第13回アジアジュニア新体操選手権大会レポート②
◆個人総合
予選大会を勝ち抜いた15名の選手による個人総合決勝が行われた。(日本からは鈴木歩佳選手、立澤孝菜選手が出場)
この個人総合では、各種目の点数において1位を獲得した選手が異なり、2種目で1位を獲得した選手が総合4位になるという結果になった。つまり、ミスが大きく勝因を分けたのである。
*1位 MAINOVSKAYA Y (KAZ)
HOOP 14.300 BALL 14.150 CLUB 13.700 RIBBON 14.100 合計56.250
この選手は、割とシンプルな難度(アラベスクバランス~転回、ジャンプターン、かかとをつけてのパンシェバランス、パンシェターン・・・など)を構成に取り入れているのだが、ハッキリと力強く行うためとても見やすく終末動作においてもぶれがないため実施減点も少ない。また、DER(投げ技)や操作も巧みにこなすため、D6.15点(Jr.はMax8.0点)をコンスタントに出している。
クラブのDERの受けで一か所滑り落としたミス以外、ほぼ完ぺきな演技を見せた。4種目を通しミスなくまとめられることも、演技後半に盛り上げていける力があるのも強さの一つである。
*2位 DAVLYATOVA Anora (UZB)
HOOP 13.950 BALL 14.300 CLUB 14.200 RIBBON 13.400 合計55.850
一つ一つの難度を丁寧に、また確実にこなしていく選手ではあるが、準備動作が長い分流れはぎこちなく見える。他選手と比較しそれほど柔軟性に優れているわけではないが、ローテーション(ピボット)難度を得意としており、各種目で実施する度に会場から歓声が沸いていた。このように、欠点をカバーできるような武器を持っていることはとても重要である。リボンのDERのもぐり受けで手をついてしまったのが惜しかった。
*3位 TAI Olivia (MAS)
HOOP 14.050 BALL 13.750 CLUB 13.900 RIBBON 13.950 合計55.650
リボンのスタートで取り損ねがあったものの、その他の種目ではノーミスで踊り切り、地元マレーシアの大勢の応援団が見守る中プレッシャーを見事力に変え力強い演技でメダルを獲得した。
まだ演技全体のスピード感はかけるものの、自分の意志をしっかりと持った動きはとても華やかであり、きっちりとこなす難度の説得力を増す力があるように感じた。
*7位 鈴木 歩佳 (JPN)
HOOP 13.500 BALL 13.350 CLUB 13.450 RIBBON 13.400 合計53.700
全体を通し、少し怖がっているように感じた。また、とても丁寧に手具を取ろうとするあまり重心が常に下にあり、難度の実施が少し不確実であった。しかし、クラブの小さい投げの落下以外大きなミスはなく、どの種目もコンスタントにまとめるあたりは彼女の強さであろう。
そして、アジア選手の中に入っても引けを取らない思いっきりのよさ、手具操作の巧みさを出し切れれば、フロアーの中でもっと輝きを放ってくれるだろう。
*10位 立澤 孝菜 (JPN)
HOOP 13.200 BALL 12.000 CLUB 12.850 RIBBON 12.850 合計50.900
1日目、2日目の国別対抗戦では、ほぼノーミスの演技を披露し大役を果たした立澤選手だったが、個人総合においては4種目とも落下ミスや身体難度の不確実さが目立った。緊張と疲労が混在する中で、試合をどのようにこなし切るか・・・これも実際試合で経験し、身につけていくしかない。
今回立澤選手は日本人の中で唯一全ての試合に出場出来るため、4日間で4種目×3ローテをすることになる。まだまだ成長段階である彼女は、この大会を終えたとき、一回りも二回りも大きく成長しているに違いない。
明日最終日は、団体、個人種目別が行われる。
報告:村田由香里