第6回アジア新体操選手権レポート1
ウズベキスタン・タシケントでアジア選手権が幕を開け、5日の初日は個人国別対抗前半(フープ、ボール)と団体総合前半(クラブ10)が行われた。
国別対抗は1種目各国3名ずつが演技し、計12種目中ベストの10種目の合計点で競われる。
日本は、特別強化選手で現在ロシア留学中の皆川夏穂、早川さくらの両名と、日本代表選考会(4月千葉ポートアリーナ)を勝ち抜いた山口留奈、穴久保璃子の、計4名の選手で戦った。
リオオリンピックに向けては、ターゲット世代(1997年生まれ以降)の強化を方針として打ち出しており、世界選手権の出場メンバーでもある皆川、早川を4種目演技させることとした。また山口は足を痛めて十分な練習が積めてないこともあり、山口も穴久保も2種目ずつ演技させることにした。演技種目については、より安定感のある種目を選び、山口はフープとリボン、穴久保はボールとクラブに決めた。
各種目3名の演技順については、通常は若手が最初に演技をしてエースが最後を締める。本来なら経験豊富な山口が最後となるべきであるが、特別強化選手のふたりをとことん売り出すという作戦で、15歳の皆川をラストに持ってきた。
日本の1種目目はボール。
トップは穴久保璃子。穴久保は、出だしから硬さが出てしまい、アラベスクのローテーションも1回転になってしまった。DERも乱れ、ラストのDERではボールをキャッチし損ね、手具なしで演技を終えることになった。ここ最近ミスも少なくなっており、若手の後押しをしてほしいところであったが、13.500。
2番手は早川さくら。
最初のM(一般的でない手具操作=職人技)でボールを取り損ねたが、すぐに落ち着いてひとつひとつ演技を行った。しかし、後半に弱気になる場面があり、ラストの座での転がしからのキャッチをミス。最後の踏ん張りがきかなかった。14.800。
続いて皆川夏穂。
5月中旬のW杯ミンスク大会では、ミスにミスを重ねて苦い経験をしたが、骨折をした足もだいぶ良くなり、落ち着きも取り戻してきた。まだ足をかばうための他の箇所の痛みはあるが、やりきろうという意識の見える演技であった。ステップ中の落下や、転回からのバランスで手をついてしまうなどミスはあるが、状態はずいぶんと良くなっているという印象であった。しかし、ミスの度合いにしてはDの得点が伸びない(6.950)。確認すると、申告書の間違いがあって大きな減点となったそうである。14.583。
ロシアでは申告書を選手が作るようであるが、最後の確認ができずにすでに提出されていたことによるミスである。もちろん選手自身がルールを良く把握し、自らが申告書を作成することはすばらしいことであるが、今後、日本でも彼女たちの申告書を確認できるようにして、選手のサポートをしなければならないと思う。
2種目目はフープ。
トップは山口留奈。出だしの転回中の足での持ち替えで落下し、エカルテの難度ができなかったが、あとは気持ちを切り替えてスピーディーに演技をこなした。難度のこなしも良く、16.083。
次に早川。イタリアンフェッテの前にポロリと落下し、ジャンプターンでもポロリと落下するなど、手具が手についていない感があったが、美しいフォルムを見せ、15.800。
最後は皆川。
ひねりまわしで小さな落下はあったが、全体的に大きさのある演技で、16.000。皆川は初めて16点台に乗せた。ここでも申告書の間違いがあったようなので、そこが解決できればもっと得点をアップさせることができる。
前半を終えて、国別対抗1位は地元ウズベキスタン。RAKHMATOVA Djamilaが17点台。DAVIDOVAも16点台後半を出している。
2位は韓国。SON Yeon Jaeが安定した演技で2種目とも18点台をたたき出し、チームに活力を与えている。
3位は中国。こちらもDENG Senyueが伸びやかでダイナミックな演技を見せ、2種目とも17点後半。他の選手のミスを帳消しにする活躍である。
4位はカザフスタン。
得点源はGORBUNOVA Victoriya。16点後半であるが、他の選手は14点から15点台。
5位に日本。
フープは3位に位置しているが、ボールは6位。日本にはまだ韓国のSONや中国のDENGのような絶対的存在はいない。まだ15歳の皆川をエースの位置にセットして戦っている状況ではあるが、SONやDENGもロンドンオリンピックに向けて数年かけて鍛えられてきた選手たちである。皆川や早川、あるいは他の選手たちが、「我こそは」と日本の中心的存在となってくれることを期待する。
明日は後半の2種目(クラブ、リボン)が行われ、12種目中ベストの10種目合計で順位が決定。また個人総合出場者も決定する。
団体総合前半はクラブ10が行われた。
試技順1番はカザフスタン。
交換で落下し、ラストの連係がやれないミスがあり、14,033。
試技順2番は日本(フェアリージャパンPOLA)。
4月末のW杯ペサロ大会で大きなミスがあり、出場予定であった5月のW杯ミンスク大会は欠場。5月はクラブの内容の変更、ボール&リボンの伴奏音楽の変更、内容の変更、メンバーの変更など、修正を図った。短い期間で音楽と中身を変更することは大変であったが、選手たちはペサロでの失敗を生かすために、これまで以上に踏ん張りを見せ、この大会に臨んだ。
結果、今季に入って初めて落下ミスがなかった。まだ動きや技のコマ数も少なく、改良できるところは数多くあるが、まずは成功体験ができ、16点台に乗せることができたことで、やっとスタートラインに立てたと言えよう。16.400。
試技順3番の韓国も落下ミスはなく、14.950。
4番のウズベキスタン。
次々と技を繰り広げたが、細かい落下や連係、DERでの落下があり、15.800。
ラストは中国。
交換で、投げが短くなり、スライディングキャッチしたが、ほかは非常に安定感があり、17点台に乗せた。17.150。
団体総合前半を終えて、
1位中国
2位日本
3位ウズベキスタン
4位韓国
5位カザフスタン
明日は後半種目ボール3&リボン2が行われ、団体総合順位が決定する。