新体操モスクワグランプリレポート(種目別決勝)

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現地3月2日、モスクワグランプリ最終日は種目別ファイナルが行われた。まず4種目ともファイナルに残った皆川夏穂がどんな演技を見せてくれるか楽しみなところであったが、それぞれの種目で少しずつミスが出て、総合の出来を超えることはできなかった。

フープではキャッチが不正確な場面がいくつか見られ、ローテーションの数も甘くなった。どうにか落下なしですすめ、大きなミスをしたStanioutaを抜いて7位となった。

ボールでは非常にていねいに演技し、のびやかな演技を見せていたが、ラストのDERで落下。手具なしで終わることとなった。総合の時には視野外をやめて落下を防いだが、今日は回転しながらの視野外、手以外のキャッチに挑戦。しかし、わずかにキャッチできずに7位。

クラブでも、尻上がりに調子を上げて正確な演技を行っていたが、ポイントの高いバランスの連続でこらえきれずに手をついてしまう。惜しいミスが出て8位。

最終種目リボンでは、やはりローテーションの数が甘くなるが、しなやかにていねいに演技する。しかし、最後のDERでキャッチできずに、スティックが落ちてから拾う形となった。最後の最後までがまんできずに8位。

総合の時と比べると若干緊張が見られ、出来も点数も総合の時より悪いものとなったが、全体を通してみればよくやったと言えよう。昨年の今頃は、ひとつの種目で幾度も場外をしていたことを思い出す。あれから1年たって、なんとか形になってきたように思う。

ファイナルに出場する選手と比較すると、ただ必死に正確にエレメントをこなしているというふうに映ってしまうが、まずはその正確さを見せていくことで、ある程度のポジションは得ていくだろう。あとは、感情移入ができていけば、上位選手と十分に戦えるところにいくはずである。

リボン以外の3種目で金メダルを獲得したのはロシアのMamun。フープでは、フープが立体的に動き、静止している箇所がない。ボールでも体のあらゆる面をボールが転がり、しなやかさが際立つ。クラブは民族的な音楽に合わせ、キレのある演技を見せる。リボンは出だしから、ただ歩くだけなのに気品と物語を感じさせ、世界選手権が終わってからの半年での大きな成長を見ることとなった。リボンでは惜しくもラストのDERで落下し、完全優勝とはならなかったが、新体操の奥深さを存分に感じさせてくれた。

リボンで1位になったのは同じくロシアのTitova。長身を生かしたしなやかでダイナミックな演技を見せ、ほぼミスのない演技でリボンの頂点に立った。

フープとクラブの2種目でファイナルに出場したKudryavtsevaは、フープで落下。多彩な手具操作を見せたが、2位となった。クラブでは総合の時にミスが出たところを修正し、ほぼミスのない演技を見せたが、Mamunにわずかに及ばず2位であった。

フープ、クラブ、リボンで3位となったのは韓国のSon。フープでわずかなミスが出たが、クラブ、リボンと正確な演技を見せて、表彰台に上がった。Sonがメダルを獲得することも珍しいことではなくなってきており、Sonがやれるのだから日本選手もやれないことはない、と希望を与えてくれる選手でもある。同じアジア圏の選手として、近い目標がそこにある。

ベラルーシのStanioutaは、ボールで3位となったが、フープでは背中転がしから場外まで飛ばし、Mでも落下して、皆川の下に沈んだ。総合、種目別を通じてミスが幾度か出てしまったが、世界選手権までにはきっちり調整してくるだろう。

グルジアのPazhavaは、自分の世界を確立し、それが観客にも受け入れられてきており、今後も高い点数をコンスタントにとっていくだろう。

2月末のこの大会で、世界はすでに円熟味を増している。この世界の流れから外れないようにしなければならないと思わされる大会であった。

団体種目別決勝に出場した日本(フェアリージャパンPOLA)は、昨日と同じように中盤から崩れ始め、連係や交換でいくつかのミスが出た。昨日より動きの大きさは出ていたが、安定感のない箇所から崩れており、よりいっそうの練習が必要である。

アゼルバイジャンはクラブで銅メダル、ボール&リボンで銀メダルを獲得したが、さほど質が良いわけではなく、とにかく落下を防いだ結果である。どんなキャッチの仕方であろうと落下をしないという執着心を持っていかなければならないと思う。

両種目とも1位になったのはロシア。クラブでは交換が投げられない箇所や連係で細かいミスが幾度かあり、ボール&リボンでもミスが出たが、底力でトップに立った。

ブルガリアは総合の時より安定感があり、クラブで2位。ボール&リボンでは前半の交換でキャッチが不正確となり、3位となった。

総合2位のイスラエルはクラブの足投げで落下。連係でも落下があった。他の国と比較すると、難度のラインがきれいで、見やすい。

ドイツは両種目ともにミスが出たが、今後調整をしてくるだろう。

3月から5月にかけてW杯が集中しているが、日本も難度の精度、投げ受けの精度をアップして、常に上位に食い込んでいきたい。

山﨑浩子
Hiroko Yamasaki

結果