第31回世界新体操選手権モンペリエ大会現地レポート6

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団体総合、日本は5位入賞でオリンピックの切符を獲得!!
 第31回世界新体操選手権モンペリエ大会6日目は、団体総合が行われた。日本からはフェアリージャパンPOLAが出場。ロシア・サンクトペテルブルグでの強化合宿も二年目に入り、大会直前のW杯タシケント大会では強豪がいない中ではあるが金メダルを獲得するなど実績も積み、成長した姿を見せたい大会でもあった。
 試技順二番で登場したのはロシア(リボン&フープ)。出だしのコラボレーションでいきなり小さな落下があり、ひやっとさせたが、その後は落ち着いて対処し、27.600。
 続いてブルガリアが登場(ボール)。アチチュードピボットで若干崩れたが、落ち着いており、ほぼミスなし。ただボールの両手でのキャッチが多く、26.800。
 ベラルーシのボールは、キャッチに移動があったり、交換でのもぐり回転をやらないなどの小さなミスはあったが、エネルギーのある演技で27.525。
 スイスのリボン&フープはほぼミスのない演技を見せた。よく鍛えられた感じもあり、好感の持てる演技で26.300と出だしは好調。
 次に登場した日本(フェアリージャパンPOLA)。コシノヒロコさんデザインのレオタードに身を包み、デコレートされた階段をのぼってくる。緊張で、若干表情が硬い。これは大丈夫か?と不安もよぎる。そしてボールの種目では、出だしのしか反り交換が乱れ、一瞬ボールを探した。どうにかとらえると、寸前でキャッチ。ミスには違いないが、ボールが手元から外れることはなかった。その後、落ち着いてリズムを取り戻したが、ラストの交換が再び乱れた。そのためボールの転がしの動きが他の選手と接触しそうになったが、どうにかこらえて26.250。この出来としては高評価であり、まだまだ勝負のラインに乗っているようだ。
 ウクライナのリボン&フープは落下ミスはないが、バラツキがあり、25.850。
 日本のライバル、イスラエルは、いつもよりエネルギーに欠けていたが、小さなミスでとどめ、26.675。
 1種目目を終えて、第1グループの順位はロシア、ベラルーシ、ブルガリア、イスラエル、スイス、日本・・・・・。
 第2グループには強豪イタリアやライバルのドイツが控えているため、この第1グループで6位にいては、6位までに与えられるオリンピックの切符は獲得できない。勝負は2種目目の出来にかかってきた。
 2種目目の試技順1番はロシアのボール。前半は全体的に落ち着いて見えたが、中盤の交換で足でキャッチしたと思ったら、こぼれて、6~7mボールが転がっていってしまう。27.250。トータル54.850
 ブルガリアのリボン&フープは、ピボットで少しぐらついた程度で、ほぼミスのない演技。2種目を通じて安定した力を見せた。27.325。トータル54.125
 第1種目目で日本を上回ったスイスはボールの種目。落下ミスはなかったが、ひとりの選手が少々動きを中断。他の選手の動きを見て遅れて合わせるというミスが出た。動きの勢いはあったが、ボールの両手取りも多く、25.525。トータル51.825
 ベラルーシのリボン&フープは出だしの交換で、2名の選手がリボンを落下。その後のコサックピボットでは、1名の選手が途中でぐらついて早く立ち、そのあとも交換でリボンとフープを落下。またフープとリボンを落下と、何回落としたかわからないぐらい落下が続くという、ベラルーシらしくないミスが出て25.325。トータル52.850。
 ウクライナのボールは落下があり25.500。トータル51.850。
 そして日本のリボン&フープ。最初のコラボレーション、交換と、きれいに決まる。しかし、リスクがらみのコラボレーションが終わった直後、後ろの腕転がしでフープが落下。が、ここからのリカバリーが早かった。すぐにフェッテピボットに入り、大事を免れた。その後も投げが短い箇所や、リボンの投げが低い箇所もあったが、反応も早く、落下ミスはしない。最後までがまんの連続であったが、こらえたかいがあって26.475。トータル52.725でスイスは上回った。
