新体操W杯ペサロ大会2019レポート2
4月6日、W杯ペサロ大会は個人総合後半と団体総合後半が行われた。
〈個人総合後半〉
日本勢で先に登場したのは大岩千未来。クラブの種目から。
AD(加点対象となる手具操作)の、クラブでクラブを押さえる箇所で、押さえきれずに落下したが、
得意のローテーションは決まり、会場からは大きな拍手がわいた。
D1(BD身体難度、Sステップ) 5.100
D3(AD、Rリスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回をしてキャッチ) 6.600
E 7.600
計19.300
ミスがなければ20点に乗る内容である。
しかしリボンは二箇所の大きなミスが出た。
ひとつは出だしのR。
シェネの連続後、リボンに追いつかずに落下。
その後は持ち直したが、ラスト近くの足投げが大きくなり、そのまま場外へ。予備手具に差し替えてラストまで演技した。
D1 4.900
D3 4.000
E 6.300
14.900
4種目合計点73.050
皆川夏穂のクラブは、ADでその場の落下があり、また投げが前に流れてやっと追いついた箇所があった。
しかし、MGキックのローテーションや反りのジャンプはきれいに決まり、体の状態はよくなってきている。
D1 4.300
D3 6.100
E 8.000
計18.400
リボンも転がしのADで落下したが、そのほかは流れをうまくつかみ、うまくこなした。
D1 4.300
D3 5.700
E 8.400
計18.400
4種目合計76.250
1位はロシアのDina Averina。
昨日は、いまひとつ精彩を欠いて2位に甘んじていたが、今日の種目は本来の力を発揮した。
クラブは、他の選手とは比べものにならないほど多彩な投げが入っており、クラブの回転のスピードも速いためとてもリスキー。それを難なくこなして、22.700。「お見事!!」と言える内容であった。
D1 4.900
D3 8.700
E 9.100
計22.700
リボンは、表現にも力を入れている作品であり、新しいDinaを見せてくれる作品でもある。
投げに対してどうキャッチするかの判断も早く、また身体にリボンがからみそうになっても、リボンの全体像をよく見てから回し始めるなど、非常に巧みである。
D1 5.000
D3 6.000
E 9.150
計20.150
4種目合計85.750
Dinaが試合の強さを見せ、Arinaをやぶって金メダルを手にした。
2位は昨日首位のArina Averina。
クラブの前半、ADでクラブがワンバウンド。
Rでも落下が出てしまった。
D1 5.400
D3 7.800
E 8.300
計21.500
リボンでも、中盤の足投げが大きくなり落下。
D1 5.600
D3 5.000
E 8.200
計18.800
4種目合計83.750
3位は前日3位のKALEYN(ブルガリア)。
リボンは脚の下での持ち替えの際に身体にからみ、その後の投げに影響が出た。
D1
D3
D 9.600
E 8.250
計17.850
クラブはいくらかもたついた感はあったが、どうにかこらえた。
D1 4.900
D3 7.600
E 8.550
計21.050
4種目合計80.400
4位には前日6位のベラルーシのHALKINAが入った。
2種目とも大きなミスはなく、流れるような、それでいてダイナミックな演技をした。
クラブ20.050 リボン19.100
4種目合計79.600
前日4位のTASEVA(ブルガリア)は、クラブのADで落下すると、ADの足蹴りでも落下。
D1
D3
D11.600
E6.850
計18.450
リボンは座での動きの際に、リボンのさばきが甘くなり、リボンの裾が場外へ。場外ペナルティ0.3が出てしまった。
D1 4.900
D3 5.900
E 8.650
P0.3
計19.150
4種目合計79.050で5位。
6位にはUSAのGRISKENASが入った。
クラブの投げが大きくなった箇所はあったが、二種目とも大きなミスはなかった。
クラブ19.650 リボン18.600
4種目合計78.700
7位はウクライナのPOHRANYCNA。
身体能力が高く、ADを次々とこなす。若干、技の羅列にも見えるが、クラブ19.700、リボン18.300と安定した力を見せた。
4種目合計78.300
8位は、13位からジャンプアップしたジョージアのPAZHAVA。
