第 26 回全日本ジュニア新体操選手権大会 レポート【男子】

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 2008年10月17日~19日、国立代々木競技場第一体育館で行われた第26回全日本ジュニア新体操選手権大会、男子は個人が第14回大会(1996年度)から、団体は1985年の第3回大会から加入。大会結果により個人総合3位までの選手と団体の優勝チームには、12月に行われる全日本選手権への出場資格が与えられる。
第一日目〔個人総合選手権〕
 スティックとリングの2種目で行われた個人総合には、45人が出場。
安定感抜群の演技を見せ、スティック・リングともに9.200点を出した佐能諒一(井原ジュニア新体操クラブ)が、両種目1位で総合優勝。2位に埼玉栄RGの斉藤 嵩が、3位には服部 心(半田市立半田中学校)が入り、全日本への出場権を獲得した。
第二日目〔団体選手権〕 
 団体選手権は19チームが出場し、それぞれが溌剌とした演技を見せて場内の歓声を誘った。前半のA班で目についたのは神埼中学校。身長の高さが目立つ大型チームだ。水平バランスの安定感は素晴らしく、ラストを飾る組運動では高校生顔負けのダイナミックさを感じさせ
た。スケールの大きさで群を抜いていた彼らが3位に。
 試技順9番で登場した井原ジュニア新体操クラブ。名門・井原高校(旧校名=精研)のお膝元ということもあり非常に男子新体操に熱心な土地柄としても知られる。体格差のあるメンバー構成だったが、それを微塵も感じさせない見事な徒手で観客をうならせた。バランスの瞬間、あちこちからどよめきにも似た歓声が上がる。徒手を最大の売りにしているだけあり、非常に洗練され、かつ力強い動きと同時性でも魅せて2位となった。
 そして後半のB班。昨年の全日本にも出場)した、昨年度優勝チームの滝沢村立滝沢南中学校は抑揚のある構成と芸術面を重視した動きが特徴で、タンブリングも強い。ダンスの動きも取り入れており観るべきところの多い構成だったのだが、やや実施が伸びず今回は4位に終わった。
 そして、15番目に演技を行ったのが半田中学校だ。大人びたピアノの旋律に乗せた彼らの演技は美しく、まさに「アート」。前半の徒手では足元の細かな動きを全員がピタッと決め観客席からはどよめきが湧き起こる。バランスでもブレのなさで場内のため息を誘い、鹿倒立では少しだけ角度が狭かったもののそれが全く気にならないほどの見事な静止。同時性と一体感に貫かれた演技を通した半田中が、構成点9.425 実施が9.400点という非常に完成度の高い演技で見事優勝に輝き、全日本選手権への出場権利を得た。
「男子エキシビション」
また、今大会では両日ともエキシビションで国士舘大学の選手が大会に花を添えた。18日は4年生の奥 雄太(クラブ)と大原朗生(スティック)が個人演技を、19日には団体チームが演技を披露して、場内から喝采を浴びた。ジュニアの選手にとって、大学生や社会人の選手たちはとても遠い存在で大きな目標なのかもしれないが、この競技を頑張り続けることで彼らのようになれるのだ。成長著しいジュニアの選手たちが将来へのモチベーションを強くもつことで、より一層男子新体操も盛り上がるし、競技人口も増えていくだろう。そしていずれは国体復活への希望も見えてくるのではないだろうか。伸び代という意味でも、若い選手たちの“これから”に大いに期待したい。