2015新体操モスクワ・グランプリ等レポート
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早川さくら、3種目でファイナル出場!
現地2月20日、モスクワグランプリ初日は個人総合が行われた。日本から出場したのはフェアリージャパンPOLA個人選手の早川さくら。
1種目目のクラブでは、緊張からかダンスステップコンビネーションで二度の落下があり、15.950と苦しいスタートになった。
続く、2種目目のリボンでも、出だしのDERが大きくなったが、どうにかキャッチ。そこからは落ち着いて対処し、17.016。初戦で17点台に乗せてきた。
3種目目はフープ。作品はほぼ昨年のままであるが、情感たっぷりに演技し、17.366。17点中盤に迫る点数を得た。
最終種目のボールでも、座の姿勢でのMの転がしで小さな落下があったが、すばやく対処し、17.000。クラブを除いた3種目を17点台に乗せ、その3種目で種目別ファイナル出場を決めた。また個人総合でも42人中12位となったが、昨年と比較し、難度の安定感が増しており、成長がうかがえる。もう一段階上がっていくためには、もっともっと演技をアピールしていくことだろうか。こうした試合を積み重ねていくことで、自信を蓄え、表現力を増していってほしい。
個人総合チャンピオンに輝いたのは、ロシアのMamun。クラブの種目では、フェッテのローテーションをしようとした際に、クラブが離れて場外。大きな過失となってしまったが、4種目すべてにまったく違う色を持ってきて、しかもキャッチが多彩。そのキャッチの仕方が計算され尽くしていて、キャッチ=次の技の始まりという図式が成り立っている。身体が自由自在に動き、時には妖艶に、時には激しく、そしてコンテンポラリーダンスのような作品も見せ、昨年よりパワーアップしたMamunがいる。
2位となったKudryavtsevaも、ボールの種目でミスが相次いだが、ボールの逆手キャッチなどキャッチが難しすぎるため、ミスも致し方ないという域に入っている。体つきも大人っぽくなり、作品もタンゴなど大人っぽい作品に移行している。まだまだMamunほどの表現力はないが、難度の正確性においては相変わらず秀でており、今後もこの二人の戦いが続いていくだろう。
3位はベラルーシのStaniouta。昨年から中身はあまり変わっていないせいか面白みに欠けるが、安定感のある演技で3種目目までは1位を走っていた。最終種目のリボンのDERで落下したことで3位となった。
<インターナショナルトーナメント・シニア>
皆川夏穂 銀メダル獲得!
グランプリには、ロシアを除いては各国1名しか参加できないため、もう1名のフェアリージャパンPOLA個人選手、皆川夏穂は、インターナショナルトーナメント部門に出場した。とはいえ、ロシア以外にもイタリアのRussoや、ウズベキスタンのSerdyukova、カザフスタンのAshirbayevaなど、皆川のライバルとも言える選手たちが出場することで、混戦が予想された。
そんな中で皆川は、試技順1番で登場。最初の種目フープは、伴奏音楽こそ変えていないが、中身は大幅にレベルアップしていた。緊張からか、指先が硬く、早くフープを捉えたいという感じは見えたが、難度も見やすくなっており、ローテーションの乗りも良かった。フープの得点は17.033で、いきなり17点台に乗せてきた。
2種目目はボール。伴奏音楽も中身も変え、特にころがしの操作においては非常にむずかしいことに挑戦している。たどたどしさが消え、なめらかな身体の表現で、観客を魅了した。17.266
3種目目はクラブ。最初のDERでクラブがプログラム通りの場所に飛ばなかったが、クラブで押さえる判断で落下ミスを防いだ。多少、技の準備に手間取る箇所はあったが、次々と豪快に大技を決め、17.250。見ながらワクワクする思いであった。
最終種目はリボン。こちらも次々とつながっている技を決め、17.050。フープ以外の3種目を昨年から変更しているが、スケールアップした皆川を見ることができた。4種目とも落下なしで演技し、17点台に乗せたことは評価に値する。そして総合点は68.599で、1位のVedeneevaに次いで2位。初の表彰台に乗ることができた。
3位はアジア競技大会でも活躍したウズベキスタンのSerdyukova。かかとは低いが、これでもかとローテーションの数を増やし、3位に食い込んだ。
今後も、早川と皆川がしのぎを削っていけば、よりレベルアップした姿を見せられるだろう。
<団体総合>
試技順1番で登場した日本(フェアリージャパンPOLA)は、リボンの種目から。踊り出してすぐに音楽が途切れ、やり直しをすることに。そこで緊張の糸が切れたのか、最初の交換で落下。続くコラボレーションでも落下し、リズムを崩した。その後も不正確な受けや、ミスが相次ぎ、13.350という結果となった。
2種目目のフープ、クラブでは気持ちを切り替えて、ひとつひとつの技をていねいにこなした。コラボレーションが不成立な箇所があり、16.700。得点的にもさほど悪くはなかったが、1種目目が悪すぎて、総合6位となった。
全体的にはこぢんまりとした印象で、フロアーの使い方も狭く感じた。またリボンは描きが弱く、空中でリボン同士が接触する箇所もあり、改善が必要である。幸い、種目別決勝に出場できるので、再度演技を試し、問題点を抽出していきたい。