第67回全日本新体操選手権女子レポート①(個人前半)
第67回全日本選手権大会が代々木第一体育館で幕を開いた。
大会初日は個人総合フープ・ボール前半2種目と団体総合クラブ10が行われた。
個人前半2種目で首位に立ったのは、今年のユースチャンピオンシップおよびインターハイの覇者、河崎羽珠愛選手である。今年度はアジア競技大会にも出場し急成長を遂げている。
持ち前の手足の長さを活かした演技で、ボールでは前半種目を終えて唯一の15点台に乗せた。申告されている難度要素が明確に見え、難度の精度が高い。且つ手具操作が基本に忠実に行われている。今シーズンは音楽の特性を活かした表現力にも磨きがかかってきた。更に上体の動きに大きさが加わると動きの幅が広がるであろう。
フープでは繊細なリズム変化の音楽に合わせて動きに緩急が感じられた。投げ技が非常にダイナミックで手具操作にも工夫が見られ、見応えがある演技であった。マステリーで少しもたついた箇所があったが大きなミスなく演技を纏める。フープ得点14.500、ボール得点15.100、合計29.700。
2位につけたのは、昨年の全日本選手権覇者山口留奈選手である。今シーズンは怪我に悩まされ欠場が続いていたが、それを克服しての参加となった。2種目の演技を通してベテランの強さを感じた。フープでは冒頭のDERを成功させ山口選手の世界観が広がる演技が展開される。徒手難度では終末動作にややぐらつきが見られたが大きなミスもなくうまく纏めた。ボールでは出だしやや硬さが見られたが、ベテランの強さと調整力で大きなミスには繋がらなかった。しかし後半のDERが移動してのキャッチとなり、それらが影響したのかDスコアが伸びなかった。フープ得点14.800、ボール得点13.900、合計28.750。4連覇がかかる今大会であるが残りの2種目も山口選手らしい演技を期待したい。
3位は古井里奈選手。古井選手もコイントロールシリーズを経て大きく成長している選手の一人である。2種目ともに安定した演技を披露した。フープでは軽快な音楽に合わせ、古井選手のチャーミングな笑顔が印象的であった。ローテーション難度ではパンシェターンは精度の高い実施であった。後半のローテーション難度とDERの終末に乱れがあったが大きなミスに繋がらず得点を伸ばした。ボールでは冒頭のマステリーを成功させたがバランス難度などで週末動作に乱れがあった。大きなミスはなく古井選手の持ち味が活かされた演技であった。ローテーション難度のスピード感やジャンプ難度のダイナミックさには目を見張るものがある。更に基本に忠実にそれらを行うことで得点が更に伸びていくことであろう。フープ得点14.650、ボール得点13.950、合計28.600。
4位には喜田純鈴選手、5位には三上真穂選手と桑村美里選手、7位には猪又涼子選手、8位には立澤孝菜選手が僅差でつけている。1つのミスが大きな減点に繋がる現行ルールであるために、明日の上位争いは緊迫した接戦になるであろう。明日の種目はクラブとリボン。選手が持っている力を出し切って演技することを願うと共に、勝利の女神が誰に微笑むのか楽しみである。