男子新体操合宿レポート④ 東北会場
2月15・16日の二日間、白石市ホワイトキューブにて男子新体操指導者選手合同合宿(東北会場)を開催した。
本年度はすでに九州会場(神埼清明高等学校)、関東会場(国士舘大学)、関西会場(花園大学)が終了しており、最後の開催地となった。当日は大雪警報が出される中、遠方からの参加者の遅れがあったものの、講習内容を変更し、何とか開催できた。
【1日目】
雪のため開始時間が遅れたことから、合宿の最初のプログラムとして、アップを兼ねたタンブリング練習を行った。
ジュニアから高校生までが同じフロア内でお互いのタンブリング技術を教えあいながら、美しい姿勢欠点のない実施を念頭に置き、指導者も補助に入りながら、実施した。
引き続き、林講師によるコーディネーショントレーニングの講習会を行った。
普段の練習ではどうしても技術の習得に気が取られがちになるが、その基礎となる自らの体を自らの思ったように動かすための、「脳と体の神経回路」を鍛えるトレーニングの重要性を選手・指導者とも実感できた講習であった。指導者も一緒になって実施したが、見ている以上にイメージ通り体を動かすことの難しさを感じることができた。
【2日目】
参加者の中には雪による到着の遅れがあったが、予定通り9時30分より講習をスタートできた。
まずはスポーツアクロ体操協会の佐藤講師(ご夫妻)に協力頂き技術講習を行った。
昨年度、東北会場は映像講習のみであったが、今年度は実際に講師の方に実技指導を行ってもらい、ジュニア層における基礎技術を中心に実践的な指導を行って頂いた。大技に至るための基礎の重要性を再確認し、選手指導者とも充実した講習であった。
その後、指導者の一部は会議室に移動し、アクロのルール講習を受講した。これまでアクロの競技ルールについて理解に乏しかったため、アクロの競技内容・ルールについて理解を深めることができ、今後のアクロとの融合に向けて、お互いの持つ優れた競技性をどの様に融合させて活かしていけるかを考える上で有意義な講習であった。
アリーナではアクロの講習に引き続き、八田講師によるストレッチ・コアトレーニングの講習が行われた。内容としては体の凝りをほぐすことで、柔軟性や関節の可動域の向上を図るというものであった。日頃行っているトレーニングや生活習慣などにより、特定の筋肉ばかり酷使すると、そこに疲労物質がたまり硬直したり、歪みが発生する。そのため、まずは「体をほぐす」ことがパフォーマンスの向上や怪我の防止に繋がるということであった。
具体的には、全身の凝りをほぐすために、テニスボール(4個)を靴下に入れて口を縛り、「ほぐれっち」と呼ぶ筒状の物をつくり、身体の凝りのある各所に押し当てたり、転がしたりしてほぐすという内容であった。実際に行った例として、股関節の柔軟性を向上するための方法を実践し股関節のみをほぐすのではなく、連動している首や背中・腰をほぐすことで、結果的に股関節の柔軟性の向上に繋がる、といった解剖学に基づいた理論説明を加えながらの講習であった。受講者も理解を深めながら受講することができた。また、成果が目に見えて表れるため、受講者も意欲的に取り組んでいた。
「ほぐし」以外にも、インナーマッスルを鍛える重要性についても触れ、効果的に鍛えるためのトレーニングを、受講者全員で実際に取り組んだ。いずれも、実用性のあるレクチャーであったため、非常に内容の濃い講習であった。
二日間、雪による大幅な到着の遅れや、講習内容の変更など、臨機応変の対応を迫られた部分もあったが、大きな事故もなく無事に講習を終えることができた。講師の先生方、また、遠方からの参加者には大雪の中、白石まで来訪して頂きご苦労をかけたが、その苦労に見合う充実した講習内容であった。来年度に向けて、さらに講習内容の充実を図れるように今後とも幅広い情報収集を進めていきたい。
報告:宮城県新体操男子技術専門委員 菊地伸宏