第36回全国高等学校新体操選抜大会(男子レポート)

報告者:男子新体操委員会

全国高校選抜が2021年3月25日、26日に北海きたえーるにて開催された。

高体連の大会としては2019年夏のインターハイ以来のじつに一年半年ぶりの全国大会となった。
コロナ禍において数多くの大会が中止となり、無念の引退を余儀なくされた選手たちの想いをのせて、万全の感染対策を講じ無事大会が開催できたことに心から拍手を送りたい。

大会では初日に個人競技、二日目は団体競技が行われた。例年、個人競技は各選手が四種目を演技しその合計点で競われるが、コロナ禍における特別ルールとしてリング・ロープの二種目となったためより完成度の高い実施力が求められた。また、長い期間大会も開催されてなかったため各選手達がどれほどの成長を遂げたのかも楽しみの一つであった。久しぶりの大会に緊張感が伝わるものの、やっと立てた本番の舞台での喜びを演技の原動力とし、個人競技に参加した39名の選手はそれぞれの持ち味を存分に見せてくれた。

素晴らしい演技の数々ではあったが、その中でも際立った演技を見せた中野康太郎選手(坂出工業)が嬉しい初優勝の栄冠に輝いた。中野選手はタンブリングや投げ受けを一つ一つ確実にこなす高い実施力に加え、大学生にもひけをとらない大きな徒手体操を武器に完成度の高い演技を披露した。ロープではスピード感ある手具操作に加え、身体の動きも見事に調和させ15.675点を獲得。続くリングでは守りに入ることなく攻めの姿勢を貫き第一タンブリングからオリジナリティの高い技も見事に決め16.000点マークした。2種目共に高いレベルでのノーミスでまとめ上げた結果、総合優勝を勝ち取った。

2位には赤羽拓海選手(青森山田高校)、3位には鶴田快成選手(青森山田高校)が入賞した。青森山田高等学校は団体でも常に上位争いをする強豪校でもあるが個人においても選手層の厚さを示す結果となった。

3月26日に行われた団体競技では20校がエントリーした(4校棄権)。
午後の部に登場した前大会(2019年度)優勝校の青森山田高等学校(青森県)はチームのメンバーに個人で入賞した2名を加え、完璧な実施と素晴らしい構成力で17.175の高得点を獲得し暫定トップに躍り出た。
会場の誰しも優勝を確信するほどの素晴らしい演技ではあったが、青森山田の次に登場した神埼清明高等学校(佐賀県)が17.300を獲得し青森山田高等学校を上回った。神埼清明高等学校は他のチームが持ち得ない圧倒的なタンブリング力を武器に高難度の技を正確な実施で次々と決めていく。しかし、タンブリングだけにとどまらず演技構成の中においても印象に残るような個性的な表現をすることにより、徒手の部分においてもインパクトのある演技を披露した。いずれにしてもハイレベルな争いであった。
2校に続いて第3位に入賞したのは井原高等学校(岡山県)であった。2019年の高校総体で圧倒的な演技を披露して他のチームを寄せ付けない優勝を勝ち取った経験を持ち、今大会も神埼清明高等学校、青森山田高等学校とともに優勝候補に名を連ねていた。しかし、追求した演技構成であるがために技術的に要求されるレベルは高く実施の面においてまとめるのが非常に難しい内容であったため、わずかなミスが得点に影響し第3位の結果にとどまった。
その他のチームにおいても全国大会が長く開催されなかったフラストレーションを発散させる素晴らしい演技の数々であったが、上位3校は頭一つ抜けている印象を受けた。

4月から新一年生を迎えることにより各チームのレベル向上も期待できるが、今大会で上位入賞をした三校を中心に戦いが展開されることは間違いない。この上位に割って入ることは容易ではないが、ぜひ未知数なる強豪校の台頭を期待し夏のインターハイを楽しみにしたい。

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