第28回全日本ジュニア新体操選手権大会レポート(男子)

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■1日目
 各地で開催されたブロック大会を勝ち上がった43名の若き精鋭が集まった今大会は、昨年のような突出した存在が少なかったこともあり混戦が予想されていた。だが、大会のフタを開けてみれば意外ときっちり上位とそれ以外とが分かれる展開になった。ロープ・クラブの種目別上位者はそのまま個人総合の入賞者とイコールしており、どの種目も平均して力を出せる選手が結局は強いということなのだろう。
 個人総合1位の永井直也(半田スポーツクラブ)は、ロープで一度だけ小さいミスを犯した以外は盤石の出来で高得点を叩き出した。踊り心があり、観る者を自分の世界に引き込むことができる選手だ。タンブリングも強く、表現力や柔軟性にもたけている。この年齢で「秋桜」を完全に自分のものにしているのは素晴らしい。来月行われる全日本選手権での健闘に期待がかかる。
 2位につけたのは、井原ジュニア新体操クラブの小川晃平。昨年の全日本ジュニアでは総合8位に入賞している実力者だ。ふわりと滞空時間の長いタンブリングは、観客からどよめきの声があがるインパクト。徒手が伸びやかでとても美しいのもこの選手の特徴。
 3位には五十川航汰(NPOぎふ新体操クラブ)が入った。ぎふといえば、少し大人びた雰囲気の演技をする選手が多いのだが、この五十川も流れるようにスムーズな、洗練された演技で観客を魅了した。
 以上の3名が、来月開催される全日本選手権への出場権を獲得した。
 それ以外にも、バラエティに富んだ個性が見られたのも今大会の特徴。鋭い徒手でメリハリの効いた演技を見せた佐久本歩夢(君津新体操クラブ)は4位。春日克之、鈴木一世を輩出した北海道勢は力強い演技をする選手が多く見られ、毎年のように大型選手を擁する神崎中学校では、栗山兄弟がともに8位以内の入賞を果たしている。
■2日目
 上位2チームが来月開催の全日本に出場できる団体は、全19チームが出場。
全体的に、鹿倒立で苦戦したチームが目立った。パーフェクトな倒立を実施できたのはわずか数チーム。小学校4年生から出場可能なジュニアということでメンバーに体格差のあるチーム、または全体的に小柄なチームも見られたが、体形や柔軟性など選手の特徴を生かした構成を数多く観ることができた大会でもある。
 大会は、井原ジュニア新体操クラブが昨年に続き優勝した。メンバーの大半が井原高校に進学したこともあり、戦力的には昨年より若干層が薄いと思われていたが、井原伝統のキレのある徒手や、あっと驚く大胆な構成は今年も健在。団体ならではの同時性も高く、全日本にも期待がかかる。
 2位になったのは、神崎中学校。大型な選手が多く、ジュニアという
枠ではくくれないスケールの大きさが特徴のチームだ。倒立で若干のミスが見られたものの、その他はキチッとまとめてポテンシャルの高さを見せつけた。静と動、緩急のつけ方が巧みで迫力を感じさせる演技は必見。
 全日本出場権は惜しくも逃したが、3位の恵庭クラブは伝統であるタンブリングの強さに加えて、高い同時性と軸のブレない、身体の線の強さが目を引いた。今年は組み技も数種類と充実しており戦力の豊富さを強く印象付けており、来年以降も楽しみな存在といえよう。
 大会終了後のエキシビションでは、社会人チームのアルフレッサ日建産業が演技を行った。大半の選手にとって今までの選手生活のゴールは大学であったが、実業団という形で新体操を続けることができることを身をもって教え、伝えた。ジュニアの選手にとって彼らの演技はどう映ったのだろうか。
■優勝チームの演技はこちら
⇒https://www.jpn-gym.or.jp/goods/video/2010/njr/00.html