新体操W杯バクー大会2019レポート2

報告者:山﨑浩子

4月27日、W杯バクー大会2日目は団体総合後半と個人総合後半が行われた。

<団体総合後半>
上位陣で先に登場したのはブルガリア。
昨日は大きなミスはなかったが得点が伸びず、前半を5位で折り返したが、今日も落下ミスなく、迫力のある演技を繰り広げた。
25.300と高得点が出て、前日の23.550と合わせて、48.850。

次にロシア。
ロシアは昨日、26.050。2位の日本とは1点以上の開きがあり、金メダル獲得は楽勝かと思われた。
しかし、連係でフープが場外し、フロアー外まで出てフープを取り戻すと、ほかにも大きな移動キャッチが出て、
D1 (ED交換、Sステップ)5.300
D3 (連係、Rリスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行ってキャッチ)11.600
E 実施 6.600 場外ペナルティ0.6
計22.900 2種目合計48.950
ブルガリアをわずかにかわして1位をキープ。

イタリアは昨日、落下して場外、予備手具に差し替えるなど、大きなミスがあり21.650。
今日は落下なしで演技したが、
D1 5.800
D3 10.000
E 7.900 計23.700とさほど得点が伸びなかった。
2種目合計は45.350。

そして日本(フェアリージャパンPOLA)が登場。
昨日は落下なしで演技して、ロシアに次いで2位に位置していたが、今日も落下なしで踏ん張った。
W杯ソフィア大会後、1週間の間で2種目ともD3を約1点上げたため、少々バタついた感じはある。
山口コーチによると、試合前に自分たちが思っている以上に緊張が見られ、動きがのろくなっていたため、インナコーチの指示により、ラストの複数投げはやらないことに決めていたようだ。
D3を1点上げるということは、動きの間を詰めたり、1人が転回していたところを二人にしたり、複数投げを増やしたりと、かなりの労力が必要である。
それを1週間でやりきるには少々準備不足だっただろう。
それでもしっかりと対応して落下なしで演技を終えたことは、評価に値する。
D1 5.900
D3 10.500
E 7.950 計24.350
フープ&クラブでも24点台に乗せ、2種目合計49.250は今季の日本チーム最高得点となる。
そしてこの時点でロシアを抜いて、日本がトップに立った。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
横田葵子

昨日日本と僅差だったのはベラルーシ(0.4差)とウクライナ(0.85差)。
特にウクライナはフープ&クラブの構成に定評があり、25点台もとっていることから、ひっくり返される可能性もある。

そのウクライナは、全体的に移動キャッチが多く、少しバタバタとした印象であった。
D1 5.900
D3 10.600
E 7.400 計23.900  2種目合計47.950
日本は1位をキープ。

ベラルーシは、出だしから重厚感のある演技で、入りは非常に良かった。
しかし、曲調が変わってから少しばらつきが見られ、落下やパンシェローテーションのくずれなどがあった。
D1 5.500
D3 10.600
E  7.250 計23.350  2種目合計47.850

結果、日本は両種目とも2位ながら、団体総合において今季初の金メダルを手にした。
今日は、悪いなりにも高いレベルでまとめることができており、大崩れしない強さでのメダル獲得である。

1位日本
2位ロシア
3位ブルガリア
4位ウクライナ
5位ベラルーシ
6位イタリア
7位中国
8位フィンランド
9位イスラエル
10位メキシコ

しかし、9位のイスラエルぐらいまでは、さほどの力の差はないと思われ、いかに組み込まれている構成をやりきることができるかどうかである。
日本はD3スコアを上げたことで、両種目とも24点台に乗せることができた。あと少し構成をいじり、正確にこなすことで25点台も見えてくるだろう。
個人競技と同様に、どの国にもメダル獲得のチャンスはあり、どの国も入賞を逃す危険性があると言えよう。

<個人総合後半>
皆川夏穂はリボンの種目では、AD(加点対象となる手具操作)の背面キャッチで不正確なキャッチとなり、リボンがたるんでしまった。
が、なんとか落下は回避し、踏ん張った。
D1(BD身体難度、S)4.500
D3(AD、R)5.500
E 8.200 計18.200  種目別リザーブ1

しかしクラブでは2本投げのADで不正確なキャッチになると、続くMGキックのローテーションが乱れ、リズムが狂った。
投げが幾度も乱れ、クラブキャッチでは、クラブがこぼれる。
投げへの対応に追われる印象で
D1 4.400
D3 5.800
E  6.950 計17.150

大岩千未来は、前回大会は後半種目まで集中力が持たなかったが、今回はその反省を生かし、2種目とも良く踏ん張った。
リボンがスティック側にひっかかり、危ういところがあったが、良く対処し伸びやかに演技した。
D1 4.900
D3 5.200
E  7.650 計17.750

クラブは上体を反らしてのジャンプターンの連続で、2回目が反り切れなかったが、スピード感のある演技であった。
得意のローテーションの回転数がもう少しほしいところであったが、まずまずの出来であろう。
D1 4.900
D3 6.000
E  7.500 計18.400
4種目合計で73.700で、大岩は健闘の12位。

皆川は72.600で16位。W杯タシケント大会の前から体調を崩していたようであるが、しっかりと自己管理し、世界選手権に照準を合わせて、技術的には投げの精度を上げていってほしい。実施は高く評価されているので、安定感さえ出てくれば入賞の可能性も見えてくる。

1位はロシアのDina Averina。
2位は同じくロシアのArina Averina。
DinaもArinaも落下ミスはあるが、数多くのADを入れ込んでいるため、残る点数は高い。
3位にはウクライナのNIKOLCHNKOが入った。

前日2位のイスラエルのASHRAMは、クラブでは3度ほど落下し、リボンでも結び目ができて予備手具に差し替えるなど大きなミスが出て6位に後退した。
前日8位のベラルーシのHALKINAは両種目ともミスがなく、4位まで順位を上げた。
今回はミスが多かったUSAのZENG、今大会は出場していないUSAのGRISKENAS、ジョージアのPAZHAVAとまだまだ有力選手は多い。
今後も、団体、個人ともに厳しい上位争いが続いていく。

明日は種目別決勝が行われ、日本は団体の2種目に出場する。