第67回全日本新体操選手権大会女子レポート⑥(個人種目別)
大会最終日は個人種目別決勝競技と団体種目別決勝競技が行われた。
個人総合の結果より各種目上位8名で競われる、(各所属より上位3名まで)
フープ
優勝者は昨日の個人総合優勝者河崎羽珠愛選手であった。演技冒頭のダイナミックなDERを成功。難度を行う際の手具操作が工夫されており、流れが途切れる事無く次々と演技が展開された。投げ技に大きさがあり、随所にマステリーが取入れられフープが体の一部のように扱われていた。得点15.600
2位は猪又涼子選手。今大会絶好調の猪又選手、スピード感のある動きの中基本に忠実な難度要素の実施は無駄がなくとてもクリアであった。回転軸がしっかりと取れているのでローテーション難度は非常に美しい実施であった。DERの受け方に工夫が見られ、個人総合では見られなかった最後の大技も成功させ会場が沸いた。得点14.800
3位は三上真穂選手。試技純1番で登場した三上選手は落ち着いた様子で1つ1つの動きを丁寧にこなしていた。ローテーション難度の終末、ややバランスを崩したが最後まで大きなミスなく演技を纏めた。得点14.750
4位古井里奈選手、5位山口留奈選手、6位喜多純鈴選手、7位立澤孝菜選手、8位桑村美里選手。
ボール
1位はボールの最終演技者であった河崎羽珠愛選手。基本に忠実なボール操作に加え、動きの流れが良く伸びやかな演技であった。フープ同様に、ボールの特性を活かした演技プログラムであり、随所にマステリーが組み込まれていた。バランス難度でやや終末が乱れたが最後まで大きなミスなく演技を纏めた。得点15.350
2位は古井里奈選手。伸びやかな動きで観客を魅了した。ローテーション難度のスピード感や伸びやかなジャンプ難度、そして思い切りの良さは見ていて気持ちがいい。ダンスステップコンビネーション中の表現力も個性的である。大きなミスなく纏め得点14.550。
3位は宮本望来選手、藤岡里沙乃選手、猪又涼子選手の3選手が同点となった。
宮本選手は巧みなボールの操作と丁寧で美しい転がしが印象的であり、藤岡選手は表現力豊かな演技で音楽にあった演技プログラムであった。猪又選手はスピード感ある演技の中に随所にマステリーを成功させた。
6位池ヶ谷晴香選手、7位桑村美里選手、8位山口留奈選手。
クラブ
種目別クラブを制したのは河崎羽珠愛選手であった。フープ、ボール、クラブと種目別3冠である。軽快な音楽に乗って前半2種目とはまた違う河崎選手の魅力を演じた。マステリーでひやっとする場面もあったが大きなミスなく演技を纏める。難度要素の精度が高く実施が明確であった。得点15.450
2位は山口留奈選手。動きに大きさと強さを感じるダンスステップコンビネーションから演技がスタートする。
巧みな手具さばきは流石ベテランである。随所にマステリーと取り入れ、演技の流れもスムースであった。週末の技も成功させ会場を沸かせた。得点14.350
3位は桑村美里選手。スピーディーで切れのある動きに定評があり、13m四方のフロアが狭く感じるほどであった。パンシェのローテーション難度はスピードに乗りいい出来栄えであったが、DERの投げが乱れるも大きな減点には繋がらない程度であった。得点14.000
4位五十嵐遥菜選手、5位猪又涼子選手、6位古井里奈選手、7位立澤孝菜選手と藤岡里沙乃選手。
リボン
最終種目リボンの優勝者は喜田純鈴選手。冒頭のマステリーを成功させローテーション難度では群を抜いた切れのいい回転速度で会場が一気に沸いた。難度要素とマステリーを組み合わせた複雑な演技プログラムを次々とこなし、ジュニア選手とは思えない堂々とした豊かな表現力は圧倒されるほどであった。手先足先まで神経の行き届いた演技と巧みな手具操作は彼女が地道に積み重ねてきた宝である。DERが1か所コントロールできなかったが大きな減点には繋がらず得点14.950。
2位は三上真穂選手。動きの大きさと思いっきりの良さを感じる演技であった。ローテーション難度の軸がしっかりと取れていて、明確に実施されていた。リボンの操作が巧みで、力強く動いていた。最後まで大きなミスなく演技を纏め得点14.600。
3位は猪又涼子選手。スピード感のある動きの中、ローテーション難度が非常に正確に実施されていた。今大会では個人総合3位に輝き、種目別決勝は4種目ともに出場。最終種目まで大きなミスなく演技を纏めた集中力は日頃のトレーニングの賜物であろう。今後の活躍と成長に期待したい。得点14.500
4位は今大会で引退を表明した山口選手。最終演技者として登場し冒頭のマステリーを成功させ、ヴォーカル入りの音楽に合わせて演技が始まる。会場が一体となり山口選手を温かく見守るような印象を受けた。大きなミスなく演技を纏め得点14.350。
5位柴山瑠莉子選手、6位立澤孝菜選手、7位成松エリナ選手、8位古井里奈選手。
今大会で世界選手権大会日本代表第一次通過者(個人総合第1位から6位)、ユニバーシアード大会日本代表第一次通過者(個人総合10位までの該当者)・通過チームが決定した。
世界を視野に入れDスコアを確実に伸ばしていくことに挑戦し、来年の予選までにそれぞれの選手、チームが更にステップアップしている演技に期待したい。