ChacottCHAMPIONSHIPS第40回全日本ジュニア新体操レポート(男子)11/19

報告者:日本体操協会 男子新体操委員会

全日本ジュニア新体操選手権大会 大会レポート2日目

勝負の2日目がスタートした。

初日は山本響士朗選手(Leo RG)が首位で折り返したが、2位丸山一休選手(大垣共立銀行OKB体操クラブ)、3位村山颯 選手(国士舘ジュニアRG)の中学2年生コンビがその背中を追いかける。また、4位の吉澤昴 選手(別府RGみやび)も3位の村山選手とわずか0.025点差。この4名の中から誰が抜け出すのか混戦必至だ。

5位以下の選手たちは上位4選手とかなりの点差があるが、上位食い込みを狙い一種目ずつ集中して演技に臨むことを期待したい。

ドラマがおきやすい個人総合2日目。目が離せない闘いが始まった!

 

【個人総合選手権】

第4位 山本響士朗 選手(Leo RG

初日首位折り返しの山本選手は本日後半の班で登場した。丸山、村山、吉澤の3選手の演技はすでに終了しているため、この山本選手の演技の出来によって総合の順位が大きく変わる緊張の演技スタートだ。クラブは今年全日本を連覇した堀孝輔選手の演技を譲り受けた。流れるような動きと手具捌き、堀選手を彷彿とさせるその演技はジュニアの枠を超えた素晴らしいパフォーマンスであった。最後まで勢い途切れることなく走りきり、会心の演技で見事ノーミス。得点も今大会最高得点の16.075に会場からどよめきが聞こえた。
優勝のかかる最終種目。2位との点差を考えても無難に通しきれれば勝てる状況にあるが、山本選手は攻めることを忘れなかった。しかし、フロアの魔物はここに潜んでいた…
中盤の投げ受けで少しキャッチミスをした際にロープに結び目ができてしまった。男子新体操のルール上、結び目ができた場合直ちに解かなければその後の演技は無価値になってしまう。しかし、山本は結び目ができた状態で演技を継続してしまったため大減点をされた。得点は10.450。ほぼ手中に収めていた優勝の2文字が手の中から抜けていき、合計57.075でメダル圏外の4位となった。

第3位 吉澤昴 選手(別府RGみやび)
 初日3位の村山選手に0.025点差の4位につけていた吉澤選手は、上位入賞を目指すために少しのミスも許されない。クラブはタキシードを模した衣装で雰囲気のあるメロディに合わせた演技の世界観に観客は引き込まれていたが、中盤の2本投げで惜しくも落下。その後は立て直し最後まで演じたが得点は14.350であった。
最終種目となったロープでは、ロープには珍しい静かなメロディの音楽を使用した。序盤の投げ受けもきれいに決まり出だし好調。ロープでは難しい背面投げも減点なしでキャッチする。前宙投げで少し乱れはあったものの最後まで集中力を切らさず演じ切った。14.750を獲得し、合計57.975で競技を終え3位入賞を果たした。

第2位 村山颯  選手(国士舘中学校/国士舘ジュニアRG)
 3位折り返しの初日ではリングで痛恨の落下場外があったが、その後のスティックで会心の演技を披露し3位に踏みとどまった。優勝を狙うためにはノーミスで後半2種目を演じ切る必要がある。
注目の演技はクラブから始まった。優しいメロディの音楽に合わせてジュニア離れした表現力を武器に、情緒豊かに演技した。途中、タンブリング着地でわずかな乱れとラストの転がし部分での戸惑いによるタイムオーバー減点は課されたものの、15.400をマークし丸山選手の背中を追いかける。
ロープではアップテンポな曲調に合わせて軽快なステップでこなしていたが、最終タンブリング前の連続投げで指先に引っ掛かり、投げが真っすぐ後ろに飛び場外。果敢に挑戦した技であったが大きなミスが出てしまう。結果、13.700と得点を伸ばせず逆転には届かなかった。しかし、3位の吉澤を0.025でかわし58.000で2位入賞を果たした。

優勝 丸山一休 選手(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
 昨日2位で折り返した丸山選手。一種目目はクラブからのスタート。ノリのよい音楽に合わせて軽快に演じていく。第一タンブリングでも2回半前宙の着地で手具操作を行うなどリスクの高い技術も確実に決める。途中の手具操作で少し手元から離れそうになりヒヤリとする場面もあったが、落ち着いてこなし15.000点を獲得した。
最終ロープでは前半から力強く攻め続ける。中盤の投げ受けでやや失速した感じはあったものの、大きなミスなく最後まで演じ切り点数を出すことの難しいロープで15.150を獲得した。4種目安定した演技で、合計60.100となり見事嬉しい初優勝を勝ち取った。

個人総合選手権は丸山一休 選手(大垣共立銀行OKB体操クラブ)の劇的な優勝で幕を閉じた。そして2位には村山颯 選手(国士舘ジュニアRG)が入り、中学2年生の1,2フィニッシュであった。

本年度は加点項目が大幅に追加され、高得点を狙うには多くの加点を獲得する必要がある。反面、リスクが高くなることによりミスが増え、実施部分で大きく減点される場合も多い。挑戦することは重要であるが、確実にやり切る実施力を身につけなければ高得点を狙うことは難しい。本大会でも高得点を狙うために構成内に無理な加点要素を入れ、ミスに繋がるケースを多く見た。

個人の試合を通じ、ジュニア世代はまず堅実な土台作りが大切であると改めて認識した。男子新体操の根幹である徒手体操を中心に、基本的な姿勢、投げ受けの確実性、手具操作、基礎的なタンブリング力などである。しかし、勝負論を重要視するあまり時にそれを見失ってしまう。男子新体操委員会としても、ルールを改善する立場として、ジュニア世代の選手達の未来を考えたルール作りも重要であると感じた。

そのような感想はあったが、個人総合を通じて前述した基礎を大切にし、今大会で活躍した選手について書きたい。

中澤陸 選手(シンドバット新体操クラブ)

中澤選手は中学1年生としては小柄な体型であるが、基本的な徒手体操を大切にしている。
そして、随所に男子新体操ならではの気持ち良い「間」と「伸び」を入れてくる選手だ。また、演技構成も決して無理な内容は入れないため、自身のできる技術を最初から最後まで余裕をもって演じ切れる。今大会も上位は中学2年、3年生が占める中で、安定した演技で4種目通しきり、見事7位入賞を果たしている。今後は次世代の選手達のお手本になれるような選手として成長してもらいたいと心から願う。成長著しい若い世代達が本大会でも素晴らしい活躍を見せてくれた個人総合の2日間であった。

明日はいよいよ団体競技。
各チーム、一年間の集大成を存分に発揮し、観客や審判に感動を与えてくれることを期待したい!

 

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