2015新体操W杯イタリア大会報告2

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2015新体操W杯イタリア・ペサロ大会 2日目、個人総合の後半2種目( クラブ・リボン ) の競技が行われた。2日目は個人グループCからスタートし、団体( クラブ×フープ ) 、個人グループB、個人グループAという順番で競技が行われた。団体競技の強いイタリアならではの、観客の興味に配慮したプログラムだ。

まずは、個人Cグループ皆川の登場である。昨晩22時に試合終了し、本日14:00のスタートであるため、帯同の今木トレーナーとも十分検討しケアをして臨んだ。しかし、いつになく動作が遅い、技が決まらない。目が泳いでいる。タイミングを計りながら声がけをし、集中力が切れないよう励ます。一種目目のクラブでは、スタートの非対称のDERを真上に投げ上げ、回転をせずにキャッチ。最後まで踏ん張り落下は防いだものの、ローテーション難度の軸が踏み込めず回転数が減り、最後のMを曲なしで終了。D、E共に得点は伸びない( 16.55 )。きりかえて臨んだリボンでは、少し調子の上がった感があり、軸が決まってきて17.05。本人曰く、体が重く集中が難しく、とにかく落下だけはしない、と言う事を決めて後は我慢し続けた、とのこと。まさしくその通りで、これでは音楽との調和した演技の良さは半減する。結果的には得点は伸びてこない。しかし、3連戦目の自身の疲労に対して、自ら「落下はしない」と決めてその通り実行した、という点は評価したい。多くの選手が2日目は落下が多く出ている中で、その踏ん張りで総合14位に踏みとどまった、と言える。

続いて団体競技が行われ、昨日ミスに沈んだフェアリージャパンPOLAの巻き返しに期待がかかる。舞台裏では3分ローテで次々交代し練習が進む。練習の始めこそ各自の緊張度がバラバラでイージーミスが続いたが、インナコーチと横地コーチの強いアプローチでいい状態に仕上がったかに見えた。試合では演技中盤までは明確なリズムを刻んで、徒手難度もしっかり見せていた。しかし後半に入ると連係の受けを上腕に滑らすなどのミスが徐々に出始め、全体のタイミングが狂い始める。フープを回転の胸うちで送る連係でフープがやや短くなり、わずかにワンバウンドで受けてしまう。これをきっかけに交換の距離が乱れ、ついに交換でも落下ミスが出てしまった。弱い。各自が精神的に持ちこたえられていない。小さなミスを引きずって大きなミスを引き起こしてしまう。これは、団体の初歩的な問題である。リスボンでは他国のミスに助けられてのメダル獲得だった。今大会ではどのチームも実力を上げてきた。自らのミスで順位を落としているようではダメだ。指導を待つのでなく、メンバー一人一人がもっと成長し、チームとしても成長しなければならない。数段上の構成内容で、ミスに苦しんでいたロシアチームも今大会ではノーミスを決めてきっちり金メダルを獲得。ミスをしないチームが総合の表彰台に立った。

続いて個人Bグループをへて、Cグループ早川選手登場は20:00。昨日よりアップの動きはいい。回復傾向にあるのだろう。始めはクラブの演技。やや慎重ではあるが、ラストのM以外は全てアプローチした。アチチュードピヴォットとパンシェローテーションの軸がまだ3回転にわずかに届かない。また、MGのスローターンの軸が刺さらない。(17.150) 2種目のリボンでは、スタートの足投げで投げ過ぎてしまい、DERが切れる。あとはローテーション難度の回転が甘い。16.65。結果は初日の順位をわずかにあげ、21位で終了した。

個人は初めてのワールドカップ3連戦であり、選手自身はもちろんのこと、コーチにとっても3戦目のきつさ、特に神経系の疲れの影響については初めての体験となった。これを元に世界選手権迄のスケジュールを見直し、「申告プラスαの徒手難度の標準装備」を目標にした合宿と試合のバランスを再考する。勿論、ノーミスを続けるためのフィジカルの強化は必須だ。団体においては、まず基本的な精神面の強化が必要だ。もちろんそれはメンバーの技術面の平均化、体力面の平均化を通してであろう。世界の完成度は進んでいる。全世界がオリンピックの枠取りに「必至」の構えで取り組んでいる。団体個人ともに、二度とファイナルの観客席を温めてはいけない。フロアを這ってでも、ファイナリストにならなければ。泣くなら、日本代表はやめることだ。

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