2018 新体操W杯ペサロ大会レポート3
4月15日、W杯ペサロ大会最終日は団体種目別決勝と、個人種目別決勝が行われた。
日本(フェアリージャパンPOLA)は、団体総合時にフープで大きなミスが出たため、ボール&ロープのみに出場。個人の皆川夏穂はボールのみの出場であった。
<団体種目別決勝フープ5>
フープ5はミス合戦の様相を呈した。
そんな中、主立ったミスのなかったイタリアが1位、中国が2位、イスラエルが3位となった。
特にイタリアは、1箇所交換の投げが大きくなったが素早い対処で落下を防ぎ、ほぼ完璧な演技で21.600。D3は7.7
試技順1番のベラルーシは連係で幾度も落下。場外にも出て13.900。
スペインも落下ミスが相次ぎ、11.400。
<種目別決勝ボール3&ロープ2>
日本は2箇所のロープの投げミス。それもどちらも場外というミスが出て、いくつか連係をとばして8位。15.300
しかし、このミスは出るべくして出たと言えよう。なぜなら1回目の投げミスはソフィア大会以降に投げ方を変更した箇所。
2回目は昨日の総合でミスが出たあとに、投げ方を変更した箇所。
よって1回目はまだしも、2回目の箇所は、出番前からミスが出ると予測できた。
現在のチームは比較的、対応力のあるチームである。
次々と変更されるプログラムにも必死で食らいついている。
だが、現在のプログラムは細かい技術が必要でそれをこなすだけでも精一杯。その上に多くの変更点があれば、集中力が持つはずがない。
またロープを投げるための力加減は非常に繊細で、熟練していない投げは、練習ではできても試合では安定しない。
ミスが出たからといって投げ方を変更したことにより、かえって大きなミスを生んだと言える。
バクー大会まで時間がないが、できればあまり構成をいじらず、不安要素をできるだけ減らして試合に臨んでほしいものである。
日本出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
横田葵子
1位はイタリア。連係の足キャッチでボールがこぼれたが、他の部分は非常に難しい連係を次々とこなした。
20.600
2位はロシア(ナショナルチームではない)18.250
3位は中国。フープもこの種目も大きなミスはなく安定感があった。17.550
ベラルーシはこの種目もミスが出て、ラストはボールが場外にころがっていき、手具なしでポーズ。16.950で6位。
ソフィア大会、ペサロ大会を終えて、頭ひとつ抜けているのはイタリアとブルガリア。ロシアはここ2戦、ナショナルチームが出場していないので状況がわからないが、おそらくイタリア、ブルガリアと同じような点数をとってくるだろう。
次に高い点数をとっているのは日本、ベラルーシ、ウクライナあたりだが、中国やイスラエルあたりも安定感を武器に点数をあげてくるであろうし、なかなか厳しい戦いである。
しかし、立て直せさえすれば、日本は力のあるチームである。とにかく早めに構成を落ち着かせ、三強に食い込んでいきたいものである。
<個人種目別決勝>
皆川はボールに出場。
1箇所、バウンドさせたボールを背面でキャッチする際こぼれたが、全体的には流れも良く、BD(身体難度)もカウントしやすかった。
17.300
他の選手と比較して、細かいAD(加点対象となる手具操作)が少ない印象がある。またBDは変更した方が良いものもある。
やりやすいADを取り入れ、BDを整理していけば、構成上の持ち点はもっと上がっていくだろう。
ロシアのDina AVERINAが3種目を制覇。
しかし、ボールはイスラエルのASHRAMと同点であったし、クラブにいたってはメダルにも届かなかった。(クラブの1位はASHRAM)
どの選手もADをたくさん入れ込んできて、ロシア勢とさほど大きな差がなくなってきたことと、落下ミスをすれば得点が大きく減少するので、ロシア勢もうかうかできないという状況である。
チャンピオンでなければならないというプレッシャーと戦いながら演技するロシア勢と、攻めまくるイスラエルのASHRAM。そしてブルガリアのKALEYNやTASEVAは高いレベルでの安定感がある。
世界選手権では団体も個人も、どのチームが、どの選手が勝つかまったくわからないと言えよう。
日本チームは次のタシケント大会は出場せず、アゼルバイジャンで事前合宿を行い、バクー大会に出場する。