第7回アジア新体操選手権大会レポート3
<個人・種目別決勝フープ>
1位は韓国のSon。地元の声援に乗せられるように、大きなミスなく演技を終えた。ただ、少しエネルギーが乏しいのが気になる。18.150
2位はウズベキスタンのSerdyukova。同じくウズベキスタンのNazarenkovaがMでの転がしで落下、場外するという大きなミスを犯して表彰台争いから退いた直後の演技であったが、持ち味のローテーションの回転数も申し分なく、17.450を得て、銀メダルを獲得した。
そして日本の早川さくらは、ところどころあぶない箇所はありながらも持ちこたえ、17.250で銅メダルを獲得した。4位には皆川夏穂が入った。国別対抗ではうまくいかなかった、出だしと中盤の軸回し(M)も決め、パンシェのローテーションも多少乱れながらも踏ん張った。17.000
<個人・種目別決勝ボール>
1位は韓国のSon。ジャンプターンでのボールの突きがうまくいかず、多少乱れたが、うまく対処し、17.850
2位はウズベキスタンのNazarenkova。フープではミスに泣いたが、ダイナミックな演技を披露し、銀メダル獲得となった。
3位はカザフスタンのAshirbayeva。最近、難度の精度が上がり、ミスも少なくなってきており、このボールでもほぼ完璧な演技であった。17.450
早川は出だしのMの足でのバウンドがうまく弾まず、キャッチすることができずに、そのままボールが少し転がってしまう。そのあとは気持ちを立て直して、ラストまで執念深く演技したが、16.750で6位。
<個人・種目別決勝クラブ>
1位はウズベキスタンのNazarenkova。ほぼミスのない演技で17.600を獲得して、金メダルとなった。
2位は早川さくら。アチチュードローテーションは3回、パンシェのローテーションは2回。ラストのDERは多少前にクラブが飛んだが、勢いよく回転してミスなく演技した。17.550とわずかにNazarenkovaに届かなかったが、今大会2つめのメダルを獲得した。
3位には皆川夏穂とカザフスタンのAshirbayevaが入った。皆川はクラブの試技順1番であったが、ラストのMのクラブで押さえるところを手でキャッチしたところ以外は、難しい技を次々とこなし、17.250で今大会初のメダルを獲得した。あまりに豪快な投げ技に、会場からも大きな拍手がわいた。
本命の韓国のSonは、疲れからか、ダンスステップコンビネーションで落下。ラストの、クラブでクラブを押さえる技でも、うまくいかずにクラブがこぼれ、17.050。5位となった。
<個人・種目別決勝リボン>
試技順1番は韓国のSon。
クラブで表彰台を逃しただけに、ここはなんとしても金メダルを獲得したいところであったが、バランスの難度のときにリボンに結び目ができ、バランスの難度を途中であきらめ、結び目をほどく作業に。その後もリズムは狂ったままであったが、なんとかこらえて17.200。Sonはミスなく演技すれば18点台に乗せることができ、現時点ではアジアの中で太刀打ちできる選手はいないが、17.200の点数であれば、種目別決勝に残っているどの選手にも、それを超えられるチャンスがある。リボンの種目には、早川や皆川も出場するため、また表彰台が近づいてくる。
そして試技順2番の皆川は、足持ちのローテーションの回転数が少なくなったが、国別対抗時にミスが出たDERは修正し、なめらかな演技を披露した。17.200。これでSonと並んだ。続く韓国のCHUNは16.100。
そして試技順4番で早川が登場。中盤、DERが真上気味に上がったが、うまく対処し、17.550。Sonを超え、その時点で1位に。
試技順5番はカザフスタンのAssymova。ミスなく演技したが16.700。
強敵のNazarenkovaは国別対抗時にミスが出て、リボンの種目には出ておらず、試技順6番はウズベキスタンのDavryatova。ミスのない演技であったが、DERでの”待ち”が見られ、16.850。
試技順7番はウズベキスタンのSerdyukova。相変わらず、ローテーションの回転数は上げていったが、足持ちのローテーションで、かかとが早く着地した。17.450。最後の一人を残して、早川はまだ1位のまま。
そして試技順8番はカザフスタンのAshirbayeva。難度が見やすく、リボンにも軽さがある。しかし、ラストのDERのキャッチで、リボンがわずかに体にからまる。17.150
早川さくらは見事金メダルを獲得。皆川夏穂もクラブに続いてリボンでも銅メダルを獲得した。
団体ではW杯シリーズ等で金メダルを獲得することはあるが、個人競技で金メダルを獲得できたことは、すばらしい成果であるし、今後の励みになるであろう。
<団体種目別決勝・リボン5>
リボンを制したのは中国。移動や大きなミスもなく、安定した演技であった。17.100
日本は中盤で結び目を作ってしまい、ダンスステップコンビネーション中にほどいた。ほどけない部分がありながら交換などはなんとかこなし、16.550。2位となった。
3位はウズベキスタン。連係中にリボンをひっかけ、落下。交換でもリボンの裾が場外するなどミスが出て、14.850
<団体種目別決勝・フープ2&クラブ6>
今大会でやっと金メダルを手にしたのは日本。連係での不正確な受け、キャッチの移動などはあったが、大きなミスはなく16.900。
中国は交換でポトリとクラブを落下。16.550で2位。
3位に入ったのはカザフスタン。ミスなく、軽快に演技して16.250
4位が韓国で5位がウズベキスタン。このところ調子をぐんぐんと上げてきているウズベキスタンであるが、連係で落下すると、その後も連係や交換での落下が続いて13.550。中身が詰まっているだけに、ひとつリズムを崩すと取り返せない怖さを改めて感じた。
団体は本日の種目別決勝で試合は終わりとなる。世界選手権では絶対にミスができないため、構成の見直しをはかることと、難度の選択の見直しをはかること、またリボンの描きをもっとクリアにしていかなければならないだろう。そして一発にかけられる強い精神力も培っていかなければならない。
明日は個人総合が行われ、日本からは早川さくら、皆川夏穂が出場する。地元韓国のSon、ウズベキスタンのNazarenkova、Serdyukova、早川、皆川、カザフスタンのAshirbayevaあたりが表彰台を狙える位置にいると思われるが、大会4日目となり、体と心の疲れにどう向き合っていくのかが鍵となる。種目別決勝での金メダル獲得に、一瞬だけ喜びに浸り、明日はまたリセットしてがんばっていこう。
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