ティエ新体操グランプリ現地レポート

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 フランス現地3月30日、ティエグランプリ1日目が開催された。参加国はロシア、スペイン、ウクライナ、フランス、アゼルバイジャン、中国、日本の7ヶ国。日本は1月にチームを組んで新チームとなり、今季初の国際大会参加。また新ルールに変更されたばかりなので、新ルールに則った作品となっているか、世界の動向はどうなっているかを判断する大会ともなった。
 試技順2番、ボール3&リボン2に出場した日本は、序盤のスケール時にリボンに結び目ができたが、どうにかしのいで、中盤に連係を行いながらうまくほどいた。しかしパンシェターンで一人が崩れ、中盤の連係時に回転を行う選手がボールを落下。難しい連係の箇所で落下、DER(前ルールではリスク)でも一人が落下して、実施は6.300であった(難度点は7.550=計13.850)。ただ、他選手との関わりでのミスという点では一箇所のみで、あとは個人のミスによるものなので、今後、練習を積んでいくことで解消できると思われる。
 同じく試技順2番で登場したクラブでは、一演技終えた安堵からか、動きの堅さはなく伸び伸びと演技した。投げの安定性がないため、キャッチに移動がいくつか見られたこと、中盤でなんでもないところでクラブをポロリと落下したこと、ラスト近くの連係でクラブの落下があったことで、実施は7.000であったが、難度点が8.000で、計15.000。全体的にはやりたいことが見えた演技であったように思う。総合点28.850で日本は5位となった。
 1位はロシア。昨年からメンバーがほとんど替わっていないが、1種目目のボール&リボンでは出だしからミスを連発。非常に難しい連係の連続であるために取り戻しも遅くなり、難度の乱れや交換の乱れも招いて結果は14.700(D難度8.200 E実施6.500)。2種目目のクラブでは落ち着きを取り戻し、ジャグリングが見事な演技を披露した。ミスはあってもクラブの操作については圧巻だった(D9.100 E8.033 計17.133)。総合計31.833。
 2位に入ったのは中国。中国も昨年からメンバーがほとんど替わっておらず、オリンピックに参加していないので早めに作品に取り組めたのか、他の国より安定感のある演技を見せた。リフトを多用し、見せ物的な感じがあったのと、演技の小ささは気になったが、両種目ともやりたいことがはっきりと見えたと思う。ボール&リボンはロシアを抑えてトップに立った(D8.450 E7.300=15.750)。クラブでも多少のミスはあったが15.333(D8.400 E6.933)。総合31.083で2位となった。
 3位はスペイン。スペインもボール&リボンでは序盤の交換でリボンが落下。後半のDERでボールを取り損ねて場外。大きなミスが出て、D8.150、E6.867、場外のペナルティが0.6で計14.417だった。クラブはお国柄の出た曲で、音楽とリズムがよくマッチし、後半の盛り上がりも良く15.900。少しミスはあったが、スペインらしい強さがあった(D8.400、E7.500)。
 4位はウクライナ。両種目ともそれほど手の込んだ作品ではないが、盛りだくさんでない分、観客としては見やすいかもしれない。クラブではまとまりを見せたが、ボール&リボンでは場外や交換、連係での落下ミスが出て、メダルを逃した。クラブ(D8.400 E7.000 計15.400)ボール&リボン(D8.150 E6.200 場外0.600 計13.750)総合29.150。
 5位が日本で6位はフランス。相変わらず試合でのがたつきが多く、1種目目のクラブでは何が起こったのかわからないほどミスが出た(D6.500 E5.667 12.167)。
ボール&リボンはどうにかまとめ、D8.000 E6.700 計14.700。総合計は26.867。
 7位はアゼルバイジャン。もともとの身体能力がそれほど高くなく、大きなミスも出たため7位となった。クラブはD8.150 E5.500 場外0.90で12.750。ボール&リボンはD7.600 E6.767 場外0.3で14.067。
 総評して、春先の大会ということで、中国以外はどのチームもミスが多く、まだまだこなれていない感じであった。新ルールではひとつミスが出れば、D難度点では加算されず、E実施点では技術的にも芸術的にもWで減点されるため、大きな減点となる。しかしながら団体では連係をやらないと難度点が上げづらいため、どの程度複雑にして、どの程度ミスの少ない構成にしていくか、その調整具合が、勝利への鍵となっていくだろう。
 どの国も思ったよりメンバーが替わっておらず、その中で日本は、今回の試合はふたりのみがロンドンオリンピックからのメンバーであった(実際は4人残っている)。新メンバーでは、大きな国際舞台を経験しているものは一人(ユースオリンピック経験者1名)のみ。前日のポディウムでの練習では、フロアーを運動会のように走り回るほど乱れており、我をなくしている様子がうかがえたが、ひとつの試合を経験したことで、一段階進んだと言えよう。また2種目目のクラブ演技の直前に足をひねった選手が出たり、緊張の連続からか両足がつってしまった選手が出たりしたが、本番ではそういったことを感じさせない演技が出来、そういう点でもひとつ乗り越えることが出来たと思われる。どんな状況でも最善を尽くしていくということを積み重ねて、強くなっていってもらいたい。
明日31日は種目別決勝が行われ、日本は両種目に出場する。