第70回全日本新体操選手権大会(女子レポート)2

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10/28女子個人総合 後半2種目(クラブ・リボン)、団体総合 ロープ2&ボール3
●個人総合
優勝は立澤孝菜選手(イオン/国士舘大学)初優勝。得点63.000
今年は全日本学生選手権、全日本クラブ選手権も優勝し着実に実力を発揮してきた。今シーズン最後の試合でもあるこの全日本選手権大会でも見事に栄冠を手にした。2日間、4種目を通して安定した演技を披露した。クラブでは演技中盤の二本投げリスクが上に上がったが落ち着いて処理し大きなミスには繋がらなかった。しかし、その後のジャンプターン投げからのリスクで落下。4種目を通して唯一落下ミスが生じてしまった。D7.600 E7.750 得点15.350。
リボンは演技冒頭のリスクを成功させ軽快な音楽に乗せて演技が次々と展開される。ほぼプログラム通りの演技を丁寧に確実に演じた。演技終末の難易度の高いリスクの背面受けを成功させ会場から歓声が沸いた。D7.300 E8.300 得点15.600。
2位は柴山瑠莉子選手(イオン)。得点60.200
手具操作がとても丁寧で、どの種目も手具を非常に遠くで扱う。1つ1つの技の実施がとてもクリアで明確であり、演技には随所にADが取り入れられている。基本に忠実に運動が行われているので、演技の繋ぎがスムースで技の羅列には決して見えない。クラブでは演技後半にミスが生じてしまったが、難度要素はしっかりと確実に実施した。D7.300 E7.800 得点15.100。
リボンではクラブのミスを挽回。1つ1つ丁寧にプログラム通りの演技を行う。ローテーション難度の軸がきちんと取れていて美しい実施であった。リボンの軌跡も良く描かれていた。D6.700 E8.050 得点14.750。
3位には昨年の覇者河崎羽珠愛選手(イオン/早稲田大学)がつけた。得点58.800
4種目を通して、動きの大きさを感じた。音楽と動きの一致は昨年より進化している。表現力に磨きがかかりそれぞれの演技に熟練度を感じた。全てがプログラム通りの実施ではなかったのであろうが、体と手具のリズムが少し崩れても、大きなミスに繋げない瞬時の判断が素晴らしいと感じた。
リボンでは軽快な音楽に乗せて、スピードに負ける事無くしっかりとリボンが描かれていた。バランス難度が若干流れてしまうが1つ1つの技を丁寧に行っていた。しかし、演技終盤のADでミスが生じた。D5.900 E7.750 得点13.650。
クラブはジャンプターンで投げるリスクが上にあがってしまったがそのままキャッチ。ADを随所に取り入れ、音楽に乗せて表現力豊かに演じる。演技終末のリスクをタイミングよくキャッチし会場が沸いた。D6.800  E7.850 得点14.650。
2日間の演技を通して、身体難度要素のレベルは高くなっていると感じた。徒手難度のフォームが明確であっても、手具の操作が一定の基準を満たしていなければ身体難度は評価に値しない。Dスコアを確実に得るために、手具操作を確実に行う事が改めて重要であると感じた。またリスクやADの実施も同様に更なる熟練度が必要であろう。
個人総合上位15位までの選手がアジア競技大会1次予選通過選手である。(アジア競技大会/インドネシアジャカルタ/8月開催)2018年4月に開催される予選に向けて更にレベルアップした演技を期待したい。
明日は各種目上位8名による種目別決勝が行われる。
●団体総合
見事総合優勝の栄冠に輝いたのは日本女子体育大学であった。得点33.550
昨日のフープ5の演技に引き続き会場を沸かせる会心の出来栄えであった。
フープと比較するとどのチームもDスコアでは加点が得にくく、Eスコアでは手具の特性上減点個所が多くなってしまう。
それでもDスコアは9.200と高得点を叩き出した。コラボレーションリスクの実施がとても明確で確実に得点を重ねる。5名の選手の団体同時性と動きの繋ぎの良さを感じる演技であった。ほぼプログラム通りに演技を行い演技終末の複数投げコラボレーションリスクを成功させた瞬間会場から大きな歓声があがった。2種目ともにミスなく纏め上げた。D9.200 E7.350 得点16.550
2位につけたのは国士舘大学。得点32.600
昨日に引き続きほぼプログラム通りの演技を演じる。コラボレーションリスクや交換の難度はほぼ移動なく行う。音楽に合ったダンスステップコンビネーションや動きの繋ぎで観客を魅了した。バランス難度でややばらついたが大きな減点には繋がらない程度。ローテーション難度、バランス難度の踵の位置や重心の位置が高く、フォームが明確であった。
ロープがしっかりと動いており、ボールも体の遠くで扱われていた。D9.000 E7.000 得点16.000
続いて、東京女子体育大学と日本体育大学が同点3位であった。得点29.150
東京女子体育大学は昨日9位からの巻き返しの3位。メリハリのある、力強い動きで気迫を感じた。また、1つ1つの投げ技を丁寧に行い、選手の息が合った演技を演じた。冒頭のコラボレーションリスクを成功させ次々と技が展開する。徒手難度の精度がさらに上がればDスコア、Eスコア共に伸びるであろう。D7.500 E6.650 得点14.150
日本体育大学も昨日7位からの巻き返しであった。両種目ともに、伸びやかで大きさを感じる演技であった。1つ1つを丁寧にこなし、音楽とマッチした演技構成であった。難度の精度がさらに上がると得点が伸びるであろう。演技終末のコラボレーションリスクを成功させ大きな拍手と共に演技が終わる。D7.700 E6.050 得点13.750
惜しくも0.05の僅差で5位につけたのは金蘭会高等学校/すみれRG 得点29.100
リスキーな演技構成には定評があり、とにかく手具の投げ受けがスリリングである。投げ受けが成功するたびに会場から歓声があがった。
明日は各種目上位8チームによる種目別決勝が行われる。