第72回全日本新体操女子レポート①
女子個人総合前半2種目(フープ/ボール)
前半2種目を終え暫定1位は喜田純鈴選手。
喜田選手は特別強化選手として日本・ロシアでトレーニングしている。先月アゼルバイジャンで開催された世界選手権大会にも出場し、昨年の全日本選手権大会の覇者でもある。フープから登場した喜田選手、長い手足を伸びやかに使い、力強くしなやかな動きに貫録が感じられた。大きなミスなく演技を纏め今日の最高得点21.300をマークした。ボールでは残念ながらDERでミスが生じたがすぐに立て直す。得意のローテーション難度は軸が決まり高速回転で会場が沸いた。ミスが響き得点は17.700。合計39.000
2位につけているのは立澤孝菜選手。
昨シーズンは怪我に悩まされたが、今シーズンは見事に復帰を果たした。フープ、ボール共に18点台をマークしベテランの貫録をみせる。持ち前の柔軟性を活かした演技にパワーが加わり、動きの繋ぎにADか組み込まれているが流れがとても良い。表現力もアップし熟練度を感じさせる演技であった。フープ18.450 ボール18.750 合計37.200
3位には柴山瑠莉子選手。
とても丁寧に美しく2種目を演じた。随所に組み込まれている手具の難度(AD)も演技の流れを損なうことなく自然に行われており、動きの繋ぎがとても自然で見ていて心地よい。難易度の高い難度を何気なくこなすが体の芯からエネルギーを感じる演技であった。フープ17.750 ボール18.750 合計36.500
4位には高校生の山田愛乃選手。
2種目共に持ち前の豊かな表現力を十分に魅せる演技で会場を沸かせた。3位の柴山選手には僅差でつけている。合計35.450
5位は猪又涼子選手。
フープの演技では後半にかけて間髪入れずに組み込まれているADを成功させ会場が沸いた。2種目ともにミスなく纏め、合計35.150
6位は古井里奈選手がつけている。
2種目共素晴らしい出来栄えであった。演技の随所に組み込まれた難易度の高いADは成功する度に緊張感があり、手具の特徴がとても活かされた操作が印象的であった。合計35.000
上位につけている選手たちは非常に僅差である。お分かりのように現行ルールでは1回の手具の落下が大きな減点に繋がり命取りとなる。そして、D(難度)得点が青天井になった事で演技には難度が間髪入れずに限界まで組み込まれている。今季はどの選手も演技中の手具難度(AD)の数を増やして今大会に臨んでいる。集中力を切らさずに1分30秒の演技を纏め上げて欲しい。明日は2つの手具を操るクラブと、6mと長いリボンの演技である。熾烈な上位争いを制するのは誰なのか、明日はどのような試合展開がなされるのか楽しみだ。
【団体総合 ボール5】
予選暫定1位は日本女子体育大学。
非常に纏まりのある素晴らしい演技であった。5名の選手は終始意識が行き届いた四肢の動きで美しさの中にも迫力を感じた。得点を重ねるためにコラボレーションリスクが次々と入っているが実施がとても明確であった。得点23.350
2位には常葉大常葉高等学校/静岡RGがつけた。
演技序盤のコラボレーションリスクで少し乱れミスが生じたか、その後立て直しミスを忘れさせるような後半の盛り上がりで演技を終える。5名の選手の身体能力が高く美しい演技で観客を魅了した。得点21.750
3位は武庫川女子大学と金蘭会高校/すみれRGが同点でつけている。
武庫川女子大学は昨年の団体総合優勝チーム。前半乱れそうになりながらもこらえて大きなミスなく最後まで纏め上げた。後半の難易度の高い次々と行われるコラボレーションリスクは見事であった。
金蘭会高校/すみれRGもオリジナリティーの高い演技で会場が沸いた。D3-4の得点は全参加チームで一番高い得点をマーク。投げ受けは手以外で行われている事が多く、しかもリスキーである。ミスなく演技を纏め上げたのは見事であった。得点21.650
4位には21.600で東京女子体育大学、5位の伊那西高校は21.400、6位の国士舘大学は21.050。団体も難度要素が多く組み込まれており、何が起こるか分からない演技構成となっている。明日はアンサンブルのフープ3+クラブ2の演技が行われる。
本日の結果上位8チームが明後日行われる種目別決勝ボール5に駒を進める。