 できれば第1グループで4位ぐらいにつけておきたいところであるが、手堅い演技が定評のイスラエルがいる。そのイスラエルのボールは、いつもよりやはりエネルギーを感じられない。それでもミスなく演技を進めていたが、中盤で2人がボールを落下。そのうちひとつのボールは場外に出てしまい、後半はまったくエネルギーがなくなってしまった。25.500。トータル51.700
 第1グループを終えて日本は4位。どうにか6位以内を確保できるポジションに位置した。
 第2グループの注目国はスペイン。ボールはすばらしい演技を見せた。自国の音楽を情熱的に演じ、観客を魅了する。プレッシャーなどないかのようにパワフルな演技をして、26.500。第1種目めとしては日本を上回った。
 第2グループのイタリア、ドイツに加えてスペインが入ってくると、日本は6位以内をキープできない。スペインの2種目めの演技が気になるところとなった。
 中国はリボン&フープ。工夫された技を見せたが、ダイナミックさに欠け、25.950。
 イタリアのボール。複雑な連係をスピーディーに演じていくが、コラボレーションでボールを落下。27.350。
 次はフランスのリボン&フープ。会場は耳をつんざくような歓声と拍手で満たされる。キャッチに移動はあったが、非常に落ち着いている。落下ミスもなく、どれほどの得点が出るのかが気になったが25.650。ジャンプ系の難度がとりにくいと思われ、Dは8.350と伸びなかった。
 ドイツのボールも、フェッテで落下。今大会は、オリンピック予選というプレッシャーがあるのか、上位陣にも次々とミスが出る。26.200で、第1種目めとしては日本が0.05上回る。
 中国もボールのコラボレーションで二個落下。ふたつとも場外に出て、一瞬選手が棒立ちとなってしまう。23.900 トータル49.850
 そして注目のスペインのリボン&フープ。出だしは、人の上を飛び越えた選手が2回前転してフープをキャッチするという大技も決め、ボールの絶好調ぶりをキープしている。パンシェターンなどD1は見えにくいところもあるが、何しろ勢いがすごい。これは日本の負けか、と思ったときのこと。フープのリスクを決め、続いてリボンのリスクになったとき、二つのリボンが近くに寄ってしまう。それをお互いにぐっと引っ張った瞬間、お互いのリボンが絡み合う。引っ張れば引っ張るほど絡まって、ほどくのに時間がかかる。どうにかほどいたあとも落下があり、24.000。トータル50.500で一気に下位に沈む。
 フランスのボールはていねいな美しい演技だった。ジャンプ系はやはりとりにくく、26.125 トータル51.775。
 イタリアはパンシェターンやジャンプの精度は悪いが、リスキーな技を次々と繰り広げ27.800。トータル55.150で金メダルを獲得した。
それほど本調子とは言えなかったが、ロシアよりもミスが少なかったのが勝因であった。
 この時点で日本は5位。このあとのドイツが、どんな演技を見せてくれるのかが気がかりであったが、落下ミスはないものの、いつもの元気がない。難度の精度も悪く、ミスがなかった割には得点が伸びず、26.475。トータル52.675で6位。
 これで日本の5位入賞が決まるとともに、6位までに与えられるオリンピックへの切符を獲得した。
1位イタリア
2位ロシア
3位ブルガリア
4位ベラルーシ
5位日本
6位ドイツ
7位ウクライナ
8位スイス
9位フランス
10位イスラエル
11位ギリシャ
12位スペイン
13位アゼルバイジャン
14位ハンガリー
15位ポーランド
16位中国
17位カナダ
18位ウズベキスタン
19位オーストリア
20位USA
21位韓国
22位ブラジル
23位フィンランド
24位カザフスタン
 日本は小さなミスはあったが、どんなことがあっても最後まで演技を捨てないという練習を積み重ねてきたおかげで、大きな被害にならないように食い止めることができた。まさに粘り勝ちだったと言えよう。
 また今大会ではオリンピックの出場枠を獲得できなかった個人選手だが、山口、大貫、中津の3選手のがんばりがあったからこそ、団体の踏ん張りがあったと思うし、全スタッフがサポートしてくれたことの結果であると思う。
 現地まで応援に来て下さった方々、日本から声援を送って下さった方々、いつもサポートをして下さっている方々、関係者の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げたい。