2022新体操アジア選手権(シニア・ジュニア)大会レポート1

報告者:新体操強化本部長 村田由香里

タイのパタヤで行われたアジア選手権大会は、今年でシニアは第13回、ジュニアは第18回を迎える。大会1日目まずシニアのチーム対抗、個人総合・種目別予選が行われた。日本からは喜田純鈴選手と、喜田未来乃選手が出場した。

 

◆シニアチーム対抗(個人総合・種目別予選)、団体

●喜田純鈴選手 フープ
緊張のためか、手具が手につかない場面が見られ、転がしのDAが不正確になる箇所があった。ラストも予定していたキャッチは出来なかったが、ベテランらしく大きなミスなくまとめた。
D 13.7 A 8.6 E8.35 合計30.65

●喜田未来乃選手 フープ
10日前に急遽出場の決まった喜田選手だったが、前回大会より連続ジャンプの開脚度が出て、難度のクオリティが上がった印象である。スタミナ不足か後半のジャンプ難度は大きさに欠けたが、全体的にクリアーな演技が出来ていた。
D 12.6 A 8.0 E 8.15 合計28.75

●喜田純鈴選手 ボール
フープでは手につかない場面もあったが、ボールでは動きも大きく、安定感もあり、エネルギッシュな演技を行った。
一挙手一投足が美しく、流れるような妖艶な演技で会場を魅了した
D 14.2 A 8.85 E 8.45 合計31.55

●喜田未来乃選手 ボール
演技前半の転がしのDAで大きなミスが出てしまい、その後不正確な実施や流れが止まる箇所が見受けられた。抜けた部分がありDは伸びなかったが、芸術の評価は高く、ミスが悔やまれる。今後もっと流れが出てくれば更に高得点が狙えるだろう。
D 10.9 A8.25 E 7.55 合計26.70

前半2種目を終えて喜田純鈴選手が3位、喜田未来乃選手が7位につけている。トップはウズベキスタンのIkromova Takhmina選手。後屈のターンジャンプ4連続やルルベのパンシェターン6~7回転など非常に高い身体能力を見せつけ、DAも美しく正確に実施し、フープ、ボールともトップを独走している。

●団体(フェアリージャパン POLA)
フープ5の作品を変えてから2回目となる今大会は、更に熟練度を上げ、交換や連係の基準を正確に実施すること、曲をしっかりと表現することを目標に臨んだ。
試技順5番で登場したフェアリーJAPAN POLAは美しく伸びやかな演技を見せた。後半いくつか移動が出てしまったが、大きなミスなく演技を終えた。まだ投げ受けの価値点すべてを正確に実施出来ていなかったり、難度の実施が不揃いな部分はあったが、今持てる力はすべて発揮できた演技であったように思う。
フープ D16.0 (Body8.50 App7.50) A 8.30 E7.05 計31.35

出場選手:鈴木歩佳、竹中七海、稲木李菜子、生野風花、中村知花

1位日本、2位にはウズベキスタン、3位にカザフスタンが続いている。2日目のボールとリボンのアンサンブルはどの国も苦戦している種目である。1つのミスが勝敗の行方を分けることになるため、より正確な実施が求められる。

◆ジュニア国別対抗(種目別予選) 1日目
4月に開催された日本代表選考会にて代表権を獲得した個人選手3名が国別対抗に出場した。国別対抗は、ジュニア個人総合4演技(フープ、ボール、クラブ、リボン)の合計点数にて順位が決定する。

出場選手/出場種目
馬場せせら/ボール、リボン
岡田華英/フープ
丸山莉奈/クラブ

フープ
・Usova Natalya UZB 1位
曲調に合わせた表現をすることができ、大変エネルギッシュに演技出来ている。まだまだつなぎが粗削りな部分はあるが、難度の精度、またノーミスで演技しきる強さはシニアにも負けない。
D 12.6(Body7.70 App4.90) A 8.45 E 8.55 計29.60

・岡田 華英 選手
やや緊張の面持ちで登場した岡田選手は、スタート足投げもぐりRにて落下。
動きの線がとても綺麗であり、一つ一つ丁寧に演技することが出来た。上位選手と試合のフロアで比較し、曲に合った表情、また動きや技のつなぎがぎこちなく滑らかさに欠けるように感じられた。
D 8.4(Body5.30 App3.10) A 7.30 E 7.70 計23.40  5位

ボール
・Palfilova Miliana KAZ 1位
まだ小柄であるにも関わらず、動き一つひとつが大変力強く迷いがない手具操作は実際の体格よりも大きく感じさせるものがあった。
また、種目ごとに曲に合った異なるキャラクターを演じられる表現力は彼女の魅力でもある。正確なローテーション、またリスクの組み合わせも他の選手がしていないような内容をこなしており、高得点を獲得した。
D 14.1(Body8.30 App5.80) A 8.45 E 8.35 計30.90

・馬場せせら 選手
容姿に恵まれ動きも華やかであり、フロアで大変映える馬場選手である。ノーミスで演技をやり切る力はあったものの、高得点の身体難度、R、DAを作品の中で実施することが出来ていないことから、現時点において上位に食い込むことは出来ない。
D 7.7(Body5.00 App2.70) A 7.85 E 7.85 計23.40  7位

団体総合1日目 ロープ
・日本
4月に開催された日本代表選考会にて出場権を勝ち取ったCACRGが出場。
ロープは柔らかい種目と言うこともあり大変難しい種目ではあるが、上手く対処しながら演技を繋げた。ラストの複数投げを伴うCRにて落下があったものの、練習よりも堂々と力強く演技しきることが出来た。
ロープ D 9.90(Body4.20 App5.70) A 7.20 E6.80 計23.90 3位

出場選手:初根鈴乃、中村心結、中村明里、庄司遥、田邊胡桃

1位にウズベキスタン、2位にカザフスタンという状況である。どちらのチームも体の質が良く、緩急のある演技はジュニアとは思えない力強さがあり、ジュニア強化に力を入れていることが分かる内容であった。
明日も一つ一つ正確に実施出来たチームが上位を占めることになるが、日本も全力で挑みたい。

 

アジア選手権大会情報ページ
アジアジュニア選手権大会情報ページ