RG(九州)
今大会最後に登場したのは水俣RG。出だしは選手達それぞれがスピード感を意識しカノンになって動く。全体的にスピード感を意識した構成で運動力が多い。そのため少しのばらつきが目立ってしまうこととなる。細かい減点はあったものの最終演技者として十分見ごたえのある演技を披露した。
構成6.000 実施4.650 減点0.00 得点10.650

3日間の激闘が幕を閉じた。最終日は団体競技が開催され井原ジュニア新体操クラブが見事な演技で2018年以来の優勝を飾った。それにしても九州勢の強さが際立った大会でもあった。優勝こそ井原ジュニア(中国地方)が勝ちとったが、2位~5位は全て九州のチームであった。他のブロックの来年の奮起にも期待したい。

総括として、個人レポートでも述べたが、ジュニア世代ではしっかりとした基礎を作ることが最も大切である。確固たる基礎の上に成り立つ様々な技術は、将来必ず高得点に繋がる。彼らの未来がより明るく照らされるためにも指導現場でも是非大切にしてもらいたい。

様々なドラマがあった今年の全日本ジュニアも閉幕した。ここから来年に向けてどのチームも冬の時期に突入する。また来年、新たな感動的な演技に出会えることを期待して本大会のレポートの締めとしたい。

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