第75回全日本新体操選手権大会レポート(女子個人)10/27-28
【1日目 前半2種目】10/27
10月27日~30日高崎アリーナにて、第75回全日本選手権大会が開催された。
喜田純鈴選手(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)が2種目を終えて暫定トップ。
フープ試技順1番で登場した喜田選手は、プログラム通りの演技を感情表現込めて演じた。伸びやかでしなやかな動きの中に、鋭さを感じる動きで、喜田選手の世界観を表現していた。
動きの大きさ、スピード、技の精度、どれを取っても群を抜いていた。フープ、ボール共に大きなミスなく纏めた。得点 フープ31.000 ボール31.100
2位は山田愛乃選手(イオン/国士舘大学)。
フープはエネルギッシュに、ボールは透明感のある美しい演技を披露した。手具を体の遠くで扱い、伸びやかで美しい演技は、新体操の神髄を感じる。
得点 フープ30.100 ボール28.600
3位は鈴木菜巴選手(須磨ノ浦高等学校/アリシエ兵庫)
「有観客で初めての全日本選手権大会で嬉しかった。」と演技後、笑顔コメントした鈴木選手。小柄ではあるが、フロアの上に立つと大きく見える鈴木選手。自分の強みと弱みを鈴木選手自身が良く理解して演技しているのだと、インタビューを聴いて感じた。
得点 フープ28.950 ボール28.800
今年度のルールより芸術性がより求められるようになり、音楽の特徴を活かした演技構成、演技のテーマ、コンセプトが評価に大きく影響する。昨年の全日本選手権大会より「音楽が聴こえる」ようになった。明日は後半2種目、クラブ・リボンの競技が行われる。個人総合優勝の栄冠を手にするのは誰なのか、ミスが許されない熱い戦いとなりそうだ。
【2日目 個人総合順位決定日】10/28
優勝の座に輝いたのは、喜田純鈴選手(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)
4種目を通して大きなミスなく見事だった。
クラブは、「ボレロ」に乗せて、喜田選手の世界観を表現した。軸が若干ぶれる場面もあったが、表現力豊かに難易度の高い技を次々と成功させ、最後まで大きなミスなく纏めた。
最終種目リボンは「リベルタンゴ」のパッションを感じる世界観を表現。会場が喜田選手の演技一色に染まった。ラストの背面投げリスクを成功させ、プログラム通りの演技を披露。演技者として熟練度を感じる演技に、会場から大きな拍手が沸いた。
得点 クラブ29.950 リボン30.900 総合得点 122.950
2位は山田愛乃選手(イオン/国士舘大学)
山田選手も大きなミスなく4種目を踊り切った。
リボンでは軸が定まらない箇所が見受けられたが、最後まで大きなミスなくこらえた。動きの繋ぎに無駄がなく、リズミカルで軽な演技で会場を魅了した。最終種目クラブは、スタートのダイナミックな2本投げを成功させ、スピード感のある演技で最後まで纏める。多少投げがズレたとしても、熟練された技術でカバーし、ミスには見せない調整力は流石であった。
得点 クラブ28.350 リボン30.900 総合得点 114.900
3位は喜田未来乃選手(エンジェルRGカガワ日中)
昨日のボールのミスを挽回する演技で、見事3位入賞を果たした。
クラブは美しいパンシェから演技がスタート。軸がビシッと決まり、バランス、回転難度は明確であった。最終種目のリボンでも、集中力を切らすことなく、最後まで大きなミスなく纏め上げた。長身を活かした、伸びやかなジャンプ難度が印象的。リボンの描きが更に強くなれば、スピード感や迫力を感じるのであろう。昨年と比較しても急成長を遂げている。伸びしろをまだまだ感じる、今後楽しみな選手の1人である。
得点 クラブ27.100 リボン26.950 総合得点 109.050
36名の選手が2日間にかけて、素晴らしい演技を披露した。
最後まで、自分のベストを尽くし演じきったすべての選手に会場からは大きな拍手が沸いていた。久しぶりの有観客の大会であったが、やはり観客の皆様の応援は選手達にとって何よりもの力となることは間違いないと感じた。
また、ルール改正により、音楽のコンセプトに合った振り付けの重要性を今まで以上に感じる2日間であった。明日は種目別決勝が行われる。各種目のファイナリストの演技に期待したい。