新体操W杯ポルトガル大会レポート1
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4月3日、W杯リスボン大会と国際ジュニアトーナメントリスボン大会が開幕した。
初日に行われたのはジュニア前半2種目(フープ、ボール)と、シニア団体前半種目(クラブ10)。
<国際ジュニアトーナメント>
まず登場したのは、ユースオリンピック出場予定の立澤孝菜。新作品のフープは、まだこなしがうまくいっていない箇所があり、ローテーションの回転数も少なくなったが、全体的には落ち着いた演技を見せた。12.550
続いて、昨年の全日本選手権2位の喜田純鈴がフープの種目に登場。ジュニア選手の中でもひときわ小さい喜田であるが、小気味良い演技を行った。しかし、得点の高いバランスの難度で手を床についてしまい、得点が伸びなかった。12.600
2種目めはボール。立澤はMで小さな落下があり、またローテーションの回転数不足があったが、13.500。
喜田は、回転をしながらの足蹴りでボールが大きく外れ、走ってキャッチ。足持ちのローテーションが回転不足で13.700。だがパンシェターンなどはキレも良く、小さいながらにスピード感のある演技をした。
39人中、喜田が16位、立澤が17位で前半を折り返した。
喜田は、ジュニア選手になったばかりで、国際大会出場経験もほとんどないため緊張も見られたが、ここからがスタート。たくさんの経験を積みながら、成長を遂げてほしい。立澤は、落ち着いて淡々と演技ができる強みがあるが、ユースオリンピックに向けては、作品を変えつつ、エネルギーを増していってほしいところだ。
初日、ジュニアでトップに立ったのは、ロシアのPOLIAKOVA。フープではラストのリスクで落下ミスを犯したが、全体的には難度の正確さやはっきりした動きが際立っていた。
そしてアゼルバイジャンやベラルーシの選手が上位を占める中、同点3位に位置しているのがアメリカのZENG。手具操作も身のこなしも良く、流れるような演技を見せていた。
上位陣はミスがないのはもちろんのこと、動きが明確であり、エネルギーが強い。上位に上がっていくためには、明確なテーマと明確な動き、明確な手具操作が必要である。
<W杯リスボン大会 団体競技>
団体はフェアリージャパンPOLAが出場。モスクワグランプリ以降、W杯シュトゥットガルト大会を欠場して、作品の変更、メンバーの変更を行ってきた。
3月の中旬にボール&リボンの伴奏音楽を変更したが、非常に難しいスローな楽曲で、踊りこなすのに苦戦している最中である。また杉本早裕吏は昨年末に股関節を故障。ほとんど身体を動かさずに安静にする期間を経て、先月中旬のロシア合宿でやっとメンバーに復帰したが、まだまだ練習をしっかりとこなせる段階にない。その上、クラブの種目はリスボンへ出発する数日前にメンバーを変更。まだフェアリー候補生の横田葵子が出場することになり、もろもろ不安要素を抱えて迎えた大会となった。
横田は候補生であるため、団体の練習期間は非常に短く、またポジションも覚えたてのところに入ることとなった。
しかしイオンカップなど国際舞台の経験もあり、身のこなしも良いため、結果的には横田が入ったことで、安定感は増した。リフトがらみの連係ではまだこなしきれていない部分があるが、横田がパンシェターンを行うと、会場から拍手もわいた。
全体的には前半、中盤と落ち着いた演技であった。
ラストの交換で落下があり、大きく移動したため、16.250で前半種目を4位で折り返したが、モスクワグランプリよりは数段安定した演技となった。
前半1位はスペイン。昨年と作品を変えておらず、交換のキャッチの移動はあったが落下ミスはおさえ、お国柄があふれる力強い演技であった。17.400
2位はアゼルバイジャン。DERの投げが真上に上がり、DERが乱れたが、全体的には落下ミスもなく安定した演技を見せた。16.950
3位はウクライナ。音楽が前半で途切れたため、すぐにやり直しの演技をしたが動じることなく伸びやかな演技を見せた。交換で落下があったが、その場での落下であったため、大きな乱れはなかった。16.500
4位が日本で、5位がフランス。フランスもスペインと同様、昨年と同じ作品。交換の投げが乱れて、大きな移動を伴う落下となった。キャッチも不安定な箇所があり、15.800
6位は地元ポルトガル。美しさには欠けるが、落下ミスは回避した。15.150
7位がカナダで、8位がメキシコ。
団体は、明後日にボール&リボンが行われ、総合の順位が決定する。
団体出場選手(クラブ10)
畠山愛理
松原梨恵
国井麻緒
熨斗谷さくら
横田葵子
また明日は、国際ジュニアトーナメントの後半種目(クラブ、リボン)と、W杯リスボン大会個人競技が行われ、W杯にはモスクワグランプリで健闘した皆川夏穗と、故障からコンディションを上げつつある早川さくらが出場する。
Hiroko Yamasaki