【レポート】SASAKICUP第15回全日本新体操ユース(女子)
大会3日目は個人総合決勝、クラブ・リボンの競技が行われた(予選通過者40名)。
今大会を制したのは柴山瑠莉子選手(イオン)、初優勝であった。
演技の正確な実施には定評があり、今大会でも柴山選手の持ち味を十分に披露した。
しかし、決勝では少し動きに硬さが目立った。リボンの演技では演技序盤のリスク(R)は成立したものの受けで少しもたつく。続いてのバランス難度は美しく軸がしっかりと取れていたがその後、持っているステックをはなしてしまい落下。すぐに取り戻したので最小限の落下ミスで抑えられた。その後はミスを引きずる事無く演技を終える。得点14.200。
クラブの演技では、何が起こったのかと思うほど、最近の柴山選手の試合では見たことがないミスが起きた。演技冒頭のADを成功させバランスも美しく正確に魅せる。アチチュードからトーノーのローテーション難度は見事であった。その後ADで落下があり、演技終盤のリスクで落下し手具なしでの演技終了となった。得点13.550。
予選種目ではフープで16.050、ボールでは15.250を叩き出している。決勝ではミスがあったものの、正確な実施に加えて熟練されつつある演技の評価は高い。落下ミスがあったとしても演技構成が10点以上のプログラムで構成されていればD得点は高得点が獲得できる。
先月行われた第9回アジア新体操選手権大会に代表として選考されている柴山選手。世界で戦う為に難易度の高い手具操作で演技がプログラムされている。今大会の経験をいかしアジア新体操選手権大会では是非柴山選手の持ち味をいかした完璧な演技を披露して欲しい。
2位につけたのは大岩千未来選手(イオン)であった。今シーズン急成長を遂げている強化選手の1人である。ルルベの踵の位置が高く1歩1歩の足運びが美しい。また、関節可動域が広く難度要素のみならず動きの美しいラインは目を引く。シニアになり表現力にも磨きがかかってきた。
今日は多くの選手達が苦戦していたリボン。大岩選手も演技前半に落下ミスがあった。パンシェローテーション難度で少し軸が崩れる。ミスを最小限にとどめ演技後半は大きなミスなく纏めた。バックルバランスローテーション難度が非常に美しく実施されていた。得点13.850。
クラブではタンゴのリズムに乗って表現力豊かに演じる。演技冒頭のADとリスクを次々と成功させる。しかし続いてのジャンプ難度がうまく踏み切れず難度が不成立。その後もADで落下ミスが生じた。その後はミスを引きずる事無く1つ1つ丁寧にプログラム通りの演技を終えた。リボン同様にローテーション難度の実施が非常に美しい出来栄えであった。得点14.500。
3位は五十嵐遥菜選手(NOVA新体操クラブ/常磐大高校)であった。4種目を通して大きなミスなく纏め上げたのは見事である。
リボンの演技は情感豊かにダンスステップからスタート。身体難度要素を丁寧にこなしていく。リスクの投げがやや乱れたが全て対処する。大きな落下ミスなく演技を終える。リスクの投げが真上に上がることで回転数がプログラム通りに行えなかったことなどが得点に影響したのであろう。得点12.250。
クラブは会心の出来栄えであった。演技冒頭のADを成功させ演技は波に乗る。身体難度、リスク、ADと次々とプログラム通りに演技が展開される。クラブの投げが大きくてヒヤッとする場面もあったが、対処がはやく熟練された演技を披露した。
クラブでは最高得点の14.650を叩き出した。
今大会上位15名が10月27日から千葉ポートアリーナで開催される全日本選手権大会に駒を進める。
高得点を獲得することは競技として最重要であるが、動きの美しさを競い、手具の特性をいかした巧みな操作を競う新体操の神髄が失われない事を願う。