W杯ベラルーシ新体操国際レポート2
5月18日、W杯ベラルーシ新体操国際・ミンスク大会2日目は個人総合が行われた。日本からは特別強化選手の皆川夏穂、早川さくらが出場。3月からロシア留学をしていた二人は、W杯ブカレスト大会、ペサロ大会に続いて、今季3大会目。
早川は試合前から落ち着いた練習を行っていたが、試合もそのままのものが出せたと言えよう。
1種目目のクラブでは投げのミスがあり、ジャンプターンがひとつ減るなどDの得点は伸びなかったが、投げに対する対処は良く、落下ミスはなかった。
2種目目のボールでは最初のマステリーで操作ミス。身体の引き上げが足りないためにバランスやピボットでかかとが早く床についてしまったが、美しい演技を見せた。
3種目目はフープ。ジャンプでのキャッチで落下し、ラストのDERも投げが乱れたためにやれなかったが、大きなミスは防いだ。
4種目目はリボン。4種目を通じて一番出来が良く、実施は8.3666まで伸びた。ローテーションの回転数が不足しているためにDは7.3であったが、今後Dの精度があがっていけば、16点台に乗せることができるであろう。
全体的にはとても美しく、華やかな印象を放った。
一方の皆川は、4月中旬のブカレスト大会直前にフープの上にジャンプの着地をしたことから足を痛めていたが、そのままペサロ大会はこなした。ペサロ大会後、ビザの取得のために日本に一時帰国。その際の検査で骨折していたことが判明した。すでに完治に向かっているとはいえ、痛みからか身体のバランスを崩していた。日本でもきちんとした練習がこなせなかったのか、心も体もバラバラという感じで、手具を扱うコースも非常に悪かった。そのため練習の時から何もかもがうまくいかず、それゆえに不安になるという負のスパイラルに突入していた。試合でも不安に感じている箇所をすべてミスし、4種目ともミスの多いものとなった。
1種目目のクラブでは最初の足投げからのDERで落下。中盤のDERも落下。足でのつきでもミスを犯した。
2種目目のボールでは、身体が思い通りに動かず、幾度か落下ミス。最後はDERでキャッチできずに手具なしでポーズすることとなった。
3種目目のフープではジャンプターンでの転がしキャッチでミス。背面をひねりまわすところでも落下。
4種目目のリボンでもキャッチミスが相次ぎ、4種目を通じて思うような結果を残せなかった。
皆川にとっては非常に苦い試合となったが、多くの落下ミスをしてもDの得点は高いものもあり、技術的な評価は高いと思われる。いずれも難易度の高い手具操作の場面でミスしており、思い通りにこなすまでにはもう少し時間がかかるが、まずは正しく行うということを心がけていけば整理ができていくだろう。
今後はふたたびロシアでの練習が始まるが、ロシアのコーチ陣からは二人ともすばらしい選手として期待を寄せられており、紆余曲折しながらも高みを目指していってくれるに違いない。
個人総合を制したのはロシアのYANA KUDRYAVTSEVA。
まだシニアになったばかりの選手であるが、手具操作が神業と思えるほどにうまい。ボールでは回転しながら転がしながらのキャッチがいくつも入っていて、身体に吸い付くように、しかも身体の一番遠いところで操作している。フープではDERで落下ミスを犯したが、全体を通じて、正確な難度と美しい身体のさばき、目を見張る手具操作を見せつけた。
明日は団体種目別決勝と、個人種目別決勝が行われる。