2012モスクワグランプリ新体操国際レポート
2月24日、モスクワグランプリ・ジュニアトーナメントが開催された。このジュニアトーナメントの国別対抗の順位は、4種目の合計得点で決められるが、4種目を2名の選手が2種目ずつ行っても、4名が1種目ずつ行ってもよい変則的だった。大会には28カ国総勢約70名のジュニア選手が集結し、これから世界の舞台で活躍し新体操界の歴史に名を刻むであろう各国の期待の選手達を、いつも以上に目にすることが出来た。特に開催国であるロシアは23名もの選手が参加しており、底知れぬ選手層の厚さから世界のトップを走り続けるロシアの強さを思い知らされる大会となった。
その中でも、クドゥリャフセヴァ・ヤナ(Kudryvtseva Yana RUS)は、まだ個性的なキャラクターはないものの、ジュニアとは思えないほど正確なD1,2を魅せつけ、ボールでは27.100点をマークした。強豪国ロシアの中でも目を見張る重心の高さ、バレリーナを連想させるような優雅な動きは、観客席から思わず感嘆の声が上がるほどであった。
日本からは早川さくら選手、皆川夏穂選手の2名が参加した。
皆川選手は、リボンで結びができてしまう箇所があり、少し曲に焦ったのか後半のピボットやバランスでやや重心が流れ22.450点。クラブでは、投げが流れジャンプ中のキャッチで場外、また2本投げでは1本落下してしまい22.175点と点数を伸ばすことは出来なかった。しかし、今まで以上にジャンプやパンシェでの開脚度が増し、フォームに大きさが見られるようになったことは、これから世界と戦っていく上で大きな武器になるであろう。
試合終了後、国内の試合よりも緊張したと話す早川選手だったが、両種目ともに落ち着いた演技を見せた。フープでは、D1中の操作でややもたつく場面も見られたが、大きなミスもなくまとめ上げ22.700点。ボールでは、投げ受け中のジャンプが少し不正確になってしまう部分もあったが、安定した演技で23.500点を獲得した。
上位の一部の選手を除き、全体を通じ身体能力的に大した差はないように思えた。しかし日本人選手と外国人選手を比べた時、選手から放出されるパワー、溢れ出るエネルギーに決定的な違いを感じずにはいられなかった。
24点を超える選手については、演技中常に細部まで神経が行き届いており、自分の意思で筋肉や手具を動かしている印象を受けた。また、選手それぞれが自分の魅せたい部分や魅力を既に知っており、その自信が力となっているようにも感じられた。
日本の選手達が必死に練習していることや、限られた時間の中で努力していることは周知の通りである。今後は、選手自身が自分の持ち味やアピールすべき所を理解し、練習から魅せる努力をすることが必要であろう。そして選手自身が、審判や観客に魅せたいと心から思えるようになった時、それが力となり今の能力を更に引き上げてくれるように思う。
成績