2017新体操チャレンジ杯ロシア大会2
【大会2日目】 大会情報・結果へ
新体操WCCカザン大会(ロシア)2日目は、団体総合後半と個人総合後半が行われた。
《団体総合後半ロープ&ボール》
試技順1番はベラルーシ。
ロープを渡す際にうまくいかずロープを落下。
ラストの連係もボールを投げられないなど、いくつかのミスが出た。
16.450(D9.100 E7.350)
試技順2番は日本(フェアリージャパンPOLA)。
前回のミンスク大会はボールの両手受けが多くなったことからその点を改善し、ほとんどの箇所を片手受けにチャレンジした。細かい移動キャッチはあったが、大きなミスはなく17.400(D9.300 E8.100)。
これまでの大会であれば、この出来ではDが10.000出ていたが、どんな問題があったのかリサーチしなければならない。
世界選手権が近づき、審判員の見方が非常に厳しくなっているとの情報は得たが、問題点を抽出してクリアしていくことで、D得点も上がるであろう。
ミンスクからカザンに移動し、大会の事前練習で出だしの連係や中盤の連係を変更した。選手は対応に追われたが、変更したものを試合でやり遂げられたことは評価に値する。まだ曲と動きの不一致箇所があるので、世界選手権まで残り少ない日数ではあるが躍りこむことで、見栄えもよくなっていくに違いない。
(出場選手)
杉本早裕吏
松原梨恵
横田葵子
竹中七海
鈴木歩佳
前半2位のブルガリアは、ロープのキャッチが乱れ、そのままあわてて投げてしまったことにより、ロープのED(交換)が大きくなり、場外キャッチ。
その後も投げがやや不安定になり、リズムが少々崩れてしまった。
17.200(D9.800 E7.700 P0.3)
ロシアはボールの片手キャッチも多く、全体的に余裕が出てきたような感じがする。大きさもあり、18.800(D10.000 E8.800)。
イタリアは両手キャッチや不正確なキャッチもあったが、多彩な技を披露して18.300(D10.000 E8.300)。
結果、昨日のフープとの合計点により、
1位ロシア
2位イタリア
3位日本
4位ブルガリア
日本はミンスク大会に続き、総合でのメダルを獲得した。
しかし、どのチームもミスなしで演技した場合は、ロシア、イタリア、ブルガリアがやはり強い。そこに日本は必死に食らいついている感じであるが、以前はメダルを獲得するだけで喜べていたが、いまはそれだけでは納得できないところにきている。
成長できている証であるとは思うが、世界選手権はまた別物と肝に銘じ、気持ちを一に戻して戦っていきたい。
《個人総合後半》
皆川夏穂はリボンの種目から。
出だしは美しく演技していたが、中盤のR(リスク=手具を投げ上げ、2回転以上の回転を行う)をからめたジャンプBD(身体難度)で、スティックがリボンに絡まってしまった。
なんとかキャッチしたが、ジャンプ時の手具操作がなくなり、BDもRも点数がなくなった。
ラストのブーメランも時間がなくただ投げただけになったので、D得点が伸びず、14.550(D6.600 E7.950)。
クラブはころがしのAD(加点の可能性のある手具操作)で落下。あとは踏ん張ったが、今日は全体的にBDが甘い感じがした。15.750(D8.200 E7.550)。
喜田純鈴(きたすみれ)は、リボンのラストのRが大きくなったが、スピードを上げながら回転を入れた。キャッチしたときのリボンのたるみがいくつかあったが、落下ミスは防いだ。15.100(D7.500 E7.600)
クラブも、投げは決してよくなかったが、最後までねばっている印象であった。練習のときから試合を意識して、投げた手具に対して必ず対処をしていく練習をすれば、もっと強くなっていくだろう。15.800(D、E表示されず)
総合1位はロシアのDina AVERINA。後半種目のクラブ、リボンも落下ミスはなく、多少荒い箇所はあるが、スピード感のある演技をした。
2位は同じくロシアのArina AVERINA。クラブではバランスで落下したが、リボンで18.400を出し、双子の姉妹で1位、2位となった。
3位にはベラルーシのHALKINAが入った。リボンはADでリボンが絡み、15.600であったが、クラブでは大きなミスはなく17.250。
前半2位のブルガリアVLADINOVAは、リボンのADでスティックがリボンに絡み、落下。クラブでもRで落下し、5位となった。
4位になったのはイスラエルのASHRAM。あまり美しい演技ではないが、RやADをガンガンやるタイプで、よどみない演技を披露した。
6位に同じくブルガリアのTASEVAが入り、ミスが出た皆川は順位をふたつ落として7位。
入賞はできたが、皆川の実力からすればもっと上を目指せるはずである。リボンのRの待ち(キャッチをするために待ってしまう)があることやBDが不明確になってしまう点、そして後半種目になると作品がなんとなくぼやけてしまう点をどうにか改善しなければならない。
8位には今季初出場のSalome。尻上がりに調子を上げ、観客を魅了した。
9位はベラルーシのHARNASKO。後半挽回をしたいところであったが、リボンが身体にからみ、長い時間ほどけないなどミスが出た。
10位はイタリアのAGIURGIUCULESE。非常に手具感覚の良い選手で、興味深いADやRを入れているが、感覚に頼りすぎるためか、なんでもない箇所でミスをする傾向がある。この日のリボンもADの投げでスティックがリボンに絡んでしまい、そこはなんとかキャッチしたが、ADのスティックころがしで落下。座での動きから立ち上がる際に、スティックをぽとりと離し、ローテーションでは身体にリボンが絡み、ラストのRでは大きく投げすぎて、キャッチしたときにはリボンが場外に出てしまうなど、完全に集中力が切れてしまっている状態であった。
喜田は前日の18位から14位まで順位を上げた。
リボンは0.05足らず、9位で惜しくも種目別決勝はならなかったが、審判員に良い選手として認識されつつある。
クリアなBDを武器に、動きのつなぎが良くなっていけば、順位もおのずと上がっていくだろう。
ルールが変わり、どの選手もたくさんのADやRを入れているためか、全体的に落下ミスが多かった。しかしADやRを入れずに作品を構成してもD得点は伸びないため、挑戦しながらそれを完璧にこなす必要がある。
上位陣でもミスが出れば1点や2点はなくなることから、順位の入れ替わりも激しくなり、そういった意味では面白い競技と言えるだろう。
明日は種目別決勝が行われ、団体は両種目に、個人は皆川がフープとボールに出場する。(喜田はリボンのリザーブ)