第6回アジア新体操選手権レポート4

報告者:

現地6月8日、アジア選手権最終日は個人種目別決勝と団体種目別決勝ボール3&リボン2が行われた。
個人種目別決勝フープには、日本から皆川夏穂と山口留奈が出場。
まず山口は、国別対抗戦の時と同じ箇所(転回しながらフープを手以外で持ちかえる)で同じミスを犯し、フープが落下。エカルテの難度ができなかった。DERでもキャッチミスし、見せ場であるフープを床転がししてパンシェのローテーションを行う箇所でもキャッチミスしてフープが通り過ぎてしまう。国別対抗戦では落ち着いて演技していたが、今日は気合いが空回りしたような感じでミスが重なり12.700。
続いて皆川はローテーションの回転不足のところはあったが、個人総合でのミスを修正し、ていねいに演技した。しかし、ラストのジャンプしながらのDERで、フープを指に引っかけてしまい、フープが右に流れる。足が少し届かずキャッチミス。フープは場外に出て手具なしで終わった。最後は本当に惜しいミスであったが、そのほかは前日にできなかったところをきちんと修正しており、成長が伺えた。15.283
フープを制したのは韓国のSON。ほぼミスのない演技で18.433。
2位のDENGもローテーションの連続でかかとが早く床に着いてしまったが、伸びやかな演技で18.067。
3位に地元ウズベキスタンのRAKHMATOVAが入り、皆川は5位入賞。
ボールの種目は1位がDENG。難易度の高いDERやMを次々とこなし、18.333。
2位はRAKHMATOVAで、3位が同じウズベキスタンのFilippova。両手取りや荒さはあるが、パンシェのローテーションのスピードがあった。
韓国のSONはアチチュードのローテーションからパンシェターンに移る際にバランスを崩し、床に手をついてしまい、D8.500 E8.433 計16.933で表彰台を逃した。
クラブの試技順1番は日本の早川さくら。日々試合に慣れていき、堂々とした感じも出てきた早川は、落ち着いて丁寧に演技した。身体難度をやりきろうとする粘りも、最後まで保った。D8.900 E8.800 計17.700で、自己ベスト得点(17.500)を一日で更新した。
1位は韓国のSON。実施ミスがほとんどない演技で18.400。
2位は中国のDENG。ローテーションの連続で回転不足になったが、よどみのない演技であった。18.133。
3位はウズベキスタンのRAKHMATOVA。17.800
そして4位に早川が入ったが、3位とはわずか0.1の差であった。
早川はリボンの種目も丁寧に演技した。途中投げが乱れて、行く方向が戻ったりしているので、そういったところでの減点は入るが、D8.600 E8.600 計17.200で、落下ミスがなければ17点台に乗るというところまできた。
1位は中国のDENG。しなやかな演技でかつパワフル。D9.300 E9.233 計18.533という高得点をたたき出した。
2位は韓国のSON。リボンが身体にふれる箇所があり、18.167。
3位はRAKHMATOVA。D8.500 E8.833 計17.333
4位が早川。リボンの種目もわずか0.133の差であった。
今大会は早川、皆川の特別強化選手を印象づける大会として、予想以上の成功を収めた。安定感や自信、パワーなどが出てくれば、より一層の評価も受けることになるだろう。
一方ユニバーシアード代表組の山口は国別対抗戦ではすばらしい働きをしたが、種目別では「うまくやりたい」という欲をコントロールできなかった。穴久保璃子も、練習では淡々とやっていたのに、試合では急に硬さが出てしまった。今回の試合へのアプローチを自身で分析し、間近に迫るユニバーシアードでは修正を図ってほしい。
団体種目別決勝ボール3&リボン2の日本(フェアリージャパンPOLA)は、リボンの描きが弱く、早い段階で2本ともに結び目ができてしまった。そのせいで連係がうまくやれない箇所があったが、得点に1番影響しない箇所で結び目をほどき、後半は取り戻した。練習の時から、失敗したところで終わらずに、リズムを取り戻してからフレーズ練習を終える訓練をしていたが、頭を使った試合運びであったと思う。D8.400 E8.133 計16.533で、ミスが出ても16点台に乗せることができるようになってきた。
1位は中国。
連係や交換を次々とこなし、17.300の点数を得た。2位が日本で、3位にはカザフスタンが入った。
地元ウズベキスタンは、リボンに結び目ができて演技に支障が出たり、ボールをキャッチミスして場外に出たり、最後はリボンが破損して連係が出来なかったりと大きなミスが重なり最下位となった。
日本は総合、種目別を通じて、落ち着いた試合運びを見せた。4月のW杯ペサロ大会で大きなミスをして悔しい思いをしてから、練習への熱も違ってきたように思うし、練習が彼女たちの支えになった。作品の中身は、とにかく失敗しないという内容で、難易度の高い連係は入っていないので、今後はリスキーな技へのチャレンジが課題となっていくだろう。
ボール3&リボン2出場者
畠山愛理
サイード横田仁奈
加畑碧
杉本早裕吏
松原梨恵