新体操WCCミンスク大会報告2

報告者:山﨑浩子

8月17日、WCCミンスク大会2日目は個人総合後半(クラブ・リボン)と団体総合後半(フープ&クラブ)が行われた。

<個人総合後半>
日本から出場している大岩千未来はクラブから。
昨日は決まらなかったローテーションであるが、この種目は実によく決まった。
パンシェローテーションは5回、支持あり後方ローテーションも体軸の乗りが非常に良かった。
AD(加点対象となる手具操作)を抜く箇所はあったが全体的には落ち着いていて
D1(BD身体難度、Sステップ)5.30
D3(AD、Rリスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行う)6.90
E (実施)8.15 計20.35

対してリボンは支持あり後方ローテーションでかかとを早くついてしまい、ほかにもリボンの床上の引き戻しでうまくキャッチできずに落下。
D1 5.20
D3 5.50
E  7.40 計18.10

大岩は3種目を20点台に乗せ、4種目合計79.000はパーソナルベストスコア。

皆川夏穂もクラブの種目から。
前半のローテーションを終えて、2本につながっているクラブを抜いた際に1本落下。
クラブはなんとなく乱れた投げの対応に追われている印象であった。
D1 4.30
D3 6.90
E  7.30 計18.50

リボンは脚の下でキャッチするADがやれずにもたついたが、そのほかは投げも安定して美しい演技であった。
D1 4.00
D3 6.70
E  8.35 計19.05

4種目合計は79.150で大岩との差は0.150。皆川が11位で、大岩が12位という結果であった(55人中)。

個人総合1位はDina Averina(ロシア)。
得意とするクラブでは抜群の手具さばきを見せ、リボンでは少し表現も見えた。
クラブ24.10、リボン22.60。4種目合計は93.450。

2位はArina Averina。
クラブでは大きなミスなく、Dinaと同じく24点台。
D1 5.40
D3 9.50
E  9.10 計24.00

しかしリボンでは、支持あり後方ローテーションの際にリボンが足に絡まり、ADに追われている印象。
D1 4.90
D3 7.00
E  9.00 計20.90
4種目合計は91.950。

3位はASHRAM(イスラエル)。
クラブは1箇所落下あり。
D1 5.50
D3 8.20
E  8.20 計21.90

リボンは足蹴りの投げで落下。
D1 5.40
D3 7.00
E  8.00 計20.35
4種目合計は86.650。

4位にイタリアのAGIURGIUCULESE(84.750)、5位イスラエルZELIKMAN(84.600)。
6位はブルガリアのKALEAN(83.000)。クラブでは得意のローテーション力で23.15と、ロシア以外ではただ一人23点台に乗せた。
7位ベラルーシHALKINA(82.500)、8位ベラルーシSALOS(82.150)。
9位イタリアのBALDASSARRI(81.100)。
10位ウクライナのPOHRANYCHNA(80.150)。

日本の皆川、大岩もそれぞれパーソナルベストスコアであったが、80点を超えるには種目で穴を作らないことと、説得力が必要であるように思う。
まだまだ必死にADをこなしているように見えるので、自信を持って演技することが重要であろう。

明日は種目別決勝が行われ、皆川はボールの種目に出場する。
大岩はクラブのリザーブ2。

<団体総合後半フープ&クラブ>

昨日2位で前半を折り返した日本(フェアリージャパンPOLA)であるが、3位のブルガリアとの差が0.1で、3位と4位のベラルーシとの差が0.1という中で後半種目が行われた。
日本はボールの種目と同様に4点近くの難度点を上げて初めて大会に臨むため、本番でこなせるかどうかは未知数であった。
序盤は落ち着いていて大きな乱れはなかった。中盤の連係でさほど悪い投げではなかったがクラブを落下。その後はミスを引きずることなく演技を終えた。
D1(BD身体難度、ED交換、Sステップ)6.00
D3(C連係、Rリスク)13.30
E (実施)7.75 計27.05

ミスをした箇所は0.5の連係の箇所であり、D3の得点が低いと判断。インクワイヤリーを提出してD3は13.80に訂正された。
合計も27.55に変更。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
竹中七海
鈴木歩佳
横田葵子

1位で折り返したロシアはラスト近くで1か所の落下があったが、全体的にはボールより落ち着いており
D1 6.10
D3 15.00
E 8.75 計29.85
30点台に乗せるのも目前である。2種目合計59.05

2位は両種目ともミスなく演技したブルガリア。
フープ&クラブもキャッチの移動も少なく、パワフルな演技であった。
D1 6.10
D3 14.10
E 8.60 計28.80 2種目合計57.65

3位はこの種目を落下なしで乗り切ったベラルーシ。
D1 6.40
D3 14.00
E 8.30 計28.70 2種目合計57.45

日本は4位。
56.500

5位イタリア
連係で落下。
D1 6.00
D3 13.80
E 8.00 計27.80 2種目合計56.05

日本がインクワイヤリーを出さなければイタリアに負けていた。

ウクライナとイスラエルは同点の53.200(速報が手元になく、どちらが上位か不明)

8位は中国。52.85。
*手元の計算によるため、詳細は追って。

どのチームもチームベストスコアを更新していると思われるが、現在のルールにおいて点数を大幅に増やせるのはD3の連係のみ。
よっていかに効率よくD3を稼げるか知恵を絞っている。
急に点数が高騰しているという声も聞くが、これで上がらなかったら危険を冒している意味もない。
危険と背中合わせで点数をもぎ取りに来ているのだから、点数が上がって当然である。

ただ、連係の投げには高さが必要であるということをさんざん言われてきたが、特に足で蹴り返す投げなどは低く、距離もないチームも多い。そのあたりは今後精査されていくであろう。

日本はメダルはお預けとなったが、確実にメダルを狙えるチームのひとつとなった。
あとは確実性と大きさが出てくれば、戦いの舞台にはいられるであろう。

明日は種目別決勝が行われ、日本は両種目に出場する。
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