2種目とも大きなミスは回避して、軽快なステップワークを見せた。
連続ジャンプの際、3回目の跳びがおかしくなり、演技終了後足を引きずっていたのが気になる。
クラブ20.000 リボン19.700
4種目合計78.300(タイブレークにより8位)
前日5位のイタリアのBALDASSARRIは、クラブの出だしの足投げが大きくコースを外れ、落下。
リズムを完全に失い、BDや投げに影響した。
またリボンも前半で結び目ができてしまったことで、大きく順位を落とした。
クラブ
D1 4.300
D3 7.400
E 7.350
計19.050
D1 3.900
D3 4.900
E8.250
計17.050
4種目合計77.350で11位。
皆川はイタリアのAGIURGIUCULESE、ベラルーシのHARNASKOらに抜かれ、13位。
体のキレは良くなっているので、ポロリとしたミスをなくしたい。
大岩もリボンの大きなミスが響いて17位に順位を落としたが、モスクワグランプリ、リスボンインターナショナルから比べると飛躍的に良くなっている。
難度点はリボン以外はすべて11点台に乗せており、特にD1の価値が高い。Arinaには負けるが、Dinaとは良い勝負である。
あとはD3の価値をもう少し上げていくことと、今回のリボンのような大穴を作らなければ、上位陣と戦っていけるところまで行くであろう。
〈団体総合後半フープ3&クラブ2〉
試技順1番は日本(フェアリージャパンPOLA)。
昨日のボールは落下ミスが出て、ある程度高い点数は出たものの後味の悪い内容であった。
しかし、今日は投げに対する反応も良く、積極性がうかがえた。
D1(BD身体難度、交換、S)5.700
D3(連係、R)9.500
E8.350
計23.550
出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
横田葵子
まずまずの点数が出たと思っていたが、今日は次々と高得点が出た。
試技順2番のロシアは不正確なキャッチなどはあったが落下はなし。
D1 5.800
D3 11.100
E8.900
計25.800
続くブルガリアも、Rの落下があったにもかかわらず、
D1 5.800
D3 11.200
E8.650
計25.650
イスラエルも大きなミスはなく
D1 5.500
D3 11.000
E8.300
計24.800
イタリアもリスキーな技を次々と繰り広げ、
D1 6.100
D3 10.600
E 8.700
計25.400
ウズベキスタンは落下があったが
D1 5.100
D3 10.700
E15.800
計23.300
アゼルバイジャンは大きなミスなく
D1 5.600
D3 10.000
E8.000
計23.600
ウクライナはボレロの曲に乗せ、迫力ある演技で
D1 6.100
D3 11.100
E8.500
計25.700
ベラルーシは連係で落下があり
D1 5.700
D3 9.600
E8.200
計23.500
なんと23点以上が9チーム。25点以上が4チーム。
昨年の世界選手権で23点以上を出したチームは団体総合の時のロシアと、種目別フープの時のブルガリアのみであった。種目が違うとは言え、人間の進化は早いものである。
D3が11点以上も4チーム。
日本はこれらと比較するとD3がさほど入っておらず、正確にこなしてもこれでは戦えない。
ボールは比較的D3を組み込めているが、フープ&クラブは今後改善が必要であろう。
昨年も改善に改善を重ねて、世界選手権ではなんとか戦えるところまで持っていったが、今後ますますチャレンジしていかなければならない。
2種目総合
1位ロシア 51.050
2位ブルガリア 49.600
3位イタリア 49.400
4位ウクライナ 48.750
5位イスラエル 47.900
6位ベラルーシ 47.550
7位日本 47.100
8位アゼルバイジャン 45.200
9位スペイン 43.100
10位ウズベキスタン 41.600
11位中国 41.100
12位USA 40.400
13位フィンランド 40.150
14位ポーランド 37.650
15位オーストラリア 35.700
16位スロベニア 34.600
17位トルコ 34.100
18位フランス 31.450
明日は種目別決勝が行われ、個人種目別決勝ボールに皆川が、団体は2種目に出場する。
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