2018新体操WC杯カザン大会レポート2

報告者:山﨑浩子

<団体総合後半>ボール3&ロープ2
日本(フェアリージャパンPOLA)は、ボールの足での2個投げが若干コースを外れ、移動をしてのキャッチとなったが、ほかは大きなミスを回避することができた。
安定感もあり、(D難度点13.20 E実施点8.10 21.300)。今日の種目では3位で、2種目合計42.450。ベラルーシとの差を詰めたが順位は変わらず、総合5位。
D得点のうち、D1(BD身体難度、ED交換、Sステップ)の点数は5.30。同じような出来のミンスク大会種目別決勝では6.1が出ていたので、何が問題であったか検討したい。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
横田葵子
鈴木歩佳

総合1位はイタリア。
交換で手以外のキャッチをしなかったぐらいで、ほかは安定感がある演技に見えたが、Dが伸びず(D12.80 E8.60 21.400)。
日本とわずか0.1の差。フープ5との合計は43.950。

総合2位はロシア。
フェッテバランスの際、一人の選手がロープの片端を離してしまう。ほかにもロープの移動キャッチが多く、一度はラインぎりぎりのところまで走っていった。ロープの乱れなどもあったが、(D13.10
E8.45 21.550)で今日の種目では1位。合計43.950と、イタリアと同点であったが、タイブレーク規則によりイタリアが金メダルを獲得した。

総合3位はブルガリア。
抜群の安定感でエネルギー溢れる演技を行っていたが、連係でロープを前に投げすぎて落下。他の連係でもボールを落下して(D13.00 E7.90 20.900)合計43.800。昨日の貯金があり、銅メダルを獲得した。

総合4位はベラルーシ。
今日も安定感のある演技で、世界選手権に合わせてまとまりを見せてきて(D12.60 E8.15 20.750)。合計42.700

総合5位が42.450の日本。
総合6位は中国。大きなミスはなく(D12.00 E7.50 19.500)合計39.850
総合7位はフィンランド。連係に乱れがあり(D11.70 E7.00 18.700)合計38.250
総合8位はイスラエル。ラスト近くの連係でボールがワンバウンドキャッチとなり、(D11.00 E7.25 18.250)合計37.850
総合9位はアゼルバイジャン。(D11.10 E7.65 18.750)合計37.450
総合10位はスペイン。エカルテのバランスで一人が崩れる(D10.20 E6.85 17.050)合計37.100

イタリア、ロシア、ブルガリアが3強であることに変わりないが、いつも万全であるわけではない。日本はフープの安定感がもう少し出てくれば、3強との戦いの場所に挑むこともできよう。上位3位に入ることは相変わらず難しいが、作品中に組み込まれているものを正確にこなし、小さな努力を積み重ねて勝機を見出していきたい。

<個人総合後半>クラブ、リボン *喜田純鈴はコンディション調整のため棄権
皆川夏穂はリボンの種目から。ADで危うい箇所はあったが、投げにきちんと反応していた。
不正確なキャッチは1か所あり、(D7.80 E7.90 15.700)

クラブは出だしのMGキックローテーションで動脚が下がった。ほかは大きなミスはなかったが(D8.90 E7.85 16.750)。
Eが低い印象であるが、クラブをクラブでキャッチした際、クラブがこぼれたように見えたのかもしれない。
皆川は12位。

全体を通しては大きなミスなくやれていたが、上位陣と比較すると、”よどみなく”という点で少し欠ける。投げに対応できているが、対応している様が少し見えたりするのである。
上位陣には四肢が美しくない選手もいるが、ガツガツやるパワーはあり、皆川にももう少しのアピール性が必要であろう。

総合1位はロシアのSOLDATOVA。今回の彼女はMGキック系のローテーションがはまり、ダイナミックな中にも繊細さがあり、音楽と動き、音楽と難度や手具操作のバランスも非常に良かった。情感豊かに表現もできており、難易度の高い技をやりながらも表現できているという点で1位にふさわしく、新体操のすばらしさをアピールできていると思われる。
合計80.400

2位は同じくロシアのDina AVERINA。
SOLDATOVAと同点であったが、タイブレーク規則により2位に。合計80.400
技術力の高い選手であるが、特にクラブの種目は、難しい投げ技の連続であった。

3位はイスラエルのASHRAM。
両種目とも大きなミスなし。よどみなく演技した。リボンではインクワイアリを出し、0.1上がったが、クラブの実施点はさほど上がらず、合計78.800
クラブに関してはさほど難しい技は入っていないが、AD(加点対象となる手具操作)の条件に合う技を次々と行うため、D得点は伸びる。得点が出やすい構成という点でうまさを感じさせる。

4位はブルガリアのKALEYN 73.400
5位はブルガリアのTASEVA 73.050
6位イタリアのBALDASSARRI 70.050
7位イタリアのAGIURGIUCULESE 69.550
8位スロベニアのVEDENEEVA 69.400
9位USAのZENG 69.150
10位ベラルーシのHALKINA 69.100
11位イスラエルのZELIKMAN 68.850
12位皆川夏穂 68.600
13位USAのGRISKENAS 67.300

世界選手権でもロシア勢とイスラエルのASHRAMが金メダル争いをすると予想され、そこにウクライナのNIKOLCHENKO、ベラルーシのSALOS、ブルガリア勢が絡んでくるであろう。HALKINAもミスがなければ上位にいくことも可能である。
今回の6位から13位ぐらいまではさほど力の差はなく、その日の出来に左右される。
作品の良さというより、加点対象となるADをどれだけ組み込むことができるかで、得点の差が生まれているように思う。
減点が入るBD(身体難度)はあきらめ、絶対にカウントされるBDに変更する。操作しやすいADを少しでも入れていくなど、計算高く行っていくことが重要であろう。

明日は種目別決勝が行われ、団体は2種目ともに、皆川はボールに出場する。
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