新体操W杯イタリア国際レポート
4月26日、新体操W杯イタリア国際・ペサロ大会初日が開催された。個人競技には特別強化選手の皆川夏穂(15歳)と早川さくら(16歳)の2人が参加。先週のW杯ブカレスト大会に引き続いての出場となった。3月5日よりロシアに留学して練習を重ねていたが、1ヶ月半ぶりに2人の姿を見て、手具を遠くで扱うなどの基本的技術が向上しているのが如実に感じられた。ただ、皆川の体調がかんばしくなく、体力的な低下があったため、試合でどうでるかが心配された。しかし、そんな心配をよそに、2人とも落ち着いた試合運びを見せた。
フープからの登場は早川。エカルテのバランス時にフープを落下したが、そのほかはていねいな演技であった。D7.100 E7.767 計14.867
そして皆川のボール。曲を変え、中身もほとんど変わっていたが、大きなミスはなく15.983と、もう少しで16点台という点数を得た。(D7.650 E8.333)
2種目目、早川のボール。最初の足でのつきや、足キャッチからのボールの操作に手間取ってしまったが、難度においては、最後まで見せようという執着心があった。ピボットの終末も美しく、15.900(D7.800 E8.100)。
皆川のフープは、ピボットでかかとが早く床に着いてしまうなどの細かいミスがあったが、15.667(D7.700 E7.967)で2種目とも15点台に乗せた。
ロシアに行ってから1ヶ月の間に曲や作品を変更し、まだ踊りこなせているとは言い難い。それにより強い線はまだ出てきていないが、難度の質や手具操作の質は格段に向上した。ヨーロッパの間でも、日本の選手は美しいと評判になっており、今後試合をこなすごとに強くなっていってくれるであろう。皆川は2種目を終えて、23位。早川は28位につけている(54人中)。
前半1位はSVATKOVSKAYA Daria(ロシア)。難度が崩れる場面があったが、難しい技を次々とこなし、フープでは18点台に乗せた。2位に同じくロシアのTITOVA Maria。3位にイスラエルのRIVKIN NETAがつけている。
韓国のSON YEON JAEはボールの種目でアクシデントが起きた。曲が鳴ったために動き出したのであるが、その後すぐに音楽が切れ、伴奏音楽がないまま演技を続けるはめになった。観客の手拍子に支えられ、最後まで素晴らしい演技を行ったが、主催者側のミスということで、試技順の最後に再度演技することになった。しかし、良い演技を見せただけにすでに集中力がなく、幾度かポロリと落下。難度も不安定になってしまった。現在13位につけているが、巻き返しが期待される。
全体的にはやっとルールがこなれてきて、構成が豊かになった気がした。以前はどの選手を見てもほとんど同じ手具操作ばかりであったが、今大会ではそれぞれの選手がマステリー(一般的でない手具要素の組み合わせ)に工夫をし、難しい手具操作に挑戦していた。音楽から外れている動きも少なく、身体を十分に動かして、音楽を表現しようとする姿勢が感じられ、ルールを大幅に変えたことの良さが出てきたと言えよう。今後ますます面白くなっていくに違いない。
個人結果
そして団体競技には13ヶ国が参加。王者ロシアは不参加であるが、地元イタリアやベラルーシ、ブルガリアなど、今季初めて見る国も多く、興味深いものとなった。
今日はクラブの演技が行われたが、日本はフェアリージャパンPOLAが出場。新チームとなって2回目の国際大会出場であるが、2週間前にクラブの作品を変えたために踊りこなせておらず、精神的な負担も大きかったのか、落下ミスが多かった(12位)。
まずジャグリングの連係でポロリと落下。その後、フェッテピボットの直前にクラブを落下し、フェッテの入りが遅れた。ラスト間際の連係でもクラブが短くなり落下。直後のそりジャンプターンが遅れて、全体的にばらついた。
演技途中で急に堅くなった感があり、消極的になってしまった。まだ練習をし始めたばかりの作品で、ミスは仕方のない部分もあるが、どんなときでも積極的にやるという精神力を身につけていかなければならないであろう。作品の内容の厚みもまだまだなので、試合に出つつ、変更を重ねていく必要がある。
また日本でのルールの解釈とこの大会での解釈が違うものがあるようで、何が本当なのか情報を収集しつつ、作品に手を加えていかなければならない。
現在の1位はイタリア。難度の質などはそれほど良いとは思えないが、勢いという点では他国に勝っていた。
ベラルーシは連係で落下ミスし、ほかの場面でもあたふたとしていて下位に沈んでいる。日本と同じように若いメンバーが入り、なじめていない感じであったが、作品の内容や難度の質などはとても良く、今後すぐに上位に上がって来るであろう。
前半を終えて2位にウクライナ、3位にブルガリアがつけている。
明日は個人競技の後半種目(クラブ・リボン)と団体競技後半種目(ボール&リボン)が行われる。
団体結果