第15回アジアシニア新体操選手権大会レポート③

報告者:新体操強化本部長 村田由香里

<5月4日 個人種目別決勝>
【松坂玲奈】
●フープ
3日目の疲れも見せず、明るく伸びやかな演技を見せた。
総合の時に生じた、転がしのDAも丁寧にこなし修正できたが一つ目のリスクで少しフープの回転軸が乱れキャッチがもたついた。しかし高いテクニックで大事には至らず上手く次に繋げることができ、銀メダルを獲得した。

●ボール
全てのプログラムを正確にこなし、今シーズン最高の出来であった。
音楽との一致、表現など日本らしさをしっかりとアピールし高い芸術点を獲得できたことは大変嬉しいことである。結果としては4位であったが観客を魅了する演技ができたと考えている。

●クラブ
3種目めの疲れも見せず、個人総合の時よりもスピード感溢れる演技と技術力の高さで個性を発揮した。ラストのリスクで若干乱れたが、ラストポーズまでスピードは衰えることなく松坂らしさを発揮し、銅メダルを獲得した。

●リボン
昨日に続き、全てのプログラムをほぼ正確にこなした、後半にかけてスピードアップし、またリスクや難しい投げ受けが続く内容を次々とこなし会場は大きな拍手で包まれた。堂々の演技で銅メダルを獲得した。

【喜田未来乃】
●フープ
スタートから落ち着いた演技を展開した。リスクの追加の基準やDAもクリアに決め予選よりも全体的に良い実施だった。後半に連続したDAでは、基準が不明確な実施がやや見られたが、DBの強さや大きさは予選より明確であった。予選で不安定だった最後のDAも落ち着いて決めることができていた。全体的には動きのスピードに不足やつなぎの動きでの間があることなど課題はあるが、決勝という舞台で力を出すことができ、今後に繋がる1本になったと感じる。

●ボール
序盤に実施のパンシェローテーションはだいぶ形が見えてきたが、ルルベで保ち回転数を増やしていくことが今後の改題である。後屈のジャンプターンは大きさも勢いも予選より出ていた。中盤のバランスもクリアに決まり予選よりも良い実施であった。イリュージョンでのシリーズのリスクは投げがやや前に流れたが対処して堪えることができた。予選でミスがあった最後の転がしも落ち着いてクリアした。DAについてカウントしきれない部分が見られるので改善していく必要がある。動きのスピードはだいぶ出てきたが、まだやれる部分は残されており、今後の課題である。

●リボン
動きの大きさ、スピードともに予選より良い出来だった。序盤の後屈のジャンプターンの連続も実施のたびに向上していると感じる。リスクもひとつひとつを丁寧に実施できていた。全体的にはDAのベースであるリボンの描きをもっと明確に強化していくことと、DBの入りやつなぎで見られる不要な間を改善していくことが課題である。
どの種目にも共通して言えることは、今後に向けて得点を伸ばすためには、音楽と動きの特徴を重視した表現を深めていくこととDBの誤差や四肢の緩みの改善が必要である。
しかしながら、試合を通じ演技するごとに吸収力が見られ、成長が感じられたことは大きな収穫であったと感じる。

<団体種目別決勝>
●リボン3・ボール2
心身ともに疲労はピークであったが、今大会最終種目となるリボンボール、中盤の交換においてやや乱れはあったが、総合での課題をしっかり改善し日本らしくしなやかに、そして力強く踊り切った。日本から駆けつけてくださった応援団だけではなく、他国の応援団も力強い声援を送ってくださり、会場中が選手たちを称え温かい拍手で包まれた。

リボン3・ボール2 32.20(DB 8.00 DA 9.30 A 7.90 E 7.00) 2位
【出場選手】
鈴木歩佳、竹中七海、稲木李菜子、田口久乃、生野風花

協会内の体制が大きく変わり、世界情勢的にも強化予算的にも厳しい状況において、強化を進めていくことは大変困難であったが、日本の選手たちには何が必要か、今後どのようにしていかなければならないか、スタッフとともに日々話し合い試行錯誤を繰り返してきた。
その過程において、日本のために、選手たちのために力を尽くしてくださる方々の思いや温かさに触れ、その度に幸せを感じ、この思いを無駄にしてはいけない、絶対結果で返さなければいけないと思い強化を続けてきた。この3年間で、ワールドカップにてメダルをとれるレベルに成長し、世界で評価してもらえるチームにはなったことは成果である。しかし、後一歩というところで目標には届かず、団体、個人ともにオリンピック出場権を逃す結果となったことは、重大な責任であり、その重さを痛感している。この結果を無駄にせず、必ず次に活かすためにも、今後、選手強化はもちろんのこと、組織として大きな改革が必要であると考える。

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