第31回世界新体操選手権モンペリエ大会現地レポート7
第31回世界新体操選手権モンペリエ大会最終日は、団体種目別ファイナルが行われた。日本からはフェアリージャパンPOLAが2種目に出場。
昨日の団体総合で5位入賞し、ロンドンオリンピックへの切符を獲得したが、その余韻に浸る間もなく、新たな戦いに臨んだ。
種目別ファイナル<ボール>
試技順一番はベラルーシ。パンシェターンでぐらつき、動きもばらついた。いつものベラルーシなら、回転のきっかけから終わりまでビタッと合わせるのが特徴であるが、今大会は不揃いな場面が目立つ。そうこうするうちに、小さな落下。交換でも落下し、その後の交換でも落下。キャッチの移動も多かった。それでも、実施は8.750で26.775。
次のドイツは落下ミスはなかったがパンシェターンやジャンプの精度が悪い。ボールの両手取りも多く、26.500。
そして昨日の団体総合で優勝したイタリア。ドラマチックな曲に乗せ、次々と技を見せていくが、コラボレーションで落下。フェッテピボットでも飛んでしまう。27.000。
そのイタリアのライバルのロシア。団体総合では2種目にミスが出て2位に甘んじただけに、ここは金メダルをとっておきたいところ。最初の交換では投げが乱れて、座でのキャッチができなかったり、昨日ミスを犯したところは、足ではなく手でキャッチしたりと細かいミスはあったが、全体的には大きなミスがなく28.000。
ボールの種目で1番のエネルギーを出したのはスペイン。ほぼミスもなく、リスクもスピード感があり、ビシビシと技を決めていく。会場のボルテージも上がり、最高の出来を見せたが、得点は思うように伸びず26.525。
続いて日本。昨日は最初の交換が短くなり、ミスが出たが、今日の演技は落ち着いていた。ラストの交換もさほど移動せず、ほぼミスのない演技で26.575。しかし、数度落下したベラルーシの実施の得点が8.750で、ほぼミスのなかったスペインが8.750、日本が8.700。この差はどこにあるのだろうと、考えさせられた。
ブルガリアはアチチュードピボットで崩れ、また両手取りも多く、26.950。
ボールだけ出場したフランスは、声援に後押しされながら、優雅に舞った。ていねいにていねいに演技をしていく。が、ラスト間際に投げが乱れて、大きく移動。ボールを上から押さえつけて手元から離れるのは防いだが、ミスとなり、26.000。
順位は
1位ロシア
2位イタリア
3位ブルガリア
4位ベラルーシ
5位日本
6位スペイン
7位ドイツ
8位フランス
ロシアがやっと金メダルを手にし、日本も4強に次ぐポジションを獲得した。
種目別ファイナル<フープ&リボン>
試技順一番はボールの表彰式を終えたばかりのロシア。きっとほとんど練習することができないまま、本番を迎えることになったであろうが、前半は団体総合の時より勢いもあり、着実に技を進めていった。しかし、いつの間にかリボンに結び目ができて、次々と技が入っているために、なかなか結び目をほどくことができない。このままでいくと、大きなミスになるのではないかと思った矢先、フープにリボン3本をひっかけて、足でフープとリボン3本を投げ上げる大技で、結び目ができたリボンの重みによりリボンが引っ張られて3本が同時に落下。ぐしゃっと3本のリボンが寄ったところで、お互いにリボンを分けたが、2本のリボン同士がからみ、ほどくのに時間がかかっている。その間に難度が入っているが、3人が難度をやったとしても、2人がリボンをほどくために難度をやっていないので、その難度の加算点はゼロになる。やっとほどいて修復にかかったが、交換でフープの投げが大きくなり、キャッチしたときに足が場外。後半乱れて25.000と、信じられないぐらい低い点数となってしまった。団体総合の時にベラルーシが大きなミスをして種目別ファイナルリボン&フープには出場していないため、ロシアがミスしたとなると、どの国にもメダルの可能性が出てくる。
続くイタリアもラストのコラボレーションで、リボンの投げが短くなり、空中でリボンが接触。2本のリボンを落下してしまった。勢いはあったが最後に大きなミスが出て26.725。日本が追いつけない点数でもなく、がぜんメダルへの期待が高まってくる。
次はスイス。キャッチで不正確なところがあったが、勢いはある。総合、種目別を通じて躊躇が感じられず、スイスの伸びが感じられた。25.850
ドイツはやはり結び目ができ、投げが短くなる。そのためリボンが落下し、ほかにもドゥバンのフェッテピボットの前脚が下がるなどのミスが出て25.575。
イスラエルはアチチュードピボットで崩れ、パンシェターンの開きがないなど、難度面はとりづらかったが、大きなミスはなく26.675。
そして日本。最初の交換でリボンが短くなったが、必死で追いかけキャッチ。その後はすぐにペースを戻し、昨日よりずっとハツラツとした演技を見せた。しかし、後半の座投げでリボンが早すぎて落下。すぐに取り戻したが、ラスト近くのミックスの難度で落下。投げは悪くなかったが目をフープから早く離しすぎて、フープが場外に。直後の交換ができずにしまりのないラストになってしまった。24.500。
中国は最初からフープとリボンが絡み、なかなかとけない。ジャンプの難度時も、リボンが身体にからみ、不正確な受けや、フェッテピボットがまったく合わないなど、リズムかつかめない。ラストは曲にも合わず、23.625。
最後に登場したブルガリアはミスのない演技であった。中盤の投げ上げたフープを足回しし、そのまま投げ上げるなどの見せ場も成功し、27.400。
順位は
1位ブルガリア
2位イタリア
3位イスラエル
4位スイス
5位ドイツ
6位ロシア
7位日本
8位中国
となった。
4位以下は25点台、24点台、23点台と非常に低調な試合となってしまったが、それほどリボンの扱いの難しさを感じさせてくれる試合でもあった。
日本にとっても非常に大きなメダルへのチャンスであったが、ミスしては仕方がない。メダルを取るにはまだまだ練習が必要、という教訓とし、本番で力を出し切る強さを身につけていかなければならないだろう。
だがしかし、日本の存在は各国に周知されることとなった。「美しいチーム」、「すばらしいチーム」という評価が定着し、いつでも上位にいる存在になってきた。階段を一歩一歩上がり、メダルを狙っていくことも夢物語ではなくなってきた。かといってメダルがすぐそこかというとまだまだ遠いが、今後はより難度に磨きをかけ、大きさやパワーも会得して、オリンピックに向かっていきたい。
*最後に世界選手権出場に際して、ご支援いただいたみなさまに感謝申し上げます。ありがとうございました。10月は体操の世界選手権が東京で開催されます。引き続き、応援よろしくお願いいたします。