第1回世界ジュニア新体操選手権2日目報告2
第1回世界ジュニア選手権2日目は、個人種目別予選クラブ・リボン、団体は団体総合後半、チームランキングが行われた。
昨日ミスが出てロープ、ボールとも思い通りの演技ができなかった喜田未来乃であるが、今日は動きの硬さが消え、伸びやかに演技した。投げに対する反応も良く、リボンでは落下してもおかしくない箇所もあったが、よく踏ん張った。
クラブ
D難度点 8.300(D1 3.9 / D3 4.4 )E実施点 7.600(EA -0.9 / ET -1.500)計 15.900
*D1はBD(身体難度)とS(ステップ)
*D3はAD(加点対象となる手具操作)とRリスク(手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行う)
*EA(実施の中の芸術点の減点)
*ET(実施の中の技術点の減点)
リボン
D 8.400( 4.4 / 4.0)E 7.200( -1.1 / -1.700) 計15.600
各種目61名が参加する中、喜田はリボン8位で種目別決勝進出を決めた。
アジアジュニア選手権では日本から4名の個人選手が出場し、喜田はリボンの演技を行った。
しかし、リボンの結び目に気が付かず、結局出場した選手の中でただ一人、種目別決勝に進むことができなかった。
今回はその雪辱を晴らし、世界ジュニアという舞台で見事なファイナル進出である。
クラブの予選1位は、ロシアのKRAMARENKO。
今日もローテーションを確実に決め、MGキックのローテーションでも、動脚のブレがまったくない、質の高いBD(身体難度)を見せた。
D12.400 (D1 6.4 / D3 6.0)E 9.150( -0.3 / -0.550)計 21.550
D1の6.4はシニアのトップ選手Averina姉妹より上である。股関節や腰の柔軟性が高いが、ただ柔らかいだけではなく、その柔らかさをコントロールする力がある。
パンシェのローテーションの入りより、3周目あたりから、グングンと加速していく感じで、柔軟性、パワー、調整力を兼ね備えた選手である。
その上、手具感覚も良いので、シニアになればすぐにオリンピックロシア代表候補ナンバーワンに躍り出る可能性もある。
アリーナ・カバエバのようなアピール性もあるため、間を置かずして新体操界のスターになるに違いない。
リボンの予選1位はロシアの SERGAEVA Dariia。
投げの前に、スティックを離したところで落下してしまったが、BDの精度も良く、なんといってもリボンの張りが素晴らしかった。
D 9.900 (4.7 / 5.2)E 8.350( -0.5 / -1.150)計 18.250
ロシアは個人には3人が出場しているが、それぞれにカラーは違うものの、基本はしっかりとしているという理想的な状況である。
いまのシニア選手に取って代われる人材が山ほどいるという感じである。
他の国も、BDやAD、どれをとってもさほどシニアと変わりはない。むしろ、体のラインがきれいな分クリアに見える。
途中からルールが変更して手具操作をふんだんに入れ込まなければならなくなった時代の選手たちと、最初からそのルールで練習してきた時代の選手たちの違いを見たような気がした。
<団体総合後半>
日本(選抜団体チーム)の後半種目はリボン。
アジアジュニア選手権の時は、総合、種目別どちらも落下ミスがあり、試合で落下ミスなく演技できたことはなかったが、今日は踏ん張った。
移動キャッチがありながらも落下ミスを回避し、今年1月に作品に取り組み始めてから半年の集大成として、なんとか形にできたと言えよう。
D 10.100(D1 4.2 / D3 5.9)E 6.325( -1.0 / -2.675) 16.425
*D1はBD(身体難度)S(ステップ)
*D3はAD(加点対象となる手具操作)とRリスク(手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行う)
リボンは10位。リザーブ2という位置であった。
出場選手
加藤羽乃
馬場さくら
中村知花
白川愛侑子
白石愛実
フープは昨日は9位であったが、今日はもう半分のチームがフープを行い、次々と高得点を出したことにより、総合では33チーム中15位。
個人と団体の得点を足して競うチームランキングは17位。
団体総合1位はロシア。
リボンでは投げが不安定になることと手以外の操作が難しいものだが、それをものともせず、足投げや複数投げを連発。
D 14.100( 5.9 / 8.2)E 8.550( -0.4 / -1.050)計 22.650
昨日と同様、ミスを恐れず、果敢に攻めているような沸き立つような演技であった。
総合2位はイタリア。
どちらの種目も大きなミスはなく、フープ25.000、リボンで20.100を獲得した。
総合3位はベラルーシ。
フープはミスなく25.100
リボンでは交換での落下やフェッテバランスの際に結び目をほどくミスなどが出たが、それでも18.000を獲得。
4位イスラエル
5位スペイン
6位ハンガリー
7位リトアニア
8位アゼルバイジャン
9位ドイツ
10位ギリシャ
11位ポーランド
12位ブルガリア
13位フィンランド
14位エストニア
15位日本
16位ウクライナ
17位ウズベキスタン
18位カザフスタン
19位USA
20位ジョージア
21位カナダ
22位オーストリア
23位ノルウェー
24位ルーマニア
25位エジプト
26位マレーシア
27位スロバキア
28位ブラジル
29位モルドバ
30位オーストラリア
31位アルメニア
32位モンゴル
33位シンガポール
ブルガリアはリボンでは結び目ができたのか予備手具に差し替え。
フープは出だしの連係で落下、場外して差し替え。
ウクライナもフープでは3度の落下ミス。リボンでも結び目を作り、落下ミスもあった。
シニアで上位にいる国がジュニアでもメダルを獲得したが、ハンガリーやリトアニアなど、シニアではあまり上位にこない国がベスト8にランクイン。
ジュニアからシニアへの移行はそれほど簡単ではないが、仮にそのままこの選手たちがシニアに上がっていったとしたら、勢力図も変化していくだろう。
日本ではジュニアの育成がまだ始まったばかりであるが、シニアも10年以上をかけて上位に食い込めるようにしていったように、少々スピードアップしながらも時間をかけて育成体勢を整えていく必要があるだろう。
明日は種目別決勝が行われ、喜田未来乃がリボンに出場する。