ロンドン五輪テストイベント新体操レポート2

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17日、オリンピックのプレ大会(ロンドン五輪テストイベント)が行われ、個人総合の結果からロンドンオリンピックの切符獲得者、獲得国が決定した。
日本から出場した山口留奈。
リボンではスティックの部分がキャッチできずに不正確な受けとなり、体にリボンが触れてしまう箇所があった。またドゥバン+パンシェがはまらず、リボンが真上に上がったためにリスクをやらずに落下を防ぐなど、いくつかミスやプログラム通りではない箇所があったが、昨日よりずっと積極的な演技を行った。消極的な演技だけはしてはいけないという山口の強い意志が現れた演技だった。24.850
クラブでは、難度の精度やリスクのタイミングも良く、今大会自身最高のパフォーマンスを繰り広げた。スピード感や動きのキレも、今大会を目指してやってきたことがすべて出せているという印象で、見ていてもワクワクする演技だった。これまで、一年間見てきた中でも「1番の出来」と言っていいぐらいであったろう。しかし、終盤の投げから、しかそりの回転ジャンプを行おうとして、またもや足を滑らせて転び、クラブを落下。23.950で、結果的には彼女の良さを出し切ることができなかった。
ひとつの大会で2度転倒するということは、ただ単に滑りやすいフロアーであったというだけではない原因があったであろう。それを現段階で考えるに、「パフォーマンス向上のために技術を変えてきたことがまだ身についていなかったのかもしれない(岡コーチ)」。やってきたことは間違いはないのであろうが、試合でそれを出すには、少々時間が足りなかったとも言える。
とにかく昨日より順位をひとつ上げたものの山口は18位で、新体操個人競技としては2大会連続でオリンピックの切符を逃した。ここ数年、団体競技に特化した強化を行ってきたが、そのひずみもあった。応援していただいた皆様に申し訳ない気持ちでいっぱいである。
1位はKONDAKOVA(RUS)。
リボンの持ち替えで落下し、投げもミスして後半崩れ(26.500)、クラブも一度落下したが(26.900)、4種目中3種目は新しい作品。他の選手がオリンピックの切符を取るために演技を変更していない中で、新作品をここまで踊りこなすのはさすがである。どの種目もパワフルで、完成が楽しみである。
2位はALYABYEVA(KAZ)。
リボンでは、リボンの先がフロアー外に触れ、0.2の減点となってしまったが、4種目を通じて安定感のある演技であった。
3位はGANNA(UKR)。
リボンではピボットが少々崩れる場面もあったが、彼女の世界を見せつけた。
4位はRODRIGUEZ(ESP)。
ていねいかつ情熱的な演技で、4種目を通じてまったくミスがなかった。
5位にはTRIKOMITI(CYP)が入った。
彼女も4種目ともミスがなく、今日もピボットの軸の乗りの良さを見せた(フォームは良くないが)。
6位はBEREZKO-MARGGRANDER(GER)。
パンシェターンやバックルの足持ちターンなどはスピードや精度に申し分はなく、動きにも非常にキレがある。さほど大きな選手ではないが、どこかカナエバ選手にも似たところがあり、今後も上位に位置し続ける選手だろう。
KONDAKOVAを除いて上位5人ということで、ここまでがオリンピックの切符を獲得。
PISCUPESCU(ROU)は、動きの大きさや伸びやかさはあったが、7位で惜しくも切符獲得はならなかった。
団体競技はリボン3+フープ2が行われた。
この日もエネルギッシュでほぼ完璧な演技を見せ、予選1位になったのがスペイン。モンペリエ世界選手権では後半のリスクでリボンとリボンがからみ、そこから大きな失敗となってしまったが、今回は最後までリズムに乗った演技であった。26.950(合計53.850)
2位はウクライナ。
投げが乱れる箇所や、リボンの軌跡が美しくない箇所があったが、団体としてのまとまりも出てきた。26.400(53.250)
3位はイスラエル。
ほぼミスのない演技であったが、リスキーな構成ではないためか得点はいまひとつ伸びなかった。25.600(51.900)
4位はギリシャ。
世界選手権の時にはあまり良い印象ではなかったが、今回はきっちりと仕上げてきて、構成も面白く、勢いがあった。25.275(51.125)
5位はスイス。
ほぼミスなしの演技であった(25.050)が、前日のミスが響いてしまった。(49.350)
6位はフランス。
出だしは良かったが、キャッチに移動が見られ、不正確な受けが幾度となくあった。全体的にがたがたとした印象で24.200。(48.950)
精神的な弱さが見えるような演技であった。
4位のギリシャまでがオリンピックの切符を獲得したが、ギリシャとフランスはブルガリアのドナフスカ姉妹がそれぞれコーチをしている。姉のカメリアが勝ち、妹のアドリアナが負ける形となり、明暗を分けた。
7位はアゼルバイジャン。
新作品に変更して大きなミスはなかったが、全体的にクオリティが低かった。24.000(47.500)
8位は開催国イギリス。
リボンに結び目ができるミスが出たが、最後までほどかずに続け24.050(44.950)
これでオリンピック出場国が決まったが、団体は強豪揃いとなった。
スペインやウクライナの伸びを見ると、日本の団体も危うい。
危機感を持って邁進していきたい。
明日は個人総合10位までの選手と団体は8チームすべてが決勝に進出し、プレオリンピックでのメダル争いを繰り広げる。