2022新体操アジア選手権(シニア・ジュニア)大会レポート4
アジア選手権大会4日目レポート 2022年6月26日
◆シニア3日目
大会4日目はシニア団体種目別(リボンボール)、個人種目別決勝が行われた。
●団体
・2位 日本(フェアリージャパンPOLA)
試技順2番で登場したフェアリージャパンン POLAは冒頭の複数投げをキレイに決め、続くパンシェターンもしっかりと見せた。しかし予選でミスの出たCCでまたもや落下ミス。団体総合ではその後の複数投げまでミスが続いてしまったが、今回はすぐに修正し、エネルギーのある演技を披露した。後半のリスクにて不正確なキャッチになってしまう場面が見られたが、ラスト見せ場の複数投げもしっかり見せることが出来た。落下ミスは1ヶ所のみであったが、全体的にバタバタと見える印象は、移動やムダ足・不正確なキャッチが原因である。
点数は変わらなくてもオリジナルの難しい技を入れていかなければ世界の上位には入れない。しかし、ミスをしていては戦いの舞台にも上がれない。
世界選手権に向け、今後更に1つ1つの技の完成度を上げ、本番一本に完璧な演技が出せるよう力をつけていきたい。
D12.2(body 6.7 app5.5) A 8.05 E 6.60 合計26.85
出場選手:鈴木歩佳、竹中七海、稲木李菜子、生野風花、中村知花
・1位 ウズペキスタン
優勝はウズベキスタン。大きい移動が数ヶ所、絡まりミスも数ヶ所、リスクを1人が実施しないなどのミスがあったが、落下ミスは防いだ。
D13.5(body 6.7 app 6.8) A 8.00 E 6.50 合計28.00
・3位 カザフスタン
交換で3ヶ所の落下ミスが出た。その他は総合の時より良い出来であったが交換のミスが響きDBが伸びなかった
D11.2(body 5.0 app 6.2) A 7.75 E 6.4 合計25.35
●個人種目別決勝
・フープ
2位 喜田純鈴
国別対抗の時はフープが手につかない様子だったが、3回目の演技となる今回は自信に満ちた表情で最後まで踊り切った。
D15.7(body 9.9 app 5.8) A 8.55 E 8.25 合計32.50
6位 喜田未来乃
今大会の中で一番の出来であった。難度のフォームも良く、DAも正確に実施し、初めて30点代に乗せた。海外選手に比べるとまだまだ線の細い印象ではあるが、今大会を機に、少し自信もついたのか存在感が出てきたように思う。
D14.1(body 8.3 app 5.8) A 8.00 E 8.10 合計30.20
優勝はウズベキスタンのIkromova選手。高い身体能力に加えて実施力も高く、非常にミスの少ない選手である。3位には中国のZhao選手が入った。
・ボール
3位 喜田純鈴
個人総合ではミスの出たラストのキャッチもしっかりと決め、この日一番の出来であった。D14.7(body 8.5 app 6.2) A 8.60 E 8.25 合計31.55
優勝はウズベキスタンのIkromova選手。見せ場のルルベのパンシェターンもしっかりと決め、この日唯一の33点代をたたき出した。同じくウズベキスタンのTashkenbabeva選手がベテランらしい確実な演技で2位に入った。
・クラブ
3位 喜田純鈴
クラブもしっかりノーミスでまとめ、エネルギーのある演技を披露した。しかしクラブだけは出来が良くても、なかなか30点代には乗ってこない。特にこの日はDAのカウントが厳しかったこともあるが、回転の360度を確実に行うなど、DAを正確に実施することがポイントとなるだろう。(
D13.4(body 9.7 app 3.7) A 8.0 E 8.35 合計29.75
8位 喜田未来乃
クラブはステップ中の何でもないところで落下ミスが出てしまったが、この試合を通して数々の成長を見せてくれた。まだまだ演技をこなすことに精一杯で曲を表現するまでには至っていないが、ポテンシャルの高さは十分アピールできた。今後の成長に期待したい。D11.2(body 7.6 app 3.6) A 7.55 E 7.20 合計25.95
