第68回全日本新体操選手権大会レポート(11月6日)女子
第68回全日本新体操選手権大会が岐阜メモリアルセンターで幕を開けた。
大会1日目は個人競技前半2種目(フープ・ボール)、団体競技(リボン5)が行われた。
●女子個人競技
初日、2種目を終えて首位に立ったのは昨年の覇者、河崎羽珠愛選手であった。
世界選手権大会に出場した経験が彼女の大きな糧になっていることが、今日の演技と結果に繋がっていると実感した。
ボールからスタートした河崎選手の演技は、基本に忠実に伸びやかに演じられた。
ローテーション難度も軸が良く取れていて非常にクリアであった。演技後半のマステリーでバランスを崩しヒヤッとする場面もあったが大きなミスに繋がらなかった。最後のローテーション難度を美しく回りきって演技が終了。D8.100、E8.500、得点16.600
2種目目のフープは、冒頭のダイナミックな足投げのDERを成功させ、伸びやかに情感豊かに演じ切った。世界選手権を終え表現力がさらに増し、1つ1つの技に説得力を感じた。
音楽の強弱と動きの強弱や間が一致し観客を引き付けた。演技週末のDERもうまく処理をして大きな減点には繋がらなかった。D8.300、E8.400、得点16.700。河崎選手が初日唯一2種目とも16点台にのせた。
続いて2位につけたのは喜田純鈴選手である。数々の国内外大会を経て着実に成長を遂げている。1種目目のフープはやや硬さが見えたが大きなミスなく最後まで纏めた。ダイナミックで躊躇のない技に加え、音楽をよく捉えた表現力豊かな演技はとても魅力的である。ローテーション難度の回転スピードやジャンプの伸びやかさは群を抜いている。随所に取り入れられているマステリーもリズムが途切れる事無く流れの中でこなしている。D7.650、E8.300、得点15.950
ボールの演技はスローテンポの音楽にのせて、長い手足を生かしてしなやかに演じた。
序盤の開脚反りジャンプでボールを投げ、前方展開をしながら背中でキャッチする非常にリスキーなマステリーを見事に成功させ会場が沸く。ローテーション難度もきちんと軸に乗り正確に実施。演技終末のマステリーは少し乱れるも大きなミスには繋がらなかった。難度の精度や演技の調整力、表現力に磨きがかかった演技で高得点をマークした。D7.550、E8.400、得点15.950
そして現在3位は今年の学生選手権の覇者桑村美里選手。ローテーション難度には定評があり、2種目ともに安定した演技を魅せた。ダイナミックな投げ技と巧みな手具操作で、演技プログラムを正確にこなした。今期に入り表現力に磨きがかかり、動きにしなやかさが加わったように感じる。フープ15.850、ボール15.950
明日は残り2種目クラブとリボンの演技である。1つのミスが大きな減点に繋がるルールであるからこそ明日の勝負の行方はまだわからない。多くの選手が僅差でつけている。
最後まで緊張感のある試合展開となりそうだ。全ての選手が実力を発揮できるよう健闘を祈る。
●女子団体競技
初日トップに躍り出たのは東京女子体育大学であった。リボン5の演技は何が起こるのか分からない怖さがある。
入場する選手の姿に意気込みと気迫を感じた。演技序盤、リボンが絡まりそうになったがミスには繋がらず、連係、交換を次々と成功させる。Beatのきいた力強い音楽に負けない力強い演技で観客を引き込んだ。5本のリボンが良く動いていて、5人の息がぴたりと合った演技であった。終盤の交換で1名の選手が移動したが大きなミスには繋がらず、終末のDERを5人が成功させ会場が沸いた。D8,000 E7.900 得点15.900
2位には日本女子体育大学、3位には国士舘大学がつけている。両チームともに連係、交換でのミスが目立った。1つの連係や交換がカウントされなければD得点に大きく影響される。技が連続して構成されているが故に1つのミスが大きな減点へと繋がるのだ。
4位ににつけた昭和学院高校は身体難度がクリアで非常に美しい演技であった。
14チームの演技をみて、改めてリボンの難しさを痛感した試合展開であった。
明日のフープ&クラブの結果を合計し団体総合の順位が決まる。個人競技と同様に1つのミスが大きな減点へとつながるため、どのチームが栄冠を手にするのかまだ試合の行方はわからない。