新体操WCタシケント大会2023 レポート2
4月15日 レポート②
1日目はフープでのミスが響き、前半22位で折り返すことになった喜田選手だが、2種目合計55点代には多くの選手が僅差で並んでいるため、演技如何では大きく順位を上げることも、また下げる可能性もある状態であった。ティエからの連戦の疲れはあるものの、最後まで粘り強く、強い気持ちで戦い抜くことを念頭に試合に臨んだ。
1種目めのリボンは、ここ最近の試合では操作が甘く、投げもコントロール出来ず、なかなか調子の上がらない種目であったが、今出来る演技をしっかりとやり切った。リボンの描きの甘さや緩みなど、まだまだ課題は多いが、作品の世界観をしっかり表現することが出来、初めて芸術点を8点代に乗せられたことは大きな自信にも繋がった。Dではバランスのコンバイン難度の止まりが甘く12点に留まった。バランス難度は身体をしっかりと引き上げ、手具操作も明確に、説得力のある実施が必要である。
2種目めのクラブは、ターンジャンプのリスクでヒヤッとする場面はあったが、しっかりとキャッチし、多少投げが乱れても素早い判断で対応し、ミスなく演技を終えることが出来た。クラブは喜田選手の4種目の中ではカラーの違う作品であり、まだまだ自分のものになっていない印象だったが、CSから比べるとだいぶ板についてきた。今後、強い音を動きや目線で表現できるよう、難度の実施の仕方や手具操作のアクセントなど、更に磨きをかけ表現の幅を広げてもらいたい。
クラブ D 13.70 A 7.65 E 7.55 28.90
リボン D 12.00 A 8.05 E 7.50 27.55
最終的には16位と大きく順位を上げ、喜田選手の持つ可能性を見せてくれた。高身長で美しく伸びやかな動きの出来る喜田選手は、フロアーに立つと華がある。しかし大きさゆえに動きも遅くなりがちであるため、もっと筋力を強化し動きのコマ数を増やしていく必要がある。そして各種目で曲の世界観をしっかりと表現し、緩急の変化をつけていくこと、更に練習を積み重ね実施力を強化することにより、今回達成できなかった30点に到達することも遠い目標ではなくなってきている。
個人総合優勝はイタリアのSofia RAFFAELI選手。今日もクラブでの打ち返しなどオリジナリティ溢れる難易度の高い手具操作を見事にこなした。クラブではDBが9.1点と低く、インクワイアリィが提出され、10.2に変更になるという一幕もあった。2位には地元ウズベキスタンのTakhmina IKROMOVA選手が入った。ローテーション難度を得意とする選手で、回転の途中でスピードが上がっていくピボットは非常に素晴らしい。3位には4種目をノーミスでまとめたドイツのMargarita KOLOSOV選手が入った。昨日10位と出遅れた世界選手権メダリストのDarja VARFOLOMEEV選手は、昨日とは別人のように難度の精度も良く、5位まで追い上げた。
団体総合はボール&リボンのアンサンブルが行われたが、やはりこの種目はミスが多く、昨日パーフェクトな演技を行った中国も、移動や結び目などのミスが出て30点代には届かなかった。いかにこのアンサンブルの種目を制するかが試合の結果を左右する鍵になるであろう。日本も世界選手権に向け、更に投げ受けの確実性を高めていきたいところである。団体総合は中国、ドイツ、ウズベキスタンの順で幕を閉じた。