2015新体操W杯ポルトガル大会レポート4
団体種目別決勝リボン・銅メダル獲得! 大会情報へ
<団体種目別決勝・リボン>
試技順1番イスラエル。大きなミスなく演技を終え、17.100
試技順2番イタリア。前半でポロリと落下し、連係でも落下。交換で大きく移動したり、交換で転回をやらないなどのミスが出て16.350
試技順3番スペイン。連係で落下すると、続けて2本のリボンが落下した。交換でも落下があり、フェッテピボットがバラバラに。ラストの、リボンにリボンを絡めて投げる連係もうまくいかずに投げられずに終わった。13.600
イタリア、スペインと続けて大きなミスが出たことで、会場がざわついてくる。
試技順4番アゼルバイジャン。伴奏音楽”ボレロ”に合わせ、前半はリズミカルに演技していたが、連係で落下。DERで落下。後半のキャッチに大きな移動があり、フェッテピボットもバラバラ。ラストの連係も落下し、後半は何をやっているのかまったくわからなくなった。13.500
試技順5番ドイツ。交換で落下。投げが不安定になって連係が不成立に。交換の前にリボンが乱れ、交換が投げられず。ドイツもやはり中盤から後半にかけて大きく乱れた。14.100
ここまできて落下なしはイスラエルのみ。6mのリボンを5本使うという難しさを改めて感じさせられる。
試技順6番ロシア。団体総合フープ&クラブで大きなミスが出たロシアが種目別決勝に進出できたのは、このリボンの種目のみ。ロシアは、なんとしても金メダルがほしいところ。交換で不正確なキャッチとなる箇所はあったが、大きなミスなく終えて、やっと場が落ち着いた感じがした。18.050
試技順7番ウクライナ。出だしでリボンが他の選手の首にからむミスが出たのち、2本投げの前に落下。交換でも2本のリボンが落下するミスが出て15.250
他の国の演技をつぶさに覚えてはいないので、何がきっかけでこれほどのミスが出たのかは分析できないが、どの国も連係が緻密に入っているため、ひとつリズムを崩すと立て直すのに時間がかかっているのだと思われる。
そして試技順ラストは日本(フェアリージャパンPOLA)。日本は他国と比較すると非常にクリアな演技を続けた。途中3本投げで、2本のリボンが少し寄ったが、キャッチする2選手がうまく身体を使い、事なきを得た。が、最後の、リボンで4本のリボンを投げる見せ場で、少し縦に飛びすぎ、2本が場外方向へ。必死で追いかけ、1本は場外を回避。しかしもう1本がスティックが落ちると同時に押さえる形となり、そのリボンの裾が場外へ。最後の最後でミスが出たが、場内からは大きな拍手がわいた。最後の技は非常に難しいため、まだまだ反復練習が必要である。場外の0.3が減点され、16.600
結果、1位ロシア、2位イスラエル、3位に日本。
他の国のミスにも助けられた形ではあるが、今季初のメダルを獲得することができた。
<団体種目別決勝・フープ&クラブ>
試技順1番スペイン。さきほどのリボンでは大きなミスが出たスペインであるが、うまく立て直し、17.400
試技順2番ブルガリア。団体総合の時よりクリアでエネルギッシュな演技を行い、17.650
試技順3番イスラエル。工夫ある手具操作で、ミスなく終え、17.400。イスラエルは今大会4試技を通して大きなミスなし。安定した力を見せている。
試技順4番イタリア。イタリアも気持ちを立て直してきて、ミスなく17.900の高得点
試技順5番ドイツ。連係で落下。落下した手具を拾うのに手間取り、交換では投げが大きくなり、足が場外。15.300
試技順6番フランス。身体難度が少々クリアではなかったが、落下ミスはなく16.700
試技順7番アゼルバイジャン。キャッチに移動はあったが、ミスなく16.550
試技順ラストはまたもや日本。団体総合では最後の交換でミスが出てしまったので、なんとかミスなく終えたいところである。そして日本は伸び伸びと演技した。若干不正確なキャッチや、キャッチしてから回転するなどの箇所はあったが最後までエネルギーが減ることなく17.200と、今季初めて17点台に乗せた。D(難度点)は、リボンは8.75、フープ&クラブは8.70。リボンにおいては2位になったイスラエルより上となる。難度点ももっと伸ばし、そしてキャッチの移動や不正確なキャッチ、落下ミスなどの実施減点を減らしていくことで、もう一段階上の17点中盤から後半の点数をめざすことができるようになるだろう。