優勝はウズベキスタンのIkromova選手。DBでは11点代をたたき出している。そしてやはりミスもない。そして2位に入ったのがカザフスタンのTaniyeva選手。Ikromova選手と並ぶ高い身体能力の持ち主であるが、何せミスが多い。手具操作が下手というわけではないが、国別でも個人総合でもフープは大きなミスを繰り返し、下位に沈んでいる。しかしながらこの日のクラブは会心の演技で、本人も満足の出来だったようだ。やはりDBでは11点代に乗せてきている。
・リボン
5位 喜田純鈴
DAの脚下でのキャッチで落下ミスが出てしまった。個人総合では素晴らしい演技を披露しておりメダルの期待が高かっただけに残念であった。しかしながら今大会12演技を通して非常に安定感が増したと感じる。ミスがあってもその後に響かず、最小限でとどめることが出来ていた。しかし、世界選手権では1つのミスが大きく順位を下げることになる。Dのポイントアップと更に熟練度を増すことが今後の課題である。
優勝はTaniyeva選手。今大会初の金メダルである。ローテーション難度の回転数も素晴らしく、リボンの描きも力強く、エネルギッシュな演技を披露した。2位にはIkromoa選手、3位には中国のZhao選手とウズベキスタンのRakhimova選手が入った。
◆ジュニア3日目
大会最終日はジュニア団体種目別ボール5、個人総合種目別決勝(クラブ、リボン)が行われた。
●団体 ボール5
・1位 日本
この大会を通し、日に日に自信をつけ上達しているのが感じられる選手たちの演技は、連係や交換などを次々に決め会心の出来であった。
カザフスタンより質は劣るものの、元々の構成点が高い日本がミスなく踊り切ったことで金メダルを獲得した。
日本では試合が4日間続くことがなく、精神的にも体力的にも厳しい状況ではあったが、堂々と力強くやり切った選手たち、また指導にあたったコーチたちも見事であった。
D12.1(body 5.5 app 6.6) A 8.00 E 7.50 合計27.60
出場選手:初根鈴乃、中村心結、中村明里、庄司遥、田邊胡桃
・2位 カザフスタン
アップタウン・ファンクの曲に合わせた数々のCCはどれも面白く、終始飽きさせない演技であった。技も表現の一部として盛り込める技術は日本も必要である。
D11.1(body 5.2 app 5.9) A 8.10 E 7.30 合計26.50
●ジュニア個人種目別
・クラブ
4位 丸山莉奈
今持っている全ての力を出し切り、ミスなくまとめ上げた。今後、動きのスピードを上げ難しい技を実施出来ればメダル圏内に入ることも夢ではない。
D9.3(body 5.9 app 3.4) A 7.75 E 7.85 合計24.90
・リボン
3位 馬場せせら
今大会で1番エネルギーがあり、馬場選手の良さが存分に発揮出来た演技で銅メダルを獲得することが出来た。試合をこなす度に自信をつけ、同じ演技であっても全く異なる演技に見えた。選手の思いが伝わるのも、この競技の魅力の一つである。
D9.6(body 5.2 app 4.4) A 8.25 E 8.30 合計26.15
高得点がとれる選手の共通点の一つに、ローテーションが回れるということが挙げられる。
回れば回るほど点数を加点できるローテーション難度が得意な選手は、小さいミスがあっても確実に点数を獲得出来るため、常に安定した点数を出せているのが現状である。
今後、体から溢れ出るようなエネルギーある演技をするとともに、身体難度の強化は欠かせない。だからと言って回ることだけを強化しても、ルールの後追いになってしまう危険性があり、未来の新体操のルールに適応するかは不明である。
ルールに流されることなく。ジュニア期から体全体を柔軟に、滑らかに動かせること、また様々な動きをする中で必要な体幹、表現を身に付けていく必要がある。義務教育がある日本において時間は限られているが、体全体を意識し形だけではないトレーニング、UP、作品練習を日々積み重ねていくことが最も重要な鍵となる。