モスクワグランプリ新体操国際現地レポート
2月25日~27日、モスクワグランプリがロシア・モスクワにて開催された。日本からはフェアリージャパンPOLA(団体)と大貫友梨亜選手、山口留奈選手が出場した。
【団体】 団体総合は日本は3位。
ボールでは前半非常によい滑り出しをしたが、中盤のリスクを絡めたコラボレーションで小さな落下。その後リスクで場外し、直後のコラボレーションが一人抜けたためにカウントできなくなってしまった。またバックルピボットが欠け、ミックスの難度で落下。大きなミスが出たため、22.950だった。
リボン&フープは、スタートの交換前にリボンがからみ、交換が不成立。また大ジャンプ投げではリボンが場外した。が、中盤の見せ場のコラボレーション(ロープウェー)は見事に成功し、ミスがあっても覇気を失うことなく最後まで踊りきり、23.45であった。
種目別では、ボールの背面キャッチで場外。そのあとの連係が少々乱れ、転がしの連係で落下。後半は持ち直したが、前半から中盤にかけてポロポロと小さな落下をするミスが続いた。
リボン&フープは、最初の交換で大きく移動。反応が良く落下せずにキャッチし、そこからは落ち着いた演技を見せたが、中盤でリボンに結び目ができ、そのため前日成功させた見せ場のロープウェーからの転回投げでリボンが投げられず、ぐしゃっとリボンが落ちる形となった。フェッテピボットの前に結び目をほどき、どうにかしのいだが、座での交換も不安定になった。
2日間を通じて両種目とも大小のミスが多かったが、他のチームも同じようにミスが多く、また強豪国が出そろっているわけではないので、種目別はボールが3位、リボン&フープが2位となった。
前回のエストニアの大会に比べて洗練はされてきたので、反復練習により、ミスの発生を徐々に少なくしていくことと、難度の大きさや身体能力の高さをアピールしていくことで、上位に食い込み続けていきたいものである。
総合、種目別を通じて全制覇をしたのは地元ロシア。少々のミスはあったが、深く練られた連係をいとも簡単にやってのけ、強いロシアを存分にアピールした。
団体総合
1位ロシア53.950
2位アゼルバイジャン49.350
3位日本46.400
4位ウクライナ41.650
5位ウズベキスタン40.075
6位フィンランド40.050
種目別ボール
1位ロシア27.550
2位アゼルバイジャン24.250
3位日本23.675
4位ウクライナ23.150
5位ウズベキスタン22.500
6位フィンランド21.400
種目別リボン&フープ
1位ロシア26.950
2位日本23.375
3位ウクライナ23.050
4位アゼルバイジャン22.700
5位ウズベキスタン22.275
6位フィンランド20.150
【個人】
個人総合のグランプリを制したのはエフゲニア・カナエバ(ロシア)。
まったく力みがないのに切れ味は鋭く、難易度の高い身体技術や手具操作で、他を寄せつけない圧倒的な力を見せた。
特にリボンは珠玉の作品で、リボンの軌跡やしなやかなからだの動きが伴奏音楽のピアノの音を奏でて、これぞ新体操という演技であった。
全種目28点以上、リボンは29.200を獲得し、カナエバの円熟期が始まったという感じである。総合点114.550。(カナエバは種目別も全種目制覇)
グランプリに出場した大貫友梨亜は、作品をそれほど変更していない最初の2種目(フープ、ボール)にエネルギッシュさが欠け、また落下により手具なしでのラストポーズがあったり、かかとが早く床に着いたための難度の欠けなどがあり、思うような点数を得られなかった。3種目目のクラブはいくつか落下ミスはあったが全体的には勢いを取り戻し、最終種目のリボンでもミスは出たが勢いをキープできた。しかし4種目を通じてミスが出たため、31位。(95.275)
グランプリ外で出場した山口留奈は作品を変えていない前半2種目(リボン、フープ)はミスもなく難度も安定していて、リボン25.500、フープ24.950と、この大会では高い方の得点であった。が、作品の大幅変更をしたボール、クラブで落下、場外があり、ボールは23.775、クラブは22.350で、総合点は96.575であった。
団体も個人も、シーズンインしたばかりの早い時期なので各国どの選手もミスが多かったが、そんな中でもロシアはスケールの違いをみせつけた。
(グランプリとガズプロムカップを兼ねていたためロシアから選手8名が参加していたが、上位1位~7位がロシア)
3月下旬にはイタリア・ペサロの大会があるが、日本選手も速いペースでの完成度アップが望まれる。