結果、1位イタリア、2位ブルガリア、3位イスラエル、4位スペイン、5位に日本となった。
日本の出場選手は両種目とも
杉本早裕吏
松原梨恵
畠山愛理
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
横田葵子(リザーブ)
<個人種目別決勝>
皆川夏穂はクラブ以外の3種目に出場。
総合ではすばらしい演技を見せた皆川であるが、この日の皆川は少し堅くなった。フープの種目では、出だしのMGキックターンが不正確になり、マステリー(以下M)の背中の上での軸回しで落下。中盤の難度でも体勢を崩し、大きくぐらついた。15.650で8位
ボールは非常にクリアな演技をしたが、ローテーションの回転数が少なくなったのと、パンシェのローテーションで乱れが出てしまった。16.350で7位
リボンでも小さな落下があり、16.850で8位
いまひとつリズムに乗れないような感じで、いくつかミスが出たが、それでも今大会で総合8位入賞、3種目の決勝進出は立派である。決勝の戦い方がまだつかめていないと思われるので、場を踏んでいけば、その点も改善されていくだろう。
早川さくらはボールのみに出場。個人総合の後半種目は身体に芯が通っていない感じであったが、今日はよく踏ん張り、17.250で5位
フープ1位はロシアのMamun。若干手具のコントロールミスはあるのだが、身体のコントロールを効かせてがまん。試合の運び方はさすがである。18.950。Mamunはボール、リボンでも金メダルを獲得した(クラブは各国2名出場の規定により不出場=個人総合時にミスを犯してロシア3番手)。特にリボンでは、リボンの裾の方が舞い上がるようだと錯覚する。それほど手具を使いこなせていて、観客を魅了する力がある。
総合チャンピオンのロシアのSoldatovaは、出だしのDERでフープが後ろにそれた。そのまま回転を前に続けたため、このままでは絶対に落下すると思われた瞬間、Mamunと同じく身体をうまく使い、回転を入れてキャッチ。粘る姿はすばらしい。足持ちローテーションなどが軸がずれたこともあり16.850で7位。ボールはMamunに次いで2位に、クラブではフープと同じくDERが流れたが身体を入れ込み、キャッチ。絶対にキャッチするという執念が見える選手である。クラブはKudryavtsevaをおさえて金メダルを獲得した。
Kudryavtsevaはクラブとリボンに出場。難度の正確性は健在であるが、いずれの種目も落下があり、以前の正確無比なKudryavtsevaは影を潜めている。しかし、これは身体の成長に感覚がついていけていないと思われ、やがて落ち着くであろう。
韓国のSONは4種目に出場。SONにとっては今大会が初大会だったため、疲れからかボール、クラブ、リボンで珍しく落下。だがボールでは実施ミスの少ない演技で、2位に入った。
アゼルバイジャンのDurundaは、リボンの種目で完璧な演技をした。しかし、大会運営側のミスにより、再度試技順の最後に踊り直すことに。あれだけ完璧な演技をしたあとでは心が折れそうなものだが、Durundaはここでも完璧な演技をした。このあたりが試合巧者であり、強さであると実感する。こういった逞しさを日本選手も身につけていかなければならないだろう。
<インターナショナルトーナメント・ジュニア>
ロープ以外の3種目に出場した柴山瑠莉子は、身体が良く動いていた。フープでは15.200という高得点を出し、ボールでも15.100と15点に乗せた。ボールは非常に良い流れだっただけに、ラストの、ボールを視野外で足で挟むところでミスが出たのは惜しかった。クラブは予選でミスしたところをきちんと修正した。その後の腕転がしも、予選では粘れなかったので挑戦。挑戦した結果、落下してしまったが、こういったミスはジュニア時代には必要であろう。
喜田純鈴はロープのみに参加。この日の喜田は、”踊っている”という感じが見えず、スケールのエシャッペでキャッチミス。Mでも2カ所でキャッチミスして14.600。
ジュニア選手はミスを恐れてまとめてしまうと、伸びしろをつぶしてしまうことになりかねない。いかに伸びやかにいかに正確に、いかに曲を感じて演技するかに重きをおいて、経験を積み重ねていってほしい。
今大会は団体、個人、ジュニアともに、数字としての結果を得ることができたとともに、多くの課題も見えた大会であった。今後も歩みを止めず、進んでいきたい。