第14回男子新体操団体選手権レポート

報告者:日本体操協会 男子新体操委員会

大会3日目は第14回男子新体操団体選手権大会が開催された。今回はジュニアから高校生までの17チームが参加する。例年この大会には、今年のチーム力を試すために参加するチームが多い。しかし上位チームは全日本選手権参加枠を獲得するために緊張感のある一本を見せてくれる。それぞれ異なる狙いを持つチームが集う男子新体操団体選手権。今回も楽しみな演技の数々が始まる。

●以下試技順順

1 丹後ジュニア新体操クラブ
トップバッターで登場した丹後ジュニア。選手の一人がその目力をもって審判や観客を引き込む表現力に恐れ入った。
構成 2.900 実施 1.900 合計 4.800

2 BLUE KIDS
身長差があるジュニアチーム。その高低差を感じないように体目いっぱい動かして運動を行った。これからが楽しみなチームであった。
構成 5.350 実施 3.900 合計 9.250

3 清風高等学校
個人でも参加していた選手たちが団体にも出場した。全体的に身長が高い選手が多く、フロアを所狭しと動く隊形変化は好印象であった。中盤の倒立一人落下はもったいなかった。
構成 5.350 実施 4.250 合計 9.600

4 阿久比新体操クラブ
ジュニア選手らしく小さく可愛らしい印象であったが、一たび演技が始まればその印象は一変した。スピード感ある隊形変化、基礎に忠実な徒手体操、タンブリングも身の丈に合った内容で確実にこなす。倒立で一歩動いてしまったが、そののようなミスを帳消しにするぐらい勢いのある団体であった。全日本ジュニアでの活躍が楽しみだ。
構成 5.925 実施 4.400 合計 10.325

5 ベルーガすぽーつくらぶ
5人での登場となったベルーガ、個性ある振り付けが随所にちりばめられ見る者を惹きつける。ピタリと停止したバランスは見事であった。
構成 3.150 実施 1.950 減点 1.500 合計 3.600

6 光明学園相模原高等学校
華をあしらった衣装で登場した光明学園。演技冒頭に選手達が波のように左右に分かれ指先で柔らかな表現を行う。その後、全員で合わせての3バックもピタリと決める。力強い動きと柔らかい表現の調和がよい。演技中盤から少し疲れが見えたか、全体的に徒手のパラつきがもったいなかった。夏のインターハイに向けて更なる研鑽を積んで挑んでもらいたい。
構成 7.800 実施 5.750 合計 13.550

7 Synchression
緩急織り交ぜた演技を披露してくれた。近年の男子団体は一定の場所に長く留まらず、動きのある演技構成を求められる。体の小さなジュニア選手には難しい課題だが、選手たちはそれを必死に表現する。Synchressionの選手達もその課題をクリアするために様々な工夫を凝らしていた。
構成 2.850 実施 1.650 合計 4.500

8 大垣共立銀行OKB体操クラブ
選手全てが個人競技に参加していた全員が力のあるメンバー構成。序盤からグイグイと押してくる。スピード感だけではなくパワーもある。一人一人のタンブリング能力も高く、難度の高いことを余裕もって実施する。全日本選手権の出場権を本気で狙いにきた演技であった。
構成 8.500 実施 5.700 減点 0.1 合計 14.100

9 君津新体操クラブ
終始勢いのある演技であった。時折見せる「いま自分かっこいい!」と声が聞こえてきそうなポーズを決めて審判にアピールする。
終わった後に観客席に笑顔で手を振る姿に選手達のやり切った想いを感じた。
構成 3.300 実施 2.750 合計 6.050

10 高田高等学校
個人総合チャンピオン山本を有する高田高校。選手たちの半分は昨日の個人競技でも活躍していた。今大会では団体にも挑戦した。まだ全員が同じレベルで演じることは出来ていないため団体としてのまとまりは今後更に期待したいところだが、個人選手の印象が強い三重県勢から団体での参加は今後の東海地区のレベルを押し上げてくれそうだ。
構成 4.800 実施 2.650 合計 7.450

11 華舞翔新体操倶楽部
長い歴史を持つ華舞翔、これまでも沢山の優秀な選手を多数輩出してきた。その後輩たちもユースで躍動した。多数の変化を工夫した隊形変化とタンブリングを織り交ぜ3分間演じ切った。倒立でも後方ブリッジからの鹿倒立など随所に華舞翔のオリジナリティも加え見ている者を楽しませた。
構成 5.825 実施 2.150 合計 7.975

12 熊本県立芦北高等学校
重厚感ある内容であった。一人一人が徒手に重さをのせることができていた。スタートからズッシリとした印象はあるが、それでいて多彩な変化を見せ見ている者を飽きさせない。今大会でも十分に力は見せてくれたが、今後まだ伸びしろを多く残した印象であった。
構成 8.550 実施 6.650 合計 15.200

13 山梨県立甲府工業高等学校
新チームで臨んだ今大会初戦。演技の完成度はまだ発展途上といった出来ではあったが、挑戦する意思は各選手達から感じた。今後の試合に向けて今大会で得た経験をつなげてもらいたい。
構成 4.950 実施 3.050 合計 8.000

14 埼玉栄高等学校
本大会で優勝経験もある埼玉栄が見せてくれた。現代の男子新体操では動きにしなやかさが求められるが、このチームは昔からの「埼玉栄らしさ」を前面に押し出し、直線的な動きを多用しあえてその流れに逆らってくる。しかし、それは時に見やすく統一感のある演技に感じられ、心地よく受け入れることができるそんな印象のある演技であった。
構成 8.050 実施 6.100 合計 14.150

15 Leo RG
彼らはどんな選手に成長していくであろうか。まだ、未完成ではあるが個々が徒手を丁寧に練習している印象だ。手を上に挙げる姿勢の「上挙」は男子新体操の基本的な姿勢の一つ。しかし、この姿勢を演技中に全員が綺麗に作り続けることは案外難しい。彼らはそれをしっかりと表現してくれた。今後の成長を期待したい。
構成 3.900 実施 2.000 減点 0.1 合計 5.800

16 鹿児島実業高等学校
コミカルな演技で一世を風靡した鹿児島実業。昨年はそのコミカルさを捨て「真面目演技」で素晴らしい成績を残した。このユースでも昨年度のチャンピオンに輝き全日本選手権への出場権を獲得している。今大会もいわゆる「真面目演技」での挑戦だ。柔らかい動きは多用せず、随所できっちりと合わせてくる。少し実施の部分でミスはあったものの新たな鹿実の可能性を今大会でも示してくれた。
構成 7.425 実施 5.950 合計 13.375

17 BLUE TOKYO KIDS
今大会最終演技者として登場したBLUE TOKYO KIDS。一生懸命練習した自分たちの技術を精一杯出そうと懸命に演じるその姿に逞しさを感じた。彼らはこれからどんどんと成長し、いつかこの舞台で優勝を争う選手に成長すると期待したい。
構成 2.250 実施 1.000 合計 3.250

団体競技が終了した。
各チーム様々な思惑で参加した今大会であったが、最終的には徒手の重厚感を武器に終始迫力ある演技を披露した熊本県立芦北高等学校が嬉しい初優勝を勝ち取った。
この大会をステップに各チームは演技を更に洗練させ、これからの大会に挑んでもらいたい。また、今大会見事上位3位に入賞し全日本選手権への出場権を獲得したチームは下記の通りだ。

優勝  熊本県立芦北高等学校
第2位 埼玉栄高等学校
第3位 大垣共立銀行OKB体操クラブ
※以下詳しい結果は体操協会HPに掲載