第67回全日本新体操選手権大会女子レポート③(個人後半)

報告者:

大会2日目は個人総合クラブ・リボン後半2種目と団体総合ボール3+リボン2の競技が行われた。
本日も気の抜けない接戦が繰り広げられた。
個人総合優勝の座に輝いたのは、河崎羽珠愛選手であった。昨日の首位の座を守り抜き全日本選手権初優勝である。
河崎選手のリボン演技終了後は試合の行方は全く分からなかった。オーケストラの軽快な音楽にのせダンスステップコンビネーションからスタート。伸びやかにリボンを扱う中スティックを背面で転がした際に落下、続いて結び目が出来演技が少々中断した。Dスコア、Eスコアともに影響するミスの内容であった。得点13.400.最終種目はクラブ。会場が緊張感に包まれる中演技が開始した。リボンのミスを引きずる事無くヴォーカル入りの音楽で河崎選手の魅力を演じ切った。ローテーション難度の軸がピタッとはまり美し実施であった。1か所バランス難度で終末バランスを崩すが大きな減点には繋がらない程度。音楽の特徴を活かした演技で得。15.250.技術面、精神面と強く成長した河崎選手、今後の活躍が楽しみである。
2位の座は山口留奈選手が獲得した。見事怪我からの復帰で4種目ともに大きなミスなく纏めた。流石ベテランの円熟味を魅せてくれた。クラブではバランス難度で終末ぐらついたが、ローテーション難度は軸がしっかりと決まり美しい実施であった。巧みなクラブの操作を行いつつも、表現力豊かに大きなミスもなくうまく纏めた。得点13.700。リボンはヴォーカル入りの音楽に乗せ、山口選手の世界を十分に演じ切った。バランス難度が多少流れてしまった印象があったが、ローテーション難度は明確に見えた。音楽と動きとリボンの一体感を感じ、演技として完成度は高かった。得点13.900。
3位は猪又涼子選手。クラブ、リボン共にミスが非常に多かった中、昨日7位の猪又選手は4種目を通して安定した演技であった。リボンでは非常にスピード感と大きさのある演技で13m四方のフロアが狭く感じるほどであった。リボンの操作が巧みでローテーション難度も軸がしっかりと引き上がっていた。ラストのDERも見事成功させ得点14.050。
クラブでは冒頭のDERを成功させ次々と技が展開されていく。難度の精度が高く演技の思いっきりの良さが気持ちよく感じた。随所にマステリーを取り入れ最後まで気の抜けない演技構成であった。得点13.950。
4位には古井里奈選手。クラブの落下ミスが惜しまれるが、個性豊かな表現力と演技の思いっきりの良さは魅力である。今後の活躍が楽しみな選手の一人である。
5位は立澤孝菜選手。以前よりスピード感と大きさを感じる演技であった。基本に忠実な美しい演技は見ていてうっとりする雰囲気を醸し出していた。
6位は桑村美里選手、7位は喜多純鈴選手、8位は三上真穂選手であった。
世界は16点、17点台の勝負である。今回上位に入賞した選手達が来年の予選までに更に技術を磨き、世界の舞台で戦えることを願う。そのためには申告した難度要素を正確に実施し、Dスコアの得点を上げることが必須である。
明日は種目別決勝が行われる。
優勝 河崎羽珠愛(イオン)
2位  山口留奈(イオン)
3位  猪又涼子(伊那西高校)
【写真提供:臼井俊範】