2018 新体操W杯ペサロ大会レポート2
現地4月14日、W杯ペサロ大会は団体総合後半、個人総合後半が行われた。
<団体総合後半ボール3&ロープ2)
日本(フェアリージャパンPOLA)はいくつか移動キャッチがあり、そのうちキャッチからの準備が整わずに ロープの交換が投げられなかった。
しかし、自分のところにきたロープはキャッチして、相手に渡し、大きな被害を免れた。
全体的にわさわさとした印象はぬぐえないが、ソフィア大会からペサロ大会までの短い期間に、フープと同じように構成をだいぶ変更しているため、まだこなれていないようであった。
より良いものへの変更は致し方ないが、選手にとっては少々酷だったかもしれない。
そういう中でも最大限の踏ん張りを見せ、 17.150(D10.800、E6.350)。 昨日は大きなミスで11位に沈んでいたが、フープとの総合点31.350で順位をふたつ上げて9位。
日本出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
横田葵子
1位はイタリア。
連係の準備でボールとロープを落下。移動もあったが、19.350(D11.800、E7.550)。総合点40.550
2位はベラルーシ。
ボールの両手キャッチが多く、交換で落下。座での交換のキャッチも、ボールがバウンドしてから胴体で押さえる形となって、17.150(D11.100、E6.050)。
総合点では37.600で2位となった。
フープと同じように、D3(Rリスク、C連係)の点数が7.0と高い。
さほど入っていないように見えるのだが、構成がうまいと捉えるべきか。
3位はロシア。
大きなミスはなく、うまくまとめた。18.300(D11.000、E7.300)総合点37.400。
4位は中国。
大きなミスはなかった。16.750(D10.200、E6.550)総合点35.150。
5位はフィンランド。
難しい技は入っていないが、加算の条件は満たしているのか、D3の得点を稼いでいる。(D3は6.5)
17.350(D11.400、E5.950)総合点34.500。
6位にスペイン。
いくつか移動キャッチがあった。
16.050(D9.600、E6.450)総合点33.750。
7位イスラエル。
ボールのワンバウンドの落下あり。15.800(D9.800、E6.000)総合点33.200。
8位はアゼルバイジャン。
交換でロープとロープがぶつかり、落下。後半乱れた。14.150(D9.500、E4.650)総合点31.450
9位が日本で、10位にウクライナ。
ウクライナは交換で落下、パンシェのローテーションも崩れた。16.850(D10.700、E6.150)総合点30.550。
フープで18.150を出して5位にいたフランスは、ボール&ロープで数回の落下と場外があり、11.650。総合点で29.800となり、11位に沈んだ。
フープと比べてボール&ロープは、どのチームもミスが多く、ボールの両手キャッチやロープの不正確な受けなど減点対象が多い。
日本は構成が固まってくれば、そういった点はクリアであり、今後修正を図れるだろう。
明日の種目別決勝には、ボール&ロープのみ出場する。
<個人総合後半クラブ、リボン>
皆川夏穂はリボンから。
MGキックのローテーションはきれいに決まり、前半はスムースな演技を見せた。
中盤のR(リスク)の投げのコースが乱れ、なんとか落下は防いだ。そのあたりからリズムが狂ったために、演技が曲に遅れ始め、ラストのブーメランが曲が終わってからのキャッチとなってしまった。
曲が終わってからではADの加算はされず、また音楽と動きの不一致で大きな減点が入る。秒数も伸びたため0.1減点となり、14.700(D7.200、E7.600 P0.1)。曲が終わりそうであるかどうかはわかるはずであり、こういったところの判断の改善が必要であろう。
クラブはBD(身体難度)がことごとく決まらなかった。Rでの落下もあり、12.750(D6.300、E6.450)。
17点台も出せば、12点台も出すという安定感のなさが課題であると、昨年も幾度かレポートした記憶があるが、今年もその課題はまだクリアできていない。
皆川は他の選手と比較して、Eは決して悪くない。ミスなしで演技してもEを8点台に乗せられる選手は少ないが、皆川はその少ない選手の一人である。
とにかくBDを安定させさえすれば、得点は大きく飛躍するはずである。
1位はロシアのDina AVERINA。4種目を通じて大きなミスはなく、次々に技を繰り広げた。
2位はブルガリアのTASEVAが入った。TASEVAも大きなミスは回避した。
3位はイスラエルのASHRAM。リボンのRで不正確なキャッチとなり、クラブでも落下ミスが出たため、前日の2位から順位を落とした。
4位はロシアのArina AVERINA。結局4種目ともミスが出て、メダル獲得には至らなかった。
5位にベラルーシのHALKINA。6位に同じくベラルーシのSALOS。
7位ブルガリアのVLADINOVA。試合が久しぶりなのか、本調子ではない。
8位USAのGRISKENAS、9位イタリアのBALDASSARRI。
そして皆川は前日と変わらず、10位。
今季からルールが再度変わり、難度点が青天井(10点満点の廃止)になったために、各選手は技をこれでもかと入れている。3秒に1回どころか、2秒に1回は何かしらの技をやっている感じである。そうなると音楽との一致や、動きの間などはどこにもなく、ただ技を羅列しているようにしか見えない。実施の中の芸術点で多少減点されたとしても、技を入れ込んでいた方が得策と考えているのであろう。
どの選手を見ても同じような内容を行い、クルクル回って、次々と技を行う、ただそれだけである。
新体操の優雅さを感じることができる選手は、皆川とベラルーシのHALKINAぐらいであろうか。
だからこそ皆川には、課題をクリアして、優雅さを保ったままに上位進出を狙ってほしい。これぞ新体操と言える姿を見せてほしいものである。
そうでなければ、新体操はなにか違うものになってしまうような気がしてならない。
明日の種目別決勝は、皆川はボールのみ出場する。