第37回世界新体操選手権レポート5
現地9月19日、世界新体操選手権バクー大会4日目は個人総合予選最終日となった。
本日までのベスト3種目の合計点で上位24人が個人総合決勝に進むことになる。また国別対抗戦も同時に行われており、フープ2演技、ボール2演技、クラブ3演技、リボン3演技の10演技中、ベスト8演技の合計で国別対抗は競われる。
日本は最終種目がリボンであるが、まず喜田純鈴が登場した。
喜田は昨日と同様に落ち着いていて、投げに対する対処や動きも良かったが、ジャンプターンの際にリボンが身体に近くなり、中盤のパンシェローテーションの際には結び目ができてしまう。
しかし、リボン結びのような結び目ではなく、ごく小さな堅結びのため、喜田は結び目にまったく気づかず、最後まで演技を終えた。
現在のルールでは結び目がどんなに小さくても、結び目ができた状態ではBD(身体難度)、S(ステップ)、AD(加点対象となる手具操作)はカウントしない。R(リスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行う)のみがカウントの対象となる。
よって選手たちは結び目に気づいた時点ですぐにほどくか、ほどくのに時間がかかると判断した場合は、予備手具に差し替えて演技を続けることになるのであるが、気づかなければ対処のしようがない。
演技を終えて初めて、リボンを手繰り寄せた時に気づいたらしいが、一観客として見た印象と点数が大きくかけ離れる結果となった。
D1(BD、S)3.3
D3(AD、R)4.0
E(実施)7.200 Pタイムペナルティ0.05 計14.450
続いて大岩千未来。
昨日はクラブで落下があったが、初日と比較するとだいぶ体が楽に動けるようになっていた。
今日は昨日よりもっと動きが大きくそして冷静になっているように感じた。
大岩も後半10秒ほど結び目ができていたようだが、残りはRのみであったため、ほどかずに演技を終えた。
D1 5.3
D3 5.0
E 8.000 計18.300
日本勢最後は皆川夏穂。
昨日までの3種目を落下なしで演技し、落ち着きを見せていたが、皆川は出だしの足投げで結び目ができてしまう。
しかし皆川は喜田と同様、小さな堅結びにまったく気づかない。
途中、バランスを崩して手を床についてしまう場面があり、結び目に気がついての動揺によるものかと思われたが、ほどく気配も見せず演技を終えた。
キッス&クライで初めて結び目の存在に気づいたようである。
D1 0.0
D3 1.9
E 7.400 計9.300
D1が0点でありながら実施は7.400あるという前代未聞の点数で、リボンを演技した152人中、140位。
個人総合予選はベスト3種目の合計であるため、当然ながらリボンの得点は加算されず、114人中14位で決勝に進むことになったが、これが決勝でなくて良かったと思うばかりである。
また、バランスを崩して手を床についたのは、執着心がないと思わざるを得ない。
皆川ほどのベテランになれば、そういうミスは犯してはいけない。
これまで1日に1種目で予選を戦ってきたが、明日は1日で4種目を行うシステムであり、体力も精神力も必要となる。
どれだけ冷静になれるか、そしてどれだけの踏ん張りを見せることができるのか、に期待したい。
一方の大岩はすべての種目を終えた時点で、24人の中に入れるかどうかの瀬戸際にいた。
試技順が一番早いグループであったため、大岩を上回る可能性のある選手の演技を見守りながら順位を確認する作業が続いたが、対象選手が一番最後のグループ、一番最後の試技順であったため、すべてが終わらなければ順位が確定しない状況であった。
そして対象選手のうち、ギリシャのKELAIDITIとラトビアの POLSTJANAJAは、自分自身が個人総合決勝に残れるかどうかのラインにいることを知っていたかどうかはわからないが、次々と落下ミスを犯して、個人総合決勝への道を閉ざしてしまった。
結果、大岩は23位でなんとか個人総合決勝に進むことができた。
個人総合予選のランキングには、ロシア3選手、ベラルーシ3選手が入っており、決勝進出者は各国最大2名のため、ロシアのSELEZNEVAとベラルーシのHARNASKOが予選落ちの形となった。
HARNASKOは皆川より下位のため、ロシア1選手分繰上り、実質13位。
大岩は2名分繰上り、実質21位。
個人総合予選、24番目のイスを手に入れたのはウズベキスタンの FETISOVA。
25番目で惜しくも決勝に進めなかったのは韓国のKIM。
その差は0.05であった。
明日は個人総合決勝が行われるが、1位~12位グループと13位~24位グループに分かれて、13位~24位グループが先に4種目を終える。
皆川、大岩とも先に演技するグループのため、皆川はこのグループでの1位をめざさなければならない。
オリンピックの切符を2枠とるためには、16位以内に2名であるが、これはなかなか厳しい状況である。しかし、結果は誰にもわからない。
とにかく自分の持てる力を存分に発揮することに集中しよう。
*国別対抗戦は10演技中ベスト8演技の合計点で競われる。
日本はリボンの喜田、皆川の得点がカットされた。
喜田は2種目しか行っていないため、個人総合ランキングの対象ではないが、国別対抗戦ではクラブの得点が生き、
日本は8位